第8話 成三の息子
あれから1週間が経っていた。
俺の呼び方については、ほとんどが鳴瀬教官と呼んでいる。その方がしっくりくるのだろうか。
キオンは、俺が年下の子供だからと、鳴坊とふざけた名前で呼んできたので、格の違いというものを、その身をもって教えてやることにした。
俺の呼び方でいろいろあったが、全員が制御率100%を維持しながら戦闘が出来るようになったため、別の訓練を始めることにした。
「今日の訓練は、学院の外で行う」
「はい、はい、私とのデートですか」
「少し黙ろうか、斬華」
なぜ斬華は、こんなにも頭がアレなのだろうか。
いつも通り、斬華との会話で疲れながらも、今回の訓練について説明するこにした。
「今回の訓練は、魔物との戦闘だ」
「いいじゃねえか、そろそろ動かねえゴーレムを蹴るのも飽きてきたところだからな」
ゴーレムをただひたすら攻撃することに飽きてきていたようで、キオンだけでなく、全員が魔物との戦闘を楽しみにしているようだった。
「結、行けるか」
「いつでも行けますよ」
そうゆうと、空間が裂け中から結が現れた。
「それじゃ、飛ばしちゃっていいぞ」
「はいはああい、いってらっしゃああい」
「「ああああああああああああああ」」
訓練騎士達の足元に穴が開き、全員が落ちていった。
ああ、これってやられるとムカつくが、見る分には気持ちが良いな。
「お前達、俺は用事があって行けないが、そっちには俺の息子がいるから、しっかりと話を聞くように」
「「えっ?息子おおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・」」
落ちていく訓練騎士達を見ていて、ふと思ったことがあった。
「なあ、なんで毎回こんなに深くするんだ」
「えっ?その方が面白いでしょ」
予想通りの答えだった。
なんで俺の周りは、こんなのばっかなんだろうか。
「はああ、さて、俺も仕事に取り掛かるか」
場面は変わり、結の転移空間の中、斬華達はまだ落ちていた。
私は今、落ちていた。
しかし、そのような状況でも、私の頭の中をかき回す言葉があった。
息子って、何?
あの歳で、まだそうゆう知識すら不十分そうな成三が、アレをしたということなのだろうか。
そうして、成三のことで混乱してたままこの空間から出ると、森の中に落ちてきていた。
「あれ?キオン達は」
この場に飛ばされたのは、私含めフィスとランスの3人だけで、キオン達は別の森に飛ばされようだ。
「来たか、小童共」
落ちた先には、腕を組み、胸を張る、成三よりも5,6歳くらい小さい息子?がいた。
「オイ、今息子であることに疑問を持たなかったか」
「だって、つっ、ついてるの?その顔で」
「えっ?どうゆうこと」
どうやら、そっち方面の知識は皆無のようで、すううう、ふううう、興奮した。
「グヘ、グヘへへへへへへへへ」
「なっ、なんなのうう、この人、うっ、うううううううう」
息子君は涙目になってしまった。
なぜだろうか、そんなに怖がらせることなんてしてないと思うんだけどな。
怖がらせてしまった原因について考えていると、槍が私の顔のあった所を通り過ぎていった。
「ねぇ死ぬって今のは、もう少し速かったら死んでたよ私、何か怒らせるような事したかな」
「あら、すみません斬華さん、手が滑ってしまいましたわ、オホホホホホ」
笑えねえええ、てか、力加減上手過ぎるでしょ、本気出したらもっと速いのに、避けれるギリッギリの速さで投げてくるとか。
こうゆう所でも、実力差を分からされるとはね、すごく悔しい。
「斬華さん、こんな下らない話をしている時ではありませんわよ」
「それくらい分かってるよ、てか下らないって言った、槍を投げといて」
「ショタコンビ、バカやってないでさっさと構えろ」
「「ショタコンビ⁉」」
予想外の呼び名に驚いていると、地軸を揺るがす程の雷鳴が鳴り響く。
それと同時に、周囲に居た魔物の気配が消えていた。
「ふふん、君達がずっと喋ってたから、僕が全部やっつけちゃたもんね」
そう言って森から出て来たのは、さっきまで近くにいた息子君だった。
その手は魔物の血で染まり、どうやら素手で魔物を仕留めたようだった。
「そういえば、君は初めましてだったよね、僕は鳴瀬成三の息子、鳴瀬鳴神って言うんだ、よろしくね」
鳴神君は、魔物を仕留めた後とは思えないほど、明るく無邪気な笑顔で自己紹介をしてくれた。
そして流れ的に、次は私の自己紹介、これは外堀を埋める良い機会かもしれない。
そう思った私は、気合いを入れ自己紹介を始めた。
「私は剣坂斬華、鳴神君のお母さんに、成三の妻になる女です」
私は満足気にそう宣言した。




