↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
178/225

寿綾乃という女 第4部 178

 ナオキと、別れる=私の結婚に話を戻した…


 「…別れよう…」


 と、言った、最初の話に、戻った…


 「…ナオキ、どうして、そんなことを、言うの?…」


 私は、言った…


 当然のことながら、言った…


 ナオキは、


 「…諏訪野さんの病状だ…」


 と、顔をしかめた…


 「…伸明さんの病状? そんなに、悪いの?…」


 「…それは、わからない…ただ…」


 「…ただ、なに?…」


 「…人間不信に陥っているらしい…」


 「…人間不信?…」


 「…自分は、駒…五井の当主という駒だと、周囲に、漏らしているらしい…」


 「…駒?…」


 「…そう…」


 「…どうして、そんなことを、言っているの?…」


 「…それは…」


 「…それは、なに?…」


 私が、問い詰めると、


 「…綾乃さん、もう少し、のんびりと、ビールを飲ませてくれ…」


 と、言って、ナオキは、苦笑した…


 私も、ナオキの言葉に、同じように、苦笑せざるを得なかった…


 夜は、長い…


 そして、この話も、長い…


 おそらく、長い…


 まさか、夜が、明けるまで、話しているとは、思えないが、すぐに、終わる話でも、な

い…


 だから、私も、オレンジジュースに、口をつけて、飲んだ…


 何度も、言うように、夜は、長い…


 オレンジジュースを飲んで、体力をつけようと、思った(笑)…


 同時に、これでは、何杯、オレンジジュースを飲むか、わからないなとも、思った(苦笑)…


 そして、おそらく、それは、ナオキも、いっしょ…


 いっしょだった…


 缶ビールを一気に、呷って、次の言葉を話し出したからだ…


 「…今度の一件、すべては、五井の女帝、諏訪野和子さんの、入院が、発端だった…」


 「…それは、わかっているわ…」


 「…でも、和子さんは、入院していなかった…」


 「…えっ? どういうこと?…」


 「…入院したのは、昭子さん…和子さんの双子の姉…和子さんじゃ、なかった…」


 「…ウソ!…」


 思わず、叫んだ…


 「…ウソじゃない!…」


 今度は、ナオキが、力強く、断言した…


 「…昭子さんは、五井を追放されただろ? だから、五井記念病院に、入院するのは、体裁が、悪い…だから、妹の和子さんの名前で、五井記念病院に入院したんだ…」


 「…ウソ?…」


 「…ホント…」


 「…そして、当然ながら、和子さんは、身を隠した…まさか、入院していることになっている、当人が、平然と家にいるわけには、いかないからね…」


 「…」


 「…そして、それが、すべての発端だった…」


 「…発端…」


 「…そう、始まり…」


 「…」


 「…和子さんが、倒れたと、誤解した五井家の連中は、すぐさま、動いた…西家の夫妻が、真っ先に、諏訪野さんに、縁談を強要したのが、そのいい例…」


 「…」


 「…でも、これは、諏訪野さんも、予想していたことだった…今の五井は、和子さんが、リーダー…実質的なリーダーだ…そのリーダーが、倒れれば、反乱が、起こる…これは、事前に、わかっていた…」


 「…」


 「…でも、予想外のことが、次々と起こった…」


 「…なにが、起こったの?…」


 「…あのハルカと、いう女性…諏訪野さんの、見合い相手…」


 「…ハルカさんが、どうしたの?…」


 「…顔なじみだったらしい…諏訪野さんの、なじみの店に、勤務していた娘だったらしい…」


 「…えー! ウソ!…」


 「…ホント…今日の昼間、マミさんから、聞いた…」


 …そうか! だから、きっと、あんな芝居をしたんだ…


 だから、あのハルカは、あんな態度を取ったんだ…


 私は、とっさに、思った…


 普段、店で、会っている…


 それが、見合いの席で、会う…


 見合い相手として、会う…


 おそらく、想定外…


 互いに、想定外のこと…


 予想も、しないことだろう…


 これでは、互いに、照れくさくて、仕方がない…


 だから、あのハルカは、あの見合いのときに、わざと、高飛車な態度に出た…


 それは、照れ隠し…


 照れ隠しの裏返しに他ならない…


 普通に、見合いをすれば、下手をすれば、吹き出してしまいかねないからだ…


 お互いの顔を見れば、吹き出してしまいかねないからだ…


 だって、そうだろう…


 いつも、店で、ホステスと客として、会っている男と女が、見合い相手だと、したら、互いに、驚くし、なにより、どう対応したら、いいか、わからない…


 二人きりなら、プッと、吹き出すことが、できる…


 プッと、吹き出して、笑い話にすることが、できる…


 が、


 その場に、二人以外の人間が、いれば、それは、できない…


 まして、伸明の立場もある…


 五井の当主としての、立場もある…


 だから、余計に、それは、できない…


 と、そこまで、考えて、気付いた…


 だったら、あのハルカ…


 事前に、気付かなかったのだろうか?


 伸明が、自分の見合い相手だと、気付かなかったんだろうか?

 

 それとも…


 私が、考えていると、ナオキが、


 「…諏訪野さんは、その店で、自分の正体は、名乗らなかったらしい…」


 と、続けた…


 「…五井は、ビッグネーム…日本中、誰もが、知る名前だ…気軽に飲みに行くのに、そんな名前を、名乗るわけには、いかない…」


 ナオキが、説明する…


 だからか?


 納得した…


 実に納得した…


 だから、あの見合いの席についた…


 あのハルカは、見合いの席についた…


 そういうことだろう…


 店の馴染みの客が、自分の見合い相手だとしれば、普通は、誰もが、見合いは、しないだろう…


 なにしろ、互いに、面子がある…


 ハルカの方は、お水の商売をしていたのは、周囲に隠したいし、伸明にしても、それは、同じ…


 同じだ…


 しかしながら、二人とも、照れくさい…


 だから、さっきも、言ったように、ハルカは、あの見合いの席で、高飛車な姿をとった…


 自分の照れを見せたくないために、高飛車な態度を取った…


そういうことだ…


そういうことだと、思った…


そして、そういうことだと、私が、一人で、納得していると、当然のことながら、まだまだ、ナオキの話が、続いた…


「…マミさんが、言うには、驚きは、それだけじゃなかった…」


「…まだ、なにか、あるの?…」


「…あの、ハルカさん…彼女は、長谷川センセイの妹じゃ、なかった…」


「…えーっ! ウソ!…」


私は、素っ頓狂な声を出した…


同時に、そんなことは、ありえない…


そんなバカなことは、ありえないと、思った…


まさか、長谷川センセイが、自分の妹でも、ない女を、自分の妹として、紹介するわけがないと、思ったのだ…


長谷川センセイは、五井記念病院の私の担当医…


私が、ジュン君の運転するクルマに、はねられて、五井記念病院に運ばれたときに、お世話になったセンセイだ…


半年以上、入院して、お世話になった…


だから、ひととなりは、わかっている…


わかっているつもりだ…


が、


やはり、本当のところは、わからない…


本当のところは、さっきも、言ったように、いっしょに、暮らしてみなければ、わからないからだ…


ただ、わかっているのは、野心家だと、いうことだけ…


五井西家の血を継ぐ、五井西家の末裔にも、かかわらず、今は、五井家は、ともかく、五井西家とも、なんの関係もない…


それが、不満なのだ…


それゆえ、現在の五井西家の当主と、知り合い、自分も、五井西家の末裔だと、語った…


その結果、妹のハルカを、西家夫妻が、伸明に紹介した…


今現在、西家に、伸明と、釣り合う年齢の女性は、いない…


しかしながら、あのハルカを、伸明に、紹介することで、西家は、本家に、影響力を行使できる…


あのハルカを、事実上の、娘として、伸明に紹介できるからだ…


それゆえ、あのハルカは、西家夫妻にとっては、渡りに船…


まさに、渡りに船の存在だと、思った…


にもかかわらず、ホントは、兄妹でも、なんでもなかったなんて…


いくらなんでも、考えも、しなかった…


まさか、あの長谷川センセイが、野心家でも、そこまでのウソを言うとは、考えも、しなかったからだ…


私は、思った…


私は、考えた…


と、そう、考えていると、ナオキが、

 

「…と、言っても、ウソではないんだ…」


と、続けた…


「…ウソじゃない? どういうこと?…」


「…兄妹というのは、まったくの、ウソじゃないっていうこと…」


「…それ、どういうこと?…」


「…兄妹と言っても、血が繋がってない…両親が、再婚したときの連れ子らしい…だから、長谷川センセイは、ともかく、あのハルカには、五井の血は、一滴も、流れていない…」


ナオキが、仰天の事実を言った…


これまで、考えたことのない、仰天の事実を言った…


これでは、前提が、崩れる…


伸明と、見合いとするのは、五井の血を継ぐもの…


五井の血を継ぐことが、前提だからだ…


五井の血を継ぐもの同士が、結婚して、一族の団結を図る…


それが、前提だからだ…


それが、血が繋がってないのなら、前提が、崩れる…


しかし、まさか、そんなことが?…


そんなウソを、長谷川センセイが、つくとは、思いも、しなかった…


そんな致命的なウソをつくとは、考えも、しなかった…


私が、そう、思っていると、


「…けしかけたのは、ユリコだよ…」


と、ナオキが、付け加えた…


「…えーっ! ユリコさん!…」


と、これも、また、素っ頓狂な声を上げた…


同時に、考えた…


やはり、ここで、ユリコの名前が出て来たかと、思った…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。