↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
183/225

寿綾乃という女 第4部 183

 その夜は、眠れなかった…


 なかなか、寝つけなかった…


 ナオキのこと…


 伸明のこと…


 ハルカのこと…


 その他、諸々のことを考えて、なかなか、寝つけなかった…


 当たり前だった…


 正直、色々あり過ぎた(苦笑)…


 最初は、伸明の見合いだった…


 いや、


 そうではない…


 和子の入院だった…


 五井の女帝の入院だった…


 そして、五井の女帝が、倒れたことにより、五井内部のパワーバランスが、崩れた…


 五井家は、当主が、伸明だが、事実上のトップは、和子…


 伸明の叔母だ…


 その伸明の叔母である、和子が、先代当主、建造と共に、世間に顔を出した…


 五井のトップとして、顔を出した…


 だから、知らないものは、建造と和子が、夫婦であると、誤解したものも、多かったに違いない…


 だが、実際は、夫婦ではない…


 二人の関係は、義理の兄妹だった…


 建造の妻の昭子の双子の妹が、和子だったからだ…


 昭子は、奔放…


 若い頃に、異性関係に奔放だった…


 それゆえ、世間に顔を、出さなかった…


 出せば、世間で、噂になりかねない…


 出せば、過去の奔放の男関係を噂にされかねない…


 世間から、叩かれかねない…


 その結果として、和子が、傷付き、五井の名前も、傷がつく…


 それを、和子の両親が、恐れたのだ…


 それゆえ、外見が、そっくりな昭子の双子の妹の和子が、五井を代表して、世間に、顔を出した…


 だから、知らないものは、夫婦…


 当主の建造とその義理の妹の和子を、夫婦と誤解したに違いない…


 そして、昭子は、追放された…


 五井家から、追放された…


 自らの妹である、和子の手で、追放された…


 それは、和子が、約束を破ったから…


 今は、亡き、両親との約束を破ったから…


 その約束とは、和子は、決して、世間に顔を出さないこと…


 五井のパワーバランスを崩すような真似をしないこと…


 それを、破ったのだ…


 自分が、産んだ息子でもあり、伸明の腹違いの弟を救うために、破ったのだ…


 それを、きっかけに、昭子は、五井家を離れた…


 が、


 今回、体調を、崩した…


 それを、和子は、人づてに聞いたのだろう…


 自らの名前で、五井記念病院に入院させた…


 五井記念病院は、基本、五井家が、所有している…


 理事長は、五井家の人間…


 入院すれば、五井家の人間は、なにを置いても、優遇されるからだ…


 しかしながら、昭子は、五井家を追放された身…


 ほかならぬ和子の手によって、追放された身だ…


 しかし、姉妹…


 二人は、双子の姉妹だ…


 外見は、そっくりだ…


 それゆえ、和子は、一計を案じて、昭子を自分の名前で、五井記念病院に入院させた…


 そして、自分は、身を隠した…


 その結果、五井の事実上のトップが、不在となり、五井家は、混乱した…


 当主は、伸明だが、まだ、四十歳と若い伸明では、五井をまとめきれない…


 それゆえ、五井は、混乱した…


 その結果、まだ独身の伸明と、分家の人間が、自分と同じ血を引く娘を、伸明と結婚させようとした…


 五井の有力分家の一つである、五井西家の当主が、伸明の事実上の義理の親となり、五井家内部で、権力を得ようとしたのだ…


 それが、始まり…


 五井の騒動の始まりだった…


 そして、伸明の見合いの相手として、現れたハルカ…


 五井西家の血を引く、私の五井記念病院の担当医であった長谷川センセイの妹という触れ込みだったが、違った…


 妹では、なかった…


 いや、


 実際、妹ではあったが、血が繋がってなかった…


 五井西家の末裔である、長谷川センセイの義理の妹だった…


 長谷川センセイの両親が、再婚したのだった…


 それゆえ、妹といっても、血が繋がっていない…


 妹のハルカには、五井の血が一滴も、入っていない…


 つまりは、西家夫妻は、騙されたのだった…


 長谷川センセイに騙されたのだった…


 西家夫妻は、ハルカは、五井西家の血を引く娘だと、信じていた…


 が、


 騙したのは、長谷川センセイでは、ない…


 ユリコだった…


 ナオキの前の妻である、ユリコだった…


 ユリコの入れ知恵だった…


 ユリコは、以前、和子に恥をかかされた…


 五井の女帝に、恥をかかされた…


 その復讐だった…


 プライドの高いユリコは、その屈辱を忘れることが、なかった…


 それゆえ、長谷川センセイを通じて、五井にちょっかいを出した…


 五井を混乱させようとした…


 それが、真相だろう…


 そして、私は、当時、知らなかったが、伸明と、あのハルカは、顔なじみだった…


 店のホステスと客として、顔なじみだった…


 だから、二人は、とっさに、芝居をしたのだ…


 なまじ、顔見知りゆえに、気まずい…


 まして、お見合いの席…


 縁談の席だ…


 顔見知りゆえに、知らないというのも、難しい…


 どこかで、馴染みであることが、バレかねない…


 それゆえ、とっさに、あのハルカは、高飛車に出た…


 わざと、高飛車な態度に出た…


 上から目線で、伸明に接した…


 そして、伸明と言えば、そんな高飛車なハルカを気に入った態度を見せた…


 おそらくは、その方が、自然に見えるからだろう…


 なまじ、顔見知りと、周囲にバレるのは、マズい…


 伸明の当主としての立場もある…


 だから、互いに顔見知りとは、言えない…


 口が裂けても、言えない(苦笑)…


 それゆえ、ハルカは、高飛車な態度で、接した…


 いつもと、違う、態度で接した…


 そうすることで、顔見知りとバレないと、考えた…


 一方の伸明は、そんなハルカの態度を気に入ったように見せて、ハルカに関心のある態度を見せた…


 その方が、ハルカに関心を示すのが、普通と、思われると、思ったからだろう…


 知っている人間を知らないと言い張るのは、難しい…


 あるいは、知らない態度を取り続けるのも、難しい…


 そういうことだ…


 しかし、そのハルカが、伸明を襲ったとは?


 わけが、わからない…


 だが、そのわけは、まもなく、わかるだろう…


 伸明と会えば、わかるだろう…


 そして、団郁馬…


 五井北東家の団郁馬だ…


 東都新聞、東都テレビ、東都ラジオを、有する、団郁馬だ…


 五井北東家は、五井内部で、下位の扱い…


 五井十三家で、下位の扱い…


 それゆえ、反乱を起こした…


 日本の主要メディアを有しているにも、かかわらず、五井家内部では、下位の扱い…


 それが、許せず、反乱を起こした…


 そして、おそらく、その反乱にも、あのユリコが、一枚噛んでいる…


 どんなふうに、噛んでいるかは、わからないが、一枚噛んでいることに、間違いはない…


 間違いは、ないのだ…


 しかしながら、その反乱も、あっけなく、鎮圧された…


 伸明により、あっけなく、鎮圧された…


 そして、その功績は、伸明の手によるものではない…


 先代当主、建造の手によるものだった…


 建造と団郁馬は、そりが合わず、たびたび衝突した…


 それゆえ、事前に建造は、団郁馬が、反乱を起こしたときに、備えていた…


 具体的には、東都新聞のライバルである、西都新聞を、五井グループが、全面支援するというものだった…


 五井グループの東都新聞ではなく、西都新聞を支援する…


 これは、事実上の東都新聞の五井グループからの追放を意味した…


 慌てた団郁馬は、伸明に謝罪…


 あっけなく、北東家の反乱は、鎮圧された…


 まさに、あっけなく、鎮圧された…


 大山鳴動して鼠一匹…


 その言葉が、ふさわしい…


 実に、ふさわしい…


 しかしながら、物事は、そんなことが、多い…


 この世の中は、そんなことが、多い…


 例えば、織田信長は、武田信玄に怯えていた…


 武田信玄が、京を目指して、進軍すると、怯えた…


 信玄と対決することに、怯えた…


 戦えば、必ず、勝てるとは、思えないからだ…


 それゆえ、怯えた…


 しかしながら、闘いは、避けられない…


 だが、結末は、あっけなかった…


 実に、あっけなかった…


 信玄が、病死したからだ…


 そして、数年後、その信長自身が、部下の明智光秀の謀反によって、命を絶った…


 これは、予想外…


 まさに、予想外の出来事だった…


 青天の霹靂(へきれき)と、言ってもいい…


 そして、これを、現代に置き換えれば、やはり、リストラだろうか?


 周囲から、優秀と思われていたものが、リストラされる…


 自分も、自信があり、周囲も、まさか、あのひとが、と、驚く…


 だが、そんなことは、世の中にありふれている…


 リストラされた人間の能力を、上の人間が、それほど、評価していなかったのか、それとも、派閥争いにでも、巻き込まれたのか、それは。わからない…


 しかしながら、本人が、思いもしない展開になることは、世の中には、ある…


 それは、今回の件に当てはめれば、団郁馬は、まさに、そうだろう…


 きっと、自分でも、驚くほど、あっさりと、決着がついた…


 完敗だった…


 本家の当主である、伸明に、手も足も、出なかった…


 そして、それは、おそらく、五井内部でも、激震が走っただろう…


 これまで、形だけの当主に、過ぎないと、思っていた、伸明が、実力を示したのだ…


 たとえ、先代当主の建造が、あらかじめ、手を打っていたことが、後でわかっても、手柄は、伸明のもの…


 現五井家当主のものだ…


 伸明が、案外、甘くないことを、五井家内部の人間に示したに違いなかった…


 と、


 ここまで、考えて、気付いた…


 なにに、気付いたのか?


 それは、和子の不在…


 双子の姉である、昭子を、自分と偽って、五井記念病院に、入院させて、自らは、身を隠した和子の狙いだ…


 もしや、和子は、これを狙って、身を隠したのかと、思ったのだ…


 伸明に、手柄を上げさせるために、身を隠したのかと、思ったのだ…


 まさか?


 まさかとは、思うが、ありえない話ではない…


 まったくの与太話でも、なんでもない…


 ありえる話…


 実に、ありえる話だと、思った…


 思ったのだ…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。