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第3話

シルバー王国、王宮護衛兵のぼやき。


あーあ。今日もまた、城の中から国王陛下とパロット様の言い合いが聞こえてくる。


平和だなあ。


あの二人、どっちも絶対に引かないからな。


国王陛下のシェーラ様好きは、もはや知らない者がいないほど有名だし、遠征中にシェーラ様直々に雇われたパロット様も、自分で「シェーラ様の愛の奴隷」なんて言ってはばからない。


そんな二人が城の中で顔を合わせれば、毎回、大将軍シェーラ様大好きアピール合戦になる。


他国ではこんなこと、ありえないと聞く。


だからこそ、やっぱりこの国は平和で、この国に生まれてよかったなあとしみじみ思う。


数年前、親父が死にかけた時も、この国の医療制度のおかげで無料で診てもらえた。


平民なのに、こんな手厚い治療を受けられるなんて、他国では絶対にありえないらしい。


この国と、この医療制度を作った大将軍シェーラ様には、死んでも恩を返さなきゃいけない。


両親からもよくそう言われて育った。


どうやって恩返しをしようか悩んだ結果、俺は体力に自信があったから兵士になった。


幼なじみたちも、役人になるとか、別の形で国に尽くすとか、みんなそれぞれ頑張っている。


それにこの国には、貴族っていう特権階級がちゃんとある。


だけど、俺たち平民に高圧的な態度を取る奴はいない。


これも大将軍シェーラ様が決めたことらしい。


シェーラ様は、貴族には権力を与える代わりに、領民を守り、生活を支える義務があると徹底して教え込み、さらに法律でも縛ったそうだ。


だからシルバー王国の貴族は、平民に非道な真似をしない。


他国じゃ、貴族は平民に何をしても許されるとか、殺しても罪に問われないとか聞くが・・・・。


あーやだやだ。


野蛮すぎるだろ、他国の貴族。


そのうえ法律も、あってないようなものらしい。


それに比べて、うちの国は法の下で回っている。


なんと驚くことに、あの大将軍シェーラ様ですら法に従うっていうんだから、本当にすごい。


それを考えるたびに、この国に生まれてよかったと思う。


シェーラ様は、この国だけじゃなくて周辺の国々にも目を光らせていて、平民にひどい政治をする国を攻めては、シルバー王国の領土に組み込んでいるらしい。


そういう話を聞くたび、俺たちは誇らしい気持ちになる。


――ドガシャアアアン!!


考え事をしていたら、城の方から盛大な衝撃音が響いてきた。


あー、やったな。


これは窓が割れた音だ。


この音が聞こえてくるってことは、また国王陛下とパロット様の喧嘩が激しくなったんだろう。


まったく、修理する身にもなってほしい。


しかも修理代はただじゃない。俺たち平民の税金だぞ。


そんなことばかりしていると、大将軍シェーラ様がお戻りになった時、きっと大目玉だろう。


まあ、うちの国王様はそんなアホなことばっかりしているように見えるが、シェーラ様が関わらなければ本当に優秀だという評判だ。


俺たちにもすごく優しいし、武術だって並の兵士よりはるかに強い。


それに、男の俺から見ても凛々しくて色気がある。


そりゃあ女性にモテるだろうに、ちっとも結婚しない。


いい加減、シェーラ様のことは諦めて結婚すればいいのに、と兵士の俺ですら思う。


貴族や王族には世継ぎの問題があるから、子を作らなきゃならないらしく、大臣たちも必死で国王陛下に縁談を勧めているらしい。


王宮護衛の同僚が言うには、大臣たちは国王陛下に女性を迎えてもらう方法を、託宣の巫女様にまで相談しているとか。


それでも駄目なら、次の王は弟君に継いでもらおうって話まで出ていると聞いたことがある。


しかもその話を聞いた国王陛下は、


「弟が継いでくれるなら、私はシェーラ様と一緒に従軍できるぜ!」


と目を輝かせていたそうだ。


・・・・まあ、なんにせよ。


大将軍シェーラ様がいる限り、このシルバー王国は安泰だろう。


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