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寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


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寿綾乃という女 第4部 18

 ナオキの結婚の情報を検索したが、出てくるのは、今、テレビのニュース番組で、見たことと、同じだった…


 ネットで、検索しても、同じだった…


 「…えっ? 藤原ナオキって、結婚したんだ?…」


 と、いう書き込みが、そこかしこで、見られた…


 おそらく、私同様、今、テレビのニュース番組を見て、急いで、ネットで、検索したのだろう…


 なんといっても、ナオキは、イケメン…


 長身のイケメンだ…


 この世の中で、イケメンほど、強い男は、いない(苦笑)…


 ルックスがいい男ほど、強い男はいない(爆笑)…


 誰もが、ルックスが、良ければ、女なら、とりあえず、惹かれる…


 男なら、女が、美人なら、とりあえず、惹かれる…


 それから、初めて、中身を考える…


 性格は、どうだ?


 学歴は、どうだ?


 実家は、お金持ちか?


 そんなことを、考える…


 つまりは、中身は、二の次…


 まずは、外見から、入る男女が、大半だからだ(笑)…


 もちろん、この私も例外ではない…


 この寿綾乃…


 いや、


 矢代綾子も、例外ではない…


 まずは、外見から、入る…


 見た目から、入る(爆笑)…


 すでに、私も32歳…


 中学生や高校生のお子ちゃまではない…


 にもかかわらず、真っ先に顔から入る…


 ルックスから、入る(爆笑)…


 きっと、高校生時代、ナオキと出会って、すぐに、男女の関係になったのも、ナオキがイケメンだったから…


 ナオキが、イケメンでなかったら、男女の関係にならなかったかも、しれない…


 ナオキは、イケメンで、おまけに才能も、あった…


 が、


 才能の有無は、出会った当時は、わからない…


 まして、私は、高校生…


 田舎から、東京に出てきた高校生だった…


 ひとを、見る目など、あったものでは、ない(爆笑)…


 それゆえ、たまたま、運が、良かったというのが、真相だろう…


 しかし、


 しかし、だ…


 私も、今、32歳になり、女子高生だったときの倍の年齢になった…


 にも、かかわらず、男選びの基本は、顔…


 顔=ルックスだ…


 32歳になっても、十代の女子高生だったときと、なにも変わらない…


 大人になっても、なにも、変わらない…


 果たして、これは、笑っていいのか?


 それとも、怒るべきか?


 自分でも、わからない…


 まったく、わからない…


 ネットで、ナオキの結婚のことを、検索しながら、一方で、そんなバカなことを、考えた…


 考え続けた…


 

 結局、ナオキの結婚の真偽は、わからなかった…


 テレビで、聞いた以上のことは、わからなかった…


 真偽不明…


 それゆえ、まずは、ナオキに聞いてみるのが、一番…


 当人に電話で、聞いてみるのが、一番だと、思った…


 だから、それを、実行した…


 ナオキに電話をかけてみた…


 が、


 その結果は、


 「…おかけの電話番号の持ち主は、電源が切られているか、電波の届かない場所にいられるかの、どちらかです…」


 と、いうものだった…


 おそらくは、今、テレビのニュース番組を見て、ナオキに電話を、かけた関係者が、続出しているのだろう…


 それゆえ、ケータイの電話の電源を切った…


 私は、そう、見た…


 私は、そう、睨んだ…


 それから、私は、どうしようか、悩んだ…


 まず、なにをするべきか、悩んだ…


 その結果、気付いたのは、まずは、服を着ること…


 私は、今、素っ裸に、バスタオルを巻いたままの姿だった(爆笑)…


 昔、よくテレビで、見た、姿だ…


 きっと、若い女が、裸同然の姿を晒すことで、製作者が、視聴率が、増えることを、狙ったのだろう…


 さすがに、今の時代は、コンプライアンス等が、厳しくて、できない…


 あくまで、昔の話だ…


 そして、今、そんなことを、思いながら、服を着た…


 パジャマを着た…


 これで、ようやく、落ち着いた…


 これで、ようやく、ホッと、した…


 なぜなら、久しぶりに、自宅で、パジャマを着たからだ…


 病院では、当然、パジャマは、着られない…


 すぐに、カラダを診察できるように、あの病院専用の衣服を着ざるを得ないからだ…


 それゆえ、自宅で、パジャマに着替えたことで、ようやく、自宅に、戻って来た気分になった…


 ようやく、いつもの、自分に戻った気分になった…


 着替えを終えると、


 …さて、これから、どうしたものか?…


 と、再び、考えた…


 ナオキが、本当に、五井家の女性と結婚したのか、否か?


 知る方法は、ないか?


 考えた…


 考え込んだ…


 それから、すぐに、


 …知る方法は、ある!…


 と、気付いた…


 これは、五井家の人間に電話すること…


 私の知る五井家の人間に、電話をして、確かめること…


 これが、一番…


 一番だ…


 私の知る、五井家の人間といえば、数は、限られている…


 五井家当主、諏訪野伸明…


 伸明の血の繋がっていない、妹の諏訪野マミ…


 五井の女帝、諏訪野和子…


 そして、その孫の菊池リン…


 その4人だ…


 そして、その4人の内、諏訪野和子と、孫の菊池リンは、除外…


 諏訪野和子は、体調を崩して、入院中と聞くし、その孫の菊池リンは、私と仲が、悪い…


 菊池リンは、スパイだった…


 かつて、私に対して、五井家が放ったスパイだった…


 私が、本物の寿綾乃だと思っていたからだ…


 本物の寿綾乃は、今は、亡き建造の娘…


 五井家、前当主、諏訪野建造の娘だった…


 建造が、かつて、愛した女性との間にできた娘だった…


 そして、それが、私の従姉だった…


 私、矢代綾子の従姉だった…


 私が、本物の寿綾乃だったら、建造の遺産を払うことが、生じる…


 それを、恐れた五井家が、私に放ったスパイが、菊池リンだった…


 菊池リンは、一見、舌足らずで、かわいらしく、頼りない…


 誰もが、守ってあげたくなる、愛くるしさがある…


 が、


 それは、仮面だった…


 偽りの仮面だった…


 本当は、したたかな素顔を、その仮面の下に、隠していた…


 しかしながら、私は、その仮面にすっかり騙され、彼女、菊池リンを可愛がった…


 その結果、私は、ボクシングで言えば、ファイティングポーズを取ることを、忘れた…


 ファイティングポーズ、すなわち、ガードを取ることを止めた…


 つまりは、彼女に対して、警戒心を解いたということだ…


 その結果、彼女は、すんなりと、私の懐に入った…


 この寿綾乃の懐に入った…


 そして、彼女が、五井のスパイだったと、気付いたときに、私は、ジュン君の運転する、クルマに轢かれた…


 私が、社長室で、突然、やって来た、ナオキの前妻のユリコと、対峙したときに、ユリコが、突然、私が寿綾乃のニセモノと、喝破したのだ…


 ユリコは、どこからか、私の出身地を調べ上げ、私が、本物の寿綾乃ではないことを、知った…


 私は、社長室で、社長のナオキの前で、その事実を、ユリコに指摘されたことで、私の怒りに火を点けた…


 そのお返しに、私は、ユリコに、ジュン君が、ナオキの子供ではないことを、暴露した…


 根拠はないが、確信があった…


 ジュン君が、子供の頃に突然、失踪したユリコが、十年以上、経って、再び、戻って来た…


 そのユリコは、息子のジュン君とは、会うが、なぜか、ナオキとは、会わなかった…


 ホントなら、ナオキとジュン君と3人で会っても、良いはずなのに、と、思った…


 親子、水入らずで、会って、いいはずなのにと、思った…


 それが、きっかけで、私は、もしや、ジュン君が、ナオキの実の息子ではないのではと、考えた…


 それを、証明する根拠は、ないが、そう思った…


 そして、それを、ユリコにぶつけた…


 ユリコは、あっけなく、その事実を認めた…


 私は、内心、驚いたが、それ以上に、驚いたのが、ナオキだった…


 ジュン君を迷わず、自分の子供だと、思っていたからだ…


 そして、その一部始終を、あの菊池リンは、近くで、聞いていた…


 そして、その事実を、彼女は、ジュン君に伝えた…


 彼女は、私を探るために、ジュン君にも、接触していたからだ…


 だから、二人は、顔見知り…


 それゆえ、伝えた…


 そして、事実を、知った気の弱いジュン君は、会社から出て、歩いていた私を見つけ、私をクルマで、轢いた…


 ジュン君は、あまりのショックで、気が動転していたのだ…


 すべては、菊池リンのせい…


 それから、私は、菊池リンと会う機会はあったが、昔のように、仲良くは、しなかった…


 彼女と距離を置いた…


 私は、今、あらためて、それを、思い出した…


 そして、それゆえ、今、電話をできる相手は、五井一族では、二人だけ…


 伸明とマミさんだけだと、あらためて、気付いた…


 気付いたのだ…


 そして、そこまで、考えて、


 …どうする?…


 と、自分自身に、問うた…


 なぜ、自分自身に、問うたのか?


 それは、率直に、言って、伸明とマミさんに、電話しづらいからだ…


 なんといっても、伸明は、五井家の当主…


 まだ四十代前半の若き当主だ…


 その当主に、たいした知り合いでもない、私が、電話をするのは、やはり、気が引ける…


 私は、自分で、言うのも、おかしいが、そこまで、図々しくは、ない…


 だから、躊躇う…


 伸明に、電話をするのを、躊躇う…


 もう一方のマミさんには、伸明と違って、躊躇いは、ない…


 だから、本来なら、気安く、電話ができる…


 なにより、私とマミさんは、ウマが合う…


 ウマが合う=気が合う…


 だから、伸明と違って、マミさんには、電話が、しやすい…


 が、


 今は、違う…


 なぜ、違うのか?


 それは、マミさんが、私の見舞いに来なかったから…


 だから、違う…


 だから、電話ができない…


 マミさんが、私の見舞いにやって来なかったことを、恨んでいるわけではないが、マミさんより、私にとって、親近感がない、伸明ですら、私の見舞いにやって来た…


 それなのに、マミさんは、やって来なかった…


 私の入院を伸明ですら、知っているにも。かかわらず、だ…


 同じ五井一族のマミさんが、私の入院を知らないわけはない…


 にも、かかわらず、私の見舞いにやって来なかった…


 だから、もしかしたら、なにか、あるのかも、しれない…


 そう、思ったからだ…


 だから、マミさんに、電話できない…


 私から、電話できない…


 そう、考えた…


 そう、考えたのだ…


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