第5話 才能
「どうなのでしょう、息子に才能はありますか?ドール様」
少し震えた弱い声で、レインが聞いた。
ドールはその長い髭をゆっくりと撫でた。
「才能は、ある」
レインは目を大きく開き、抱き抱えて居る僕のことをギュッと握りしめた。
「ただ」
「ただ?」
「才能がありすぎるかもしれん。ちゃんと鍛えてやった方がいいだろうな」
レインは目を白黒させた。どんな反応をすればいいのかわからないらしい。
それは聞いている僕も同じだった。
僕に、才能がある。
それ自体は、とても嬉しかった。
でも、それだけに不安だった。
今世ではちゃんと努力して、才能を磨くことができるだろうか。
前世みたいに途中で燃え尽きて、ダメなまま人生を終えないだろうか。
僕はギュッと僕を抱き抱えている父の腕を握りしめた。
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「あの、ドール様。この子にどんな事をしてあげたら良いでしょうか?」
「そうじゃな。確か子の名はアレンと言ったな。お主、努力はできるか?苦しいことをしてまで自分を鍛えたいか?」
ドールがじっと僕の目を覗き込んだ。
少し唾を飲み込んで、僕はドールの目を見つめ返して答えた。
「はい、強くなりたいです」
そうか。そう言ってドールはニッコリと笑った。
「では、お主に全ての魔術の基礎となる、魔術を感じる方法を教えてやろう。運が良ければ、来年までには自力で魔力を感じることができるようになるじゃろう」
おお、すごく嬉しい。
僕は心の中でガッツポーズをした。
「では時間もあることだし、今やってしまうぞ」
シワだらけの大きな手を、僕の方へ伸ばしてきた。
僕は思わず目をギュッとしてしまう。
大丈夫だ。そう言ってドールは優しく笑った。
「そのまま目を瞑っておいで。きっとそっちの方が分かる」
僕は黙ってそのまま目を瞑ったままにした。
暗い。真っ暗闇だ。
本当に魔力をこれで感じられるのか?
そんな風に考えた次の瞬間、体を光の流れが巡れはじめた。
光が実際に流れたわけじゃない。
けど、そうとしか言えない何かが身体中を巡っているのだ。
気持ち良くはない。
けど、これが魔力なんだ。そう直感で理解できた。
「わかったか?」
僕は頷いた。
ドールもレインも驚いた表情で僕をみた。
「感じ取れたのか?」
「まさか、早すぎる」
え、これ本当に魔力なんだよな。自信無くなってきた。
「もう一度やってみよう、どうじゃ?」
僕は目を瞑った。
1秒、2秒、そして数十秒がたった。
何も感じられなかった。やっぱり気のせいだったのかもしれない。
僕は顔をくしゃっとした。
「すいません、今度は感じられなくなりました」
ドールは驚いた。
「本当に感じ取れているらしい。すまん、実は今回は何もしていない」
なんだよ、この爺さん。悲しさが一転、ぐちゃぐちゃとした感情に僕はなった。
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それから何回か魔力を感じ取れるかのチェックをしてみた。
結論から言うと、俺はちゃんと体に流し込まれた魔力を感じ取れるらしい。
ここまで早いのは、十年に一人か二人の才能レベルらしい。
嬉しい。どうやら俺はこの世界でもエリートなのだ。
「まあ、最初の段階を超えただけだから、ここからが難しいんじゃがな」
鼻を伸ばしていると、ドールから冷や水を浴びせられた。
「さて、では魔術を感じられるなら、次の段階に行ってみようか」
ドールはそう言って、僕の方をじっとみた。




