第45話
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「エルフィ、これどういうこと」
「どういうことって?」
「二千八百八十万で終わりじゃなかったの?」
「それが終わりじゃないのよね」
「どうして?ガルドの分も遣い切ってしまって、もうレクトにお金は無いはずなのに」
「そのレクトが、私にお金を借りに来た」
「え……?」
「宝石をどうしても諦めたくないから、一千万貸してくれって」
「……貸したの?」
「まだ返事はしてないけど、貸すつもり。私の褒賞金から出す」
「どうして?どうして貸すの?そこで貸さなければ、二千八百八十万で止めておけば、そこで終わりにでき」
「私が貸さないと、どこから借りてくるか分かったもんじゃない」
「……あ」
「あんたも知ってるでしょ。あのレクトよ。どうしても欲しいものがあれば悩まないし、それを手に入れる手段がある限り、絶対に諦めない」
「……」
その判断の速さと諦めの悪さが、こんな形で現れてしまうなどとは、ミレーヌは想像もしていなかった。
「これが他人を傷つけたり騙したりする話なら間違いなくやらないけど、自分がお金を借りる分には、困るのは自分だけだから、レクトからすれば躊躇する理由が無い」
「……」
「“魔王を倒した勇者様”を利用したい連中はいくらでもいる。そういう輩にお金を借りた日には、後々どんな面倒が起こるか知れたもんじゃない。それを防ぐためには、自分で貸すしかない」
「……」
「止めたいのなら、レクトに全てを打ち明けるしかないわね。それでどうなるかは分からないし、私はもちろんやらないけれど、あんたがやるというなら、止めはしない」
「それは……」
それは、できない。
計画をやめるわけにはいかないこともあるが、それ以上に、自分もレクトを騙している側である。自分の気が済まないからと、レクトに打ち明けて自分だけ降りようだなんてことは、もちろんできない。ただ。
「それは、それは分かるけど、ならなんでさらに値を吊り上げたの? 貸すだけ貸してそこでやめておけば」
「ミレーヌ」
ミレーヌが止まる。
「何度でも言うけど、私は、今、褒賞金を実質的に減らせる機会があるのなら、それを逃すことは、絶対にしない。国のため、銀行のため、そして自分と、自分の仲間のために、それが最善だと判断する限り、決して止めることは無い」
「……」
「ミレーヌの言いたいことは分かる。レクトをいいように利用していることも否定はしない。後でどれだけ私を罵ってくれてもいい。でも、それでも、私はこれを止めない。もし、どうしてもミレーヌが私を止めたいのなら」
「止めたいのなら……?」
「私を、殺しなさい」
「……!」
沈黙が走る。
ミレーヌの口から、嗚咽がこぼれる。
「……ずるい。ずるいよ、エルフィ」
「……そうね」
「あなたを殺すなんて、そんなこと、できるわけないじゃない……」
「……そうね、言い過ぎた。ごめん、ミレーヌ」
「ううん、私こそ、ごめん」
涙を拭く。
「分かった。もう、やめろとは言わない」
「ありがとう、ミレーヌ」
「代わりに、一つ、条件を付けさせて」
「何の」
「レクトに貸すお金は、私の褒賞金から出すこと」
「……受け取らないわよ。私に借りに来たのも、ミレーヌにあわせる顔が無いからって言ってたし」
「じゃあ、私の褒賞金を、エルフィからだということにすればいい。それなら受け取るでしょ」
「……分かった。そうする」
「ありがとう」
「ただ、こっちからも一つ、条件を付けさせて」
「何の?」
「もし、三千八百八十万を超えたら、その分は私が出す」
「うん、分かった。ありがとう……でも、そこまで行く気なの」
「レクトが諦めなければ」
つまり、そういうこと。
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入札番号:0601の1
第30回入札結果
レクト・ヴァンフリート 3250万
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入札番号:0601の1
第31回入札結果
ベルト・サヴィニ 3500万




