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キャンプ②

 森の中に入ると動物の声が増え、中は賑やかだった。木々の間から光がさしていてとてもきれい。しばらく歩くと3人の前に1本の小川があらわれた。水はとても澄んでいる。木漏れ日が反射して水面はキラキラと輝いていた。みんな疲れてきていることだし、

「いったん休憩にしますか。」 

「やったあ!」 

「やっと休憩…もう疲れましたよ。」  

後ろからも歓喜の声が聞こえてきた。  


川の付近の土は柔らかそうな苔で覆われていた。深い緑をしていて川の青との対比が美しい。

私は川の水を汲んでゴクゴクと飲んだ。 

「うまっ!」  

私の体内をひんやりとした水が通る。とてもすっきりとした。なんだがいつもの100倍くらいはおいしい気がする。はあ、これが運動の後の水か。なんて素晴らしいのだろう。 


川はサラサラと静かに流れている。私はしばらくぼーっとしていた。もうここにテントをはってもいいかもしれない。だが、そんな時間もすぐに壊された。2人の男によって。

「セシル、もう行こう。」 

「そうですよ、テントを張る場所を探さないと。」 

「2人とも元気だね。」  

「え?まさかあなた、もう歩けないとは言いませんよね?」 

「いや、まだ歩けるけどあなたたちは疲れてないの?」 

「今、休憩したではないですか。体力は復活しましたよ。」  

「ノアは?」

「もう大丈夫。」 

「本当にあなた病人?もう体調治ったんじゃない?」 

「セシルの体力がないだけでしょ。」 

グフッ。その言葉が私の心を容赦なく傷つける。私、そんなに体力なかったっけ?いや、普通くらいにはあるはず。だって畑仕事とかしているし…ただ最近はジアッドに任せっきりということに気づいた。 

やっぱ体力ないのかなあ、私。それはまずい、もっと運動することにしよう。  


と思いつつも私はほうきに乗って移動しはじめた。前はほうきで診療所に行っていたが、最近は行ってないから乗れなくなっているかもしれない。乗れなくなるとまずいので練習しておく。そしてもうひとつ理由がある。それはあの湖を見つけること。この森の中には1つの小さな湖がある。私は小さい頃によくそこに行っていた覚えがある。修行で疲れた時に師匠がよく連れてきてくれたなあ。夏はよく泳いでいたっけ? 

私は、今日はそこにテントを張る予定だった。 

 

すいすいと木々の上を進む。とっても気持ちがよい。この風を切る感じが。私はひとつ結びにしていた髪を下ろした。髪が靡く(なび)。やはりこうしているのが1番良い。ただ前髪は鳥の巣のようになっていると思うが。    


 少しするとぽっかりと木がなくなっているところが見えてきた。よく見ると青いものが見える。きっとあの湖だ。私は懐かしさで胸がいっぱいになった。ここに来るのはもう7年ぶりくらいだった。最後に来た時は師匠が一緒だったかな。よく考えると1人でくるのは初めてだ。  

すうっと地面に降りる。水の近くだからなのか、草の背が高かった。そして今までにはあまり見られなかった花が咲いている。 

ひらひら、と蝶が目の前を横切った。音ひとつたてずに、静かに飛んでいる。とても優雅だ。 

 

その後合流し、3人で仲良く準備をしていた。私は薪を探しに行って火をつけ、料理の準備をする。ジアッドとノアはテントをはっていた。私はとても楽しかった。昔学校で行った宿泊合宿を思い出すな。あの時は班員がいろいろとやばかったから大変だったけど。今日のメンバーはその時よりはマシだろう。 

準備が終わる頃には空が紫になりかけていた。3人は並んで湖のそばにちょこんと座っていた。水に自分たちの姿が映っている。私は水の中のノアと目があって少し気まずくなった。 

水には空と木が反射している。とても幻想的な光景だった。3人の中では沈黙が続いている。ただ、とても心地の良い沈黙だった。

そろそろ料理の準備を、と思い私は立ち上がった。今日はシチューにする。 

コンコンコン。まずは野菜を切りまして、炒めておいた鳥を加えてゆでる。そしてまあいろいろと加えたらあっという間にシチューの完成!ふふ、私なんだか本当にお母さんみたい。もしそうだとしたら、ノアは子供でジアッドはお父さんになるのか。ジアッドがお父さん…… 

うう、考えるんじゃなかった。もうこのことは気にしない! 



 ご飯を食べ終わるともうあとは寝るだけになった。が、今日はそういうわけにはいかない。そう、ここの湖、星空とセットで見るととても綺麗なのだ。私はこのためにここに来たと言っても過言ではない。あと、ノアも星が好きみたいだし。 


再び3人で湖のほとりに座る。もうノアが真ん中というのは定位置になっていた。きっと2人も気づいていないが、無意識にそうなっているのだろう。 

まだ焚き火の火はわずかに残っていて奥の方でパチパチという音がする。ただ、その明かりがこちらに届くわけでもなく…本当に明るいものは月と星だけだった。みんな静かに空を見ているが…私としては何かおしゃべりをしたい。だって宿泊学習の夜といったら夜遅くまでずっと喋り続けることが醍醐味でしょう!私も実際にそうだった。そして見回りに来た先生に怒られて。でもそれが最高に楽しかった。うーん、話題は何にしようかな。今ここにいる3人は性別だって違うし立場も違う。全員が楽しめるお題とは何があるだろう。好きな食べ物?将来の夢?などとつまらないものしか出てこない。 

私はあまりに思いつかないので2人に聞いてみることにした。 

 

「ねえ、2人。せっかくだから何か話そうよ。」 

「いいですね、やっぱキャンプの夜といったら全員が寝るまでしゃべっていることですから。私も学生時代にやっていました。宿泊合宿のときとかはそうでしたね。」  

真っ先に反応したのはジアッドだった。  

「ジアッドに学生時代とかあったんだ。」 

「私をなんだと思っているんですか。もちろん学生の頃もありましたよ。」  

「てか、宿泊合宿あったんだ。そのときは何を話してたの?」  

「それは言えませんよ、女性の方には。」 

「いったいどんな変なことを話していたのよ…」

「聞いたら後悔すると思いますが?」 

「ならいい。話さないで。」 


「それで、話の話題は何がいいと思う?」

「それはもちろんこれですよ。こういうときの話すことといえば…」 

「恋バナです!」 


それを聞いたノアとセシルはしーんとなった。

















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