第7話 名前
「待たせたな、剣坂訓練騎士」
訓練を切り上げ、約束通り剣坂訓練騎士の所に来ると、木刀で素振りをしていた。
「もう、こんな美少女を待たせるなんて、まあ、鳴瀬教官を思いながら待てるなら、いくらでも待つことができるけどね」
剣坂訓練騎士は、相も変わらずウザかった。
「はいはい、そうゆうのはいいから、さっさとやるぞ」
「はい、ヤリますか」
「オイ、何か意味合いが違うぞ」
「何を言ってるかよく分かりません」
マジでウザかった、つい本気で殴りそうになるくらいウザかった。
「ちっ、さっさと掛かってこい」
「それじゃ、いきます」
そうゆうと、訓練場を動き周り、俺の背後を取った。
「桜花流 桜太刀」
俺の背後を取った後、横振りの太刀を繰り出した。
その動きは、ゴーレムの腕を切った時よりも速かった。
死角からの攻撃だったが、身をかがめ避けることができた。
「桜花流 桜落」
続けざまに俺目掛け、木刀を突き刺さしてきた。
攻撃の速度が速いのもあるが、攻撃から攻撃の組み立てがスムーズで、攻撃に隙が無かった。
だが、この程度なら、避けるのは容易く、前方に飛び避けることができた。
「もう当たらなあい、素の身体能力でそれって、ホント化け物だよね」
口調や言ってることは、いつも通りだったが、攻撃が当たらないことに、少なからず苛立ちを覚えているように感じた。
「そんなもんじゃないだろ、一撃くらい当ててみろ」
「そこまで言うなら当ててあげますよ」
そうゆうと後ろに下がり、抜刀の構えを取った。
「鳴瀬教官、もし攻撃を当てられたら、1つお願いを聞いてもらってもいいですか」
「別にいいぞ、まあ、当てられるのならな」
「約束ですからね」
そして、凄まじい量の魂力が足に集中しているのを感じた。
さっき魂集を習得したとは思えないほど、魂集の精度が高かった。
「桜花流 桜花・・・」
消えた。だが分かる、狙いは腹。
「一閃」
嘘だろ、魂纏を使っていないとはいえ、攻撃を避けきれないとは。
正直当てられるとは思っていなかった。
「ふふ、ふふふ、はははははは、やったああああああ、直撃だああああああああ」
めっちゃ喜んでいた。
凄くムカつく顔をしていたが、本当に直撃してしまったため、何も言い返せなかった。
「約束、覚えてますよね」
「ああ、それでお願いってなんなんだ」
「安心して、簡単なことだから」
そう言いながらめちゃニヤニヤしていた。
うわぁぁ、すっげえ嫌な予感する。
「私のこと、剣坂訓練騎士じゃなくて、斬華って呼んで下さい、そして、鳴瀬教官のことは成三って呼んでもいいでしょうか」
「はっ?」
予想外のお願いに、かなり驚いてしまった。
「別にいいでしょう、かなり凄いことしたんだから」
「はああ、凄く不本意だが、約束だからな、これからはそう呼ぶことにする」
「しゃああ、きたこれきたこれ」
(私だけ名前呼びって、特別な感じがして最高じゃない、これで私達の関係も1歩前進ね」
「それじゃ、又明日な、斬華」
「はい、成三」
そうして、互いの名前を呼んだ後、この場を後にした。
次の日、訓練を始める前にある提案をすることにした。
「少し提案があるんだがいいか」
「提案ってなんでしょうか、鳴瀬教官」
「簡単なことだよ、ただお互いに名前で呼ぼうってだけだから」
「はああああああああああああああ、どうゆうことですか」
ああ、いい気味だぜ。いつも苛つかされてる分、めっちゃスッキリしたぜ。
「どうぜお前のことだから、特別感を出して、関係も1歩前進とか考えてたんだろうが、お前の思い通りにさせるわけないだろ」
「ああもううう、なんでよううううううううううう」
出会ってからいつもうるさかった斬華だが、今日はいつも以上にうるさかった。
だが、出会ってから初めてやり返せた気がして、最高の気分だった。




