ラベンダー編ラストエピソード 第1作目プロローグ
「勇者の聖戦」から500年後
ブルー王国内にある、オーキッドの町にて。
オーキッドの町は、多くの冒険者が活動することで知られる町です。
ブルー王国でも有数の大きな町で、都市と言っても差し支えないほど栄えています。
私は、この町へ着くと、まっすぐ冒険者ギルドへ向かいました。
冒険者ギルドは町の中心部にありますから、迷うことはありません。
ギルドの近くまで来た時、私は一人の少年を見つけました。
その少年は、ギルドの扉の前で、きょろきょろと周囲を見回しています。
建物の大きさに圧倒されて、入ろうかどうしようか迷っている様子でした。
それを見た瞬間、私は思いました。
似ている。愛しい、あの人に。
懐かしさのあまり、私はその少年――いえ、ご主人様を、じっと見つめてしまいました。
全身を舐めるように、じっくりと。
ギルドへ入ろうと意を決したご主人様が、ちょうど扉へ手を伸ばしたその瞬間。
私は、ついに声をかけたのです。
「あら~、あなた、新人さん・・・・かしら?うふふ」
「はじめまして。私もこの町に来たばかりなの」
「よかったら、私とパーティを組みませんか?」
その申し出に、ご主人様はびっくりしたような顔をしました。
けれど、すぐに笑顔になって、
「え、あ、うん。えへへ。どうしていいか困っていたので助かりました」
「あの、僕からもお願いします。ぜひ僕と組んでください」
と、ぺこりと頭を下げたのです。
(きゅ~~~~~~ん。なんてラブリーなの。可愛すぎる・・・・!!)
私が人知れず悶えていると、ご主人様は困ったように笑って言いました。
「僕も今日、村からこの町に着いたばかりだったので、勝手がわからなくて」
(はうん。なんてかわいい笑顔・・・・)
「え? なんか言いました?」
ご主人様が聞き返してきましたが、その時、別の青年が私たちへ声をかけてきました。
一瞬、ご主人様との大切な会話の時間を邪魔されて、殺気が出そうになりました。
ですが、必死で抑えました。
声をかけてきた青年は、そんなことにはまったく気づかずに言います。
「よう、少年。それに・・・・うお、美人!!」
「あ・・・・いや、失礼」
「えーと、その、二人とも見たところ、この町に来たばかりだろ?」
「俺たちもそうなんだ。それでよかったら、俺の仲間も含めてパーティを組まないかと思ってさ」
「あ、俺の名はリック。近接攻撃が専門だ。あと、少しなら盾役もできるぜ。よろしくな」
このリックという青年、どうにも軽薄そうで、私はあまり好きになれません。
ですが、ご主人様は違いました。
目を輝かせて、その青年を見ています。
どうやら、お気に召したご様子。
愛するご主人様が気に入ったのであれば、私に否やはありません。
私は、相手のリックではなく、愛しいご主人様へ向かって、自分の新しい名を告げました。
私は、創造神様の使徒となった時に、ラベンダーという名を捨て、新たな名をいただいています。
この黒い髪と黒い瞳から名づけられた名前――
ノワール。
その名をいただいてから、誰にも教えていませんでした。
最初に教えるのは、ご主人様だと決めていたからです。
「私の名はノワール。聖女ノワールといいます」
「これからよろしくお願いしますね」
そう言って、私はご主人様とリックを連れ、ギルドの受付へ向かいました。
「さあ、まずは薬草採取のクエストから始めましょう」
そして――
この物語は、そのまま『僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1』へ続いていくのです。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!
『僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です』シリーズは、このあとも続きます。
本シリーズは、大きく二つの物語で構成されています。
■奇数ナンバー(1・3・5・7…)
グリーンを主人公とした本編シリーズです。
現在へと続く物語が描かれます。
■偶数ナンバー(2・4・6・8…)
歴史をさかのぼり、英雄たちが生きた時代を描くシリーズです。
本編で語られる出来事の背景や、世界の歴史が明らかになります。
どちらの物語も一つの世界につながっています。
ぜひ、これからも『ぼくつか』シリーズをお楽しみください。




