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第3話 魔法

 俺は早速この世界の母親に頼み込んだ。


「母さん、火ってどうやって出すの?」


「あら、アレンは魔法が使いたいの?」


 母親のセレナが僕ににっこりと微笑んできた。

 可愛い。


「うん、僕も火、出したい!」


 ちなみに、子供のふりをして、辿々しく話しているわけではない。

 語彙がまだ少ないのだ。そう、決して赤ちゃんプレイが好きで、わざとやっているわけではない。


「うーん、そうねえ。もっと大きくなったらね。危ないから」


「えーやだ、やだ、やだ、やだ」


 俺は泣きそうになった。

 どうやら肉体に精神が引っ張られているらしい。

 感情の波が急激に俺を押し流す。


 気がつくと俺は泣いていた。東大卒のエリートなのに。


「僕も出したい、火、出したい」


 手足をバタバタとさせる僕を、眉をへの字にしてセレナは見ていた。


「あのね、ごめんね。母さんじゃ魔術を教えられないの。専門の先生が必要なの。けど、うちには先生を呼ぶお金がないの。ごめんね」


 僕はさらに勢いよく泣き出した。

 そんな、魔法があるのに教われないなんて。


 悔しいいいいい。


 僕はさらに手足をバタバタさせて、机の角に足をぶつけた。

 痛みでさらに泣いた。


 ---


 落ち着いた俺は、よく考えた。


 一人で魔術を勝手に勉強すればいいのではないかと。


 どうやればいいのかは、まだわからない。

 けど、魔法は使えるはずなのだ。

 だったら自分でやってみればいい。


 東大卒の俺に不可能はない。


 異世界転生ものの小説やアニメだと、お腹の真ん中に力を込めたらいい感じに魔法が発動できると書いてあった。

 だったら試してみよう。

 まずは魔法を感じるところからだ。


 東大卒の俺の力、見せてやるぜ。


 ---


 結論から言おう。


 数日に及ぶ、俺の努力は全く実らなかった。

 腹に力を入れたり、呪文を唱えたりしたが、何もつかめなかった。

 しかし、別の方向から俺の希望は叶えられることになった。



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