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竜好きのオレ、ドラゴンの世界に転生して聖竜になる。  作者: 岩田 巳尾


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『それぞれの報告』 その16

 少しの静寂を挟み、最初に口を開いたのはエイラだった。


「……まぁ、もしショーナに聞かれる事があれば……しばらくは誤魔化します。……すみませんが、ジャックとジョイも……ショーナには黙っていて下さい」

「……分かった」

「……そうするわ」


 しかめっ面で言ったエイラの言葉に、ジャックとジョイは真剣な顔付きで一言返事をした。しかしジョイはそのままエイラに問い掛ける。


「でも……、いつかは話さないといけない。……あの子は探究心が強いから、いずれ父親について調べ始めるわよ。……どうするつもりなの?」

「……私としては、ライルの口から言わせるしか無いと思っています」

「ライルから……?」

「……そうです。……こうなってしまった以上、もうライルに言わせるしかありません」

「……大丈夫なの……?」

「……私の口から言えば、ショーナの中にある父親の印象は……最悪の状態から始まってしまいます。さっきも言いましたけど、ショーナはライルに追い返されているんです。実の父親に……です。

 だから……ライルが一番に言わないといけないと、私は思っています。……自らの過ちを、心から謝罪して」


 今の言葉を聞き、今度はジャックが口を開く。


「……そういえば、ライルは一応……あの場で、あいつらに謝っていたぞ。……俺もかっとなってはいたが、一応……それは見ていた」

「誰かが見ている所で謝っても、それはパフォーマンスかもしれないじゃないですか」

「……手厳しいな、エイラ……」

「当然です。……本当に謝る気があるのなら、一対一で謝るべきですよ。……特に、ショーナは実の子なんですから」

「……まぁ、父親であると打ち明けるなら、尚更だろうな……」


 ジャックが鼻でため息を吐いて呟くと、エイラとジョイも鼻で小さくため息を吐いた。そして一呼吸置き、エイラは仕切り直す。


「とにかく、ライルの件は追い追い考えます。……ここで話していても、状況は変わりませんから」

「……そうだな」

「……それで、ジャックの話……後一つあるんですよね? ……何でした?」


 エイラの振りに、ジャックは鼻で小さくため息を吐いて一呼吸置き、腕組みをしながら彼女に真剣な表情を向け、口を開く。


「あぁ……。ショーナなんだが……」

「あら。……もしかして、フィーと何かありました?」

「違う、そうじゃない。……『厄災』だ」

「……どういう事です?」


 途中でおどけながら言葉を返したエイラだったが、ジャックの一言で真剣な顔付きになり、問い返していた。そんなエイラにジャックは続ける。


「あいつ……どうやら、気付き始めている様でな……。あいつの口振りからすると、書庫長とも何かしら……話しをしているかもしれん。まぁ、あいつの話だと、書庫長も俺と同じ様な事を言ったそうだから、恐らく言葉を濁されたんだろう。

 ……あいつらには当面伝えないという箝口令(かんこうれい)は、一応……皆、守り続けてはいる。だが……そろそろ限界だ。あいつ自身が気付き始めている上、あいつと行動を共にしていたフィーも……もう耳に入っているだろう」


 ジャックの言葉の切れ目で、ジョイがしかめっ面で口を挟む。


「……私も昨日、ライルとの話の流れで……『厄災』という言葉は口にしていたから……。聞かれていたでしょうね」

「ジョイが言う以前に、ミレット副長も数日前……あいつらの前で口を滑らせていた。俺も慌てて制止したが、言われた後だったからな……。

 どうするんだ、エイラ。……ゼロから聞いた当初の予定だと、あの遠征訓練の後に……あいつらに打ち明けるという話だったハズだ。……もちろん、予定が狂ってしまったのも理解しているが……。

 次の厄災だって近付いている。このまま話せなければ、あいつらは……友好派に移るかどうかを選ぶ事無く、厄災を迎えてしまう事になるかもしれないぞ」


 それを聞いたエイラは、少しうつむいてしばらく考え、ジャックに顔を向け直し答えた。


「……話さないといけないのは確かです。ただ……あの子達にとって友好派は……、今となっては、あまりいい印象が無いかもしれません。

 そういった状況で話すとなれば、あの子達は……選択肢が無くなってしまいます。……果たして、それが本当にいい事なのかどうか……」

「…………」


 エイラの言葉に、ジャックはため息混じりにうなる。


「私は……あの子達に、自分の意志で自分の道を決めてほしいと思っています。……それはジャックもジョイも同じでしょう?」

「……まぁ、そうだな」

「そうね」


 真剣な顔付きで問うエイラに、二頭もそれぞれ真剣な表情で相づちを打つ。


「……あの子達が自らの意志で『残る』という選択をするのであれば、私はそれを尊重します。しかし……その理由が、『友好派は信頼出来ない』という消去法的な答えなのであれば、それは本当に……『自分の意志』と言っていいのかどうか……。

 あの子達が『残る』という選択をすれば、この集落で……何かしらの役割に就く事になります。……あの子達も、もうオトナです。ですが……」


 エイラはここで顔を逸らして言葉を切った。その表情はどこか辛そうな心境が表れており、それを察したジャックが言葉を繋いだ。


「……嫌なんだろう? エイラ」

「……もちろんです。……本当なら、あの子達を巻き込みたくはありません」

「……誰だって、我が子を厄災に巻き込みたくはない。……当然の事だ」

「…………」

「だが……。万が一、『残る』という選択をすれば……。あいつらは空竜種だから……この集落での役割も限られてくる。

 仮に支援部隊に配属されたとしても、両手が満足に使えないとなると……生活の支援や戦闘部隊の支援は無理だ、別の班になる。……輸送班とかな。

 ……しかし……、俺はもっと別の事を懸念しているがな。エイラも……それを懸念しているんだろう?」


 ジャックの問いに、エイラは顔を逸らしたまま静かにうなずく。


「あいつらが……ここに残って『戦う』という決断をする事……。そうだな?」

「……そうです」

「そうなれば……戦闘部隊という事になる」

「…………」


 エイラはジャックの言葉を聞き、相変わらずの表情のまま鼻で小さくため息を吐いた。一呼吸置き、今度はジョイが口を開く。


「……それで、もしあの子達が『戦う』と決めたら……。あなたはそれを認めるの? エイラ」

「……本当は嫌です。あの子達には……穏やかに過ごしてほしかったんです。ですが……もし、あの子達が『戦う』と言うのであれば……、私はあの子達の意志を尊重します」

「……本当に、それで大丈夫なの? エイラ。……あの子は責任感が強いから、厄災の事を知ったら……『戦う』と言い出しかねないわよ? フィーだって、もし両親の事を知ったら……」

「……親がコドモの生涯を制限するのは、私は……あまりいい事だとは思いません」

「下手をすれば、あの子達の命に関わるのよ? コドモの安全を守るのも、オトナの責任でしょう?」

「……ジョイ。あの子達はもう……オトナなんですよ」

「…………」


 辛さと悲しさが入り混じる表情で、ジョイに目を向けて呟いたエイラ。それを見たジョイは、視線を下に向けて鼻で小さくため息を吐く。一呼吸置いたエイラは続ける。


「だから……余計に、あの子達の意志を尊重しないといけないと、私は思っているんです。私達の気持ちだけで、私達が勝手に決めていい事ではありません。

 だからこそ、あの子達には……早く話してあげないといけないのですが……」

「厄災と……それにまつわる、独立派と友好派の役割について……」

「……そうです」


 エイラはジョイの言葉にぽつりと相づちを打ち、表情そのままに続きを口にする。


「……話してあげないといけないんですが……。繰り返しになりますが、ライルの一件や、今回の一件で……、あの子達にとっての友好派の印象は、少なくとも……良くはないと思っています。

 話さないといけませんが、すぐには……」

「……あまり時間は残ってないわよ、エイラ……」

「……分かっています。……ですが、今すぐというのも……無理です……」

「……そうね……」


 二頭の会話が途切れたのを見計らい、ジャックが口を開く。


「そうだ、エイラ。さっき話に出ていたが、フィラとサイリスの件はどうする? いつまでもフィーに黙っている訳にもいかないだろう?」

「……そうですね」

「これも一応……皆、箝口令は守っているが……。こちらもそろそろ限界だろう。あいつもオトナになって、何かしら気付き始めているに違いない。それに……俺は当事者だしな……」

「……厄災の件と含めて、それも考えないといけませんね。ですが……今は少し様子を見ましょう。あまり時間が残っていないのは分かっていますが、どれも今すぐに動ける事ではありません。……タイミングは大事ですから」

「……そうだな」

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