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寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


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173/225

寿綾乃という女 第4部 173

 結局、その後、病院の近くの薬局で、薬をもらい、家に帰った…


 以前より、効果が強い薬をもらった…


 率直に、言って、ホッとした…


 脳梗塞で、倒れたものの、重症化しているわけでも、なんでもなかったからだ…


 やはり、どこか、カラダが、悪くなると、どうしても、病院に行き、医者に診てもらわないと、不安だ…


 素人の判断では、原因が、わからないからだ…


 どうして、具合が、悪いのか、原因が、わからないからだ…


 その原因が、わかったから、安心した…


 一安心した…


 ナオキの行く末も心配だが、やはり、それ以上に、自分のカラダが、心配だからだ…


 ナオキには、悪いが、心配だからだ…


 まあ、こんなことがあって、あらためて、それが、わかった…


 自分が、一番、大事だと、わかった(苦笑)…


 

 家に帰ると、私は、ホッとした…


 心底、ホッとした…


 とりあえず、現時点で、やりたいことは、終わった…


 和子の言う通り、人生は、一寸先は闇…


 将来のことは、考えても、仕方がないからだ…


 ナオキのことは、考えても、仕方がないからだ…


 ナオキには、悪いが、なるようにしか、ならない…


 FK興産が、完全に五井の傘下に下っても、ナオキが命まで、取られるわけでも、なんでもない…


 そう、思えば、いい…


 そう、考えれば、いい…


 心の底から、そう、思った…


 ナオキには、悪いが、そう、思った…


 私は、家に帰ると、真っ先に、お風呂に入るのが、定番なのだが、さすがに、この時間に、お風呂に入るのは、早かった…


 FK興産に勤めているときは、家に帰ってくるのは、夕方…


 冬ならば、すでに、あたりが、暗くなっている…


 だから、お風呂に入ったが、さすがに、真っ昼間に、お風呂に入るのは、嫌だった…


 が、


 やはり、それが、習慣になっていると、この時間でも、お風呂に入ってみるかと、考えを変えた…


 本来、キレイ好きな私は、どうしても、外に出かけて帰って来ると、汚れたカラダを、洗わないと、嫌だという強迫観念にとらわれているところがある…


 とりあえず、お風呂に入って、家では、パジャマに着替えて、ゆったり過ごす…


 それが、私の定番だからだ…


 それが、私の一日のルーティンだからだ…


 それゆえ、やはり、お風呂に入った…


 お風呂に入ると、心底ホッとする…


 これは、子供の頃から、同じ…


 同じだった…


 32歳になった今も、同じ…


 子供の頃と同じだった…


 変わらない…


 人間は、案外、変わらないものだ…


 それとも、これは、私だけ?


 私だけだろうか?


 私以外の人間は、違うのだろうか?


 誰かに、聞いて、みたくなる(笑)…


 私と同じように、子供の頃から、変わらないものが、あるか、どうか、聞いて、見たくなる…


 習慣でも、食べ物でも、飲み物でも、あるか、聞いて、みたくなる…


 大げさに、言えば、ヤフーの質問箱に、書き込んで、みたくなる…


 そんなことを、思った…


 そんなバカなことを、思った…


 が、


 お風呂に入りながら、そんなバカなことを、真剣に考えているから、私は、結婚できないのかも、しれない…


 32歳にも、なって、そんなバカなことを、考えているから、結婚できないのかも、しれない…


 母が、生きていたら、間違いなく、そう言うだろう…


 なにしろ、母が、私の年齢のときは、すでに、私を産んでいた…


 だから、そう、言われるのは、当然…


 当然だった…


 が、


 やはりというか…


 自分が、子供を産んだ姿は、想像ができない…


 私は、女に生まれたにも、関わらず、想像ができない…


 ホントは、これこそ、ヤフーの質問箱で、聞いて、みたくなる…


 三十路を過ぎた女で、まだ、子供を産んだことのない女に、私と同じか、どうか、聞いて、みたくなる…


 自分が、子供を産んだ姿を、想像できるか、聞いて、みたくなる…


 つい、そんなことを、考えた…


 そして、もしかたら、これは、男も同じ…


 同じだろうか?


 やはり、私と同じように、自分の子供の姿を想像できない男も、いっぱい、いるのだろうか?


 なにしろ、男は、子供は、産まない…


 だから、子供を産む女とは、違う…


 それゆえ、わからない…


 私と同じように、考えるのか、わからない…


 そして、私が、そんなふうに、考えるのは、もしかして、


 …逃げている?…


 私が、子供を産むことから、潜在的に、逃げているのかも、しれない…


 そう、気付いた…


 自分自身の心のありように、気付いた…


 それは、おそらく、ジュン君…


 ナオキの子供と、思われたジュン君…


 ユリコが、ナオキ以外の男との間で、できたジュン君を、私は、子供の頃から、育てた…


 手塩にかけて、育てた…


 その自負が、ある…


 その自信がある…


 それゆえ、自分が、子供を産まなくても、すでに、子育ては、終了…


 自分の中では、終了と、無意識に考えているのかも、しれない…


 自分では、気付かずとも、そう、思っているのかも、しれない…


 正直に、言って、以前は、子供が、欲しいと、思うことがあった…


 まだ、32歳…


 十分に、子供が、産める年齢だからだ…


 だが、今は、違う…


 今は、それほど、欲しいとは、思わない…


 以前とは、違う…


 が、


 これも、わからない…


 また、どうなるか、わからない…


 再び、子供が、欲しくなるか、どうか、わからない…


 子供が、欲しいか、否かは、究極のところ、自分の遺伝子を残したいか、否か?


 それだと、思う…


 そう、考えると、私は、迷う…


 例えば、女が、生まれれば、私のように、美人に生まれて、欲しいが、美人が、産まれるか、どうかは、わからない…


 なぜ、自分の子供が、美人であれば、よいと、考えるのか?


 それは、おそらく、その方が、有利だからだ…


 生きるのに、有利だからだ…


 一部の人間からは、反感を買うが、その方が、生きやすい…


 生きるのが、楽だと、思うからだ…


 それは、自分の体験…


 生まれてからの体験で、わかるからだ…


 が、


 その一方で、頭脳は、平凡…


 平凡だ…


 私は、平凡だ…


 それゆえ、ナオキと、結婚して、子供が、産めば、いいのかも、しれない…


 ナオキは、有名大学を出ている…


 私と違って、頭脳明晰だからだ…


 そんな下心があって、ナオキと、結婚して、できた子供が、ルックスも、平凡、頭も平凡だと、したら、どうだろう?


 私は、自分の産んだ子供に、幻滅してしまうのだろうか?


 それとも、そんなことはなく、自分の産んだ子供だから、かわいいのだろうか?


 わからない…


 こればかりは、産んでみなくては、わからない…


 ただ、私の母娘関係は、基本、母と、私の関係だった…


 この関係は、良好…


 実に、良好だった…


 この世の中には、血が繋がった親子にも、関わらず、気が合わない親子も、多い…


 しかしながら、私には、それが、なかった…


 私には、それが、当てはまらなかった…


 だから、もし、私が、産んだ、子供が、私と気が合わなければ、当惑する…


 自分と、母の関係と、まったく、違うからだ…


 だから、どうしていいか、わからないから、当惑する…


 しかし、その一方で、そんな関係の子供も、見てみたい…


 授かってみたい、気持ちがある…


 これは、怖いものみたさ?


 もしかしたら、怖いものみたさかも、しれない…


 が、


 本当のところは、わからない…


 産んでみなければ、わからない…


 自分が、子供を産んで、みなければ、わからないからだ…


 そして、そんなことを、考え続けていると、自分が、長湯をしかねないと、気付いた…


 つい、先日も、長湯をし過ぎて、気分が、悪くなった…


 さすがに、あの再現は、できない…


 あんな馬鹿な真似の再現は、できない…


 私は、急いで、浴槽から、出て、カラダを洗って、再び、軽く、浴槽に浸かって、お風呂から、出た…


 さすがに、この前の再現は、できないからだ…


 さすがに、長風呂で、気分が、悪くなった、この前の再現は、できないからだ(爆笑)…


 私は、急いで、お風呂から、出ると、まっすぐに、キッチンに、行き、冷蔵庫から、缶ビールを取り出して、飲んだ…


 火照ったカラダには、ビールが、うまい…


 冷たいビールが、うまい…


 私は、つくづく、思った…


 思ったのだ…


 そして、暇つぶしに、テレビをかけた…


 ホントは、テレビを、かけなくても、良かったが、テレビをかけないで、いると、つい、考え込んでしまう…


 つい、妄想してしまうからだ(苦笑)…


 つい、アレコレ、考えてしまう…


 ナオキのこと、伸明のこと、昭子のこと、その他、もろもろを考えてしまう…


 それが、嫌だったので、テレビをかけた…


 そして、缶ビールを飲みながら、なんとなく、テレビを、見た…


 そこには、伸明の顔があった…


 見慣れた伸明の顔が、あった…


 若き五井の当主の顔があった…


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