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寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


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108/225

寿綾乃という女 第4部 108

 ナオキとハルカの結婚会見は、世間の度肝を抜いた…


 なんと、言っても、ナオキは、週一で、テレビのコメンテーターをしていて、それなりに、知名度がある…


 また、長身で、イケメンであることが、なにより、大きい…


 テレビでも、ネットでも、同じだが、イケメンや美人は、強い…


 ルックスが、良いものは、強い…


 それは、簡単に、相手に、ルックスが良いことが、わかりやすいからだろう…


 これが、頭が良かったり、お金持ちだったりしても、一目見ても、普通は、わからない…


 例えば、ポルシェやフェラーリに乗ってくれば、お金持ちだと、すぐに、わかるが、それは、例外…


 普通に、街中を歩いていて、すぐに、お金持ちだと、わかる人間は、いない…


 頭が、良くても、同じ…


 歩いているひとを、見て、一目で、誰それが、頭がいいと、見抜くことが、できるものが、世の中に、いるはずがないからだ…


 が、


 ルックスは、わかる…


 誰が、見ても、一目で、わかる…


 それと、誠実か、否か…


 ユーチューバーを見ていれば、わかるが、人気があるユーチューバーは、一目見て、誠実そうな人間が、多い…


 ルックスも、もちろん、良いに限るが、誰もが、ずる賢そうな人間を見て、好きになるひとは、いない…


 それと、同じだ…


 要するに、なにを、言いたいかと、言えば、藤原ナオキは、ルックスも良く、人間性も、誠実そうで、好感を持てる…


 だから、人気がある…


 そう、言いたいのだ…


 そして、


 そして、だ…


 ホントなら、今、会社は、どうなっているか?


 ナオキが、社長を務めるFK興産の社内は、どうなっているか?


 知りたかった…


 社長のナオキは、広告塔…


 FK興産の一番の広告塔だ…


 ハッキリ言えば、長身のイケメンで、しかも、独身の男が、会社を率いているのが、ウリ…


 FK興産最大のウリだからだ…


 そのナオキが結婚する…


 会社では、どういう反応があるのだろうか?


 気になる…


 ずばり、気になる…


 が、


 それを、聞くことは、できない…


 なぜなら、私は、すでに、FK興産を退社している…


 会社を辞めている…


 現実には、FK興産の非常勤の取締役に就任しているが、その肩書で、出社したことは、一度もない…


 非常勤の取締役という肩書は、ナオキが、私にお金を与えるため…


 FK興産が、五井と提携して、もしかしたら、五井に乗っ取られるかも、しれない…


 それを、危惧したナオキが、いち早く、私を非常勤の取締役に任命した…


 五井と、提携する前に、私を非常勤の取締役にすることで、仮に、五井と提携した後であれば、反対されるかも、しれない…


 それを、防ぐために、事前に私を取締役に抜擢したのだ…


 そうすれば、私にお金を、与えられるからだ…


 給与という名目で、合法的に、お金を与えられるからだ…


 そして、私のプライド…


 この寿綾乃のプライド…


 私は、藤原ナオキの愛人でも、なんでもないのだから、仮に、私にナオキが、生活費を渡すとしても、私が、受け取らない…


 そう、判断したと、思うからだ…


 会社を辞め、無職の私に、お金を渡す方法…


 それが、私を、FK興産の非常勤の取締役にすることだった…


 非常勤の取締役だから、出社しなくても良い…


 にもかかわらず、私に、非常勤の取締役という名目で、お金を与えられる…


 まさに、絶好のアイデアだったと、思う…


 考えれば、考えるほど、思う(笑)…


 まあ、話が少々脱線したが、要するに、今、社長のナオキの結婚で、社内が、どういう反応を示しているか、知りたいが、私には、今、それを、知る手段がない…


 ナオキといっしょに、十五年も、会社を支えてきたんだから、会社に知り合いが、いっぱいいるだろうと、思いがちだが、さにあらず…


 会社を辞めてしまえば、どんなに親しい同僚でも、大抵は、一瞬で、縁が切れる…


 世の中、そんなものだ(笑)…


 そんなわけだから、今さら、私がFK興産に電話をかけたところで、話をする相手も、いなかった…


 仮に、私が、電話をしたところで、他人行儀な対応をされるのは、目に見えている…


 なにより、私は、会社では、社長のナオキの愛人と、思われていた…


 そんなナオキの愛人と思われていた私が、会社に電話をかければ、


 「…きっと、社長に捨てられたから、電話をかけてきたのよ…」


 と、言われるのが、オチ…


 誰もが、わかるオチだ(爆笑)…


 それゆえ、さすがに、会社に電話をかける気が、起きない…


 当たり前のことだ…


 ただ、やはり、気になる…


 ナオキと、あのハルカの結婚は、気になる…


 果たして、二人は、本当に、結婚するのだろうか?


 私は、考えた…


 いくらなんでも、早過ぎる…

 

 早過ぎるのだ…


 おそらく、出会って、数日で、結婚を決めたに違いない…


 いくら、なんでも、早過ぎる…


 それでは、結婚を決めるには、早過ぎる…


 あのハルカは、いいだろう…


 どうして、いいのか?


 ハルカから、見れば、ナオキは、オジサン…


 なにしろ、ハルカは、二十代後半…


 三十歳にも、なっていない…


 かたや、ナオキは、四十歳…


 だから、歳が、一回り上だ…


 が、


 ナオキは、お金持ち…


 お金持ちだ…


 一代で、会社を、立ち上げたお金持ちだ…


 それは、五井家当主である、伸明から、見れば、吹けば飛ぶようなチンケなお金持ちだが、世間の基準から、すれば、お金持ち…


 十分に、お金持ちだ…


 そのお金持ちのナオキと結婚することは、一般の基準で言えば、シンデレラ…


 まさに、現代のシンデレラだ…


 ナオキの資産は、百億を超える…


 私も正式には、知らないが、創業者利益というか…


 個人が、会社を立ち上げて、その会社が、それなりに、成長したから、上場する…


 すると、公開した株に、値がつく…


 一株いくらと、値段がつく…


 当然、創業者である、藤原ナオキは、会社の株の大半を持っている…


 だから、その株のおかげで、百億を超える資産を持っていることになる…


 株の価値が、莫大だからだ…


 いわば、マジック…


 マジック=手品だ…


 現代の錬金マジックだ…


 だから、ナオキは、百億を超える資産を持っているが、それは、数字の上だけ…


 なぜ、数字の上だけなのか?


 それは、その百億を超える現金を、手にするには、株をすべて、売らなければ、ならないからだ…


 そして、もし、株を全部手放したなら、ナオキは、FK興産の社長では、いられなくなる…


 創業社長だから、社長の地位でいられる…


 オーナー企業だから、株を持っているから、社長でいられる…


 いわゆる、サラリーマン企業ではない…


 株を持っているから、社長でいられる…


 これが、株を持たなければ、すぐにナオキは、社長の座を追われるだろう…


 話が、長くなったが、要するに、ナオキは、お金持ち…


 お金持ちだ…


 そのナオキと結婚できるのだから、あのハルカは、おおげさに言えば、シンデレラ…


 まさに、現代のシンデレラだ…


 が、


 それは、ハルカの立場から、すれば、のこと…


 ナオキの立場から、すれば、どうだろう?


 全然、別の光景が、見える…


 今も、言ったように、ナオキは、お金持ち…


 お金持ちだ…


 いくら、若くて、キレイでも、ハルカと同じくらい、あるいは、ハルカ以上に、若くて、キレイな女と結婚できるはずだ…


 そして、出会いのチャンスもあるはずだ…


 が、


 なのに、なぜ、ハルカなのだろう?


 なぜ、こんなにも、短期間で、ハルカと結婚を決めたのだろう…


 疑問がある…


 いや、


 だから、マミさんは、ナオキの結婚の理由を、


 …寿さんを、守るため…


 と、一言で、言った…


 一言で、断言した…


 ナオキが、ハルカと結婚することで、私は、フリーになる…


 私は、フリー…


 誰と、付き合ってもいい…


 誰と、結婚してもいい…


 当然、伸明と結婚してもいい…


 それゆえ、ナオキは、ハルカと結婚した…


 出会って、数日で、結婚した…


 そう、考えれば、納得する…


 そう、考えれば、辻褄が合う…


 なぜ、ナオキが、こんなにも、短時間で、あのハルカと結婚したのか?


 その理由に納得する…


 が、


 本当に、そうだろうか?


 正直、イマイチ、納得ができない…


 そんなに、短期間で、ナオキは、結婚を決めるものだろうか?


 考える…


 考えるのだ…


 まして、ナオキは、お金持ち…


 歳も取っている…


 四十歳と歳を取っている…


 もはや、若くもない…


 それゆえ、普通は、結婚に慎重になる…


 なぜなら、結婚に失敗して、離婚すれば、ハルカから、慰謝料を請求されるからだ…


 お金持ちだから、莫大な慰謝料を請求されるからだ…


 それが、わかっているから、結婚に慎重になる…


 お金持ちは、皆、結婚に慎重になるのだ…


 私は、考えた…


 私は、思った…


 そして、そんなことを、考えているときに、電話が、鳴った…


 珍しく、家の電話が鳴った…


 イマドキ、家の固定電話が、鳴るのは、珍しい…


 いや、


 固定電話だけでは、ない…


 スマホを、含め、電話が鳴るのは、珍しい…


 なにしろ、私は、今、無職…


 無職だ…


 働いていない…


 だから、電話が鳴るのは、珍しい…


 無職ゆえに、ひとと、交流していないからだ…


 だから、交流しているのは、極少数…


 極めて、少数の人間だけだからだ…


 そして、もしかしたら、迷惑電話…


 迷惑電話かも、しれないと、思った…


 イマドキは、迷惑電話が、多い…


 私が、家にいて、固定電話の音が鳴れば、大抵は、迷惑電話だ…


 だから、留守電にする…


 電話に出なくても、よいように、留守電にする…


 その方が、安全だから…


 まして、私は、一人暮らし…


 一人暮らしだ…


 若い女の一人暮らしだ(苦笑)…


 それゆえ、用心をするに、越したことは、ない…


 ないのだ…


 それゆえ、私は、電話に出なかった…


 電話に出ないで、留守電にメッセージが、吹き込まれるのを、黙って聞いていた…


 留守電にすると、電話を切るものが、大半…


 基本、たいした用事がないからだ…


 大抵は、商品の売り込みや、買い取り…


 それも、電話番号をネットで調べれば、皆、悪徳業者…


 ほぼほぼ、例外はないからだ…


 それゆえ、私は、黙って聞いていた…


 なんと、メッセージが、拭き決まれるのか、聞いていた…


 そしたら、メッセージが、振り込まれた…


 意外な人物から、メッセージが、振り込まれた…


 メッセージを吹き込んだのは、ナオキ…


 藤原ナオキだった…


 数日前まで、私の事実上の夫と、思っていた人物からだった…


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