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キャンプ①

 「テントと寝袋は持ったよね。あと、鍋と皿と…」 

 明日はノアとジアッドとキャンプに行く予定だ。今はその準備をしている。明日の天気は晴れ。キャンプには絶好の天気だ。さらに流れ星も見れるらしい。  

「よし、準備完了!」

あはは、楽しみだな。だってキャンプ!焚き火したり、星を見ながら寝られるのかなあ。私は明日に興奮しすぎてなかなか寝られなかった。あまりに寝られないので、ひつじを数え始めたが…ひつじが247匹、ひつじが248匹…

もうダメだ。寝れない。本当にどうしよう。どうしよう。楽しみすぎる。私は興奮すると絶対に寝れないタイプだった。こうなったら宇宙について考えるか。これは小さい頃から眠れない時にはやっていることだ。確か小説で読んで知ったはず。 

「眠れなかったら宇宙について考えてみると良い。」 

本当かどうか気になった私はさっそくその夜にやってみたが…それは本当だった! 

いや、本当に不思議だけど眠れるのよね。宇宙に終わりはあるのかとか、あるとしたらどのような形なのだろうか考えていると不思議と眠くなる。 

その日も宇宙について考えているうちに私は眠りについた。 


 翌朝目覚めて時間を確認すると、 

「まだ5時30分じゃん!」 

出発は8時を予定している。まだ2時間半もあるよ…私は暇なので外に散歩に出ることにした。まだ辺りは薄暗い。ちょうど日の出が見れそうだ。 

外の空気は澄んでいる。なんだがいつもより空気がおいしい気がした。きっと気分が良いからだろう。はあ、幸せだなあ。本当に幸せ。旅に出る前ほど幸せな時間はない。きっとキャンプが終わったらこの時間に戻りたい、と何回も思うんだろうな。 


少し歩いているとブランコが見えた。これは数年前に自分で作ったやつだ。私はブランコに乗ってゆっくりとこぎはじめた。自分で作ったものだからそこまで高くはあがらない。ただ、これがちょうど良いくらいだ。ここからは遠くにある街が見渡せる。街ではぽつぽつと明かりがつきはじめていたが、それでもまだ暗い。 

綺麗だなあ。 

そういえば久しぶりに1人になった気がする。前では1人は当たり前だったのに。いつの間にか私の日常にはノアがいて、そしてジアッドもいるようになっていた。前では2人とも嫌いだったのに、今ではいつも一緒にいるようになっている。そしてその時間を心地よいと感じるようになっていた。これはまた1人に戻るのがつらいなあ。ノアも元気になったらこの家からいなくなるだろうし。セシルは賑やかなのが意外と好きだった。 



 家に帰ると2人とも起きていた。もう我が家のようにくつろいでいる。もう、ここは私の家なのに。時間を見ると6時半くらいだった。2人もやっぱはりきってるんだ。だってノアがこんな時間に起きることなんて初めてだもの。 

「2人とも起きるの早いね。」 

「いや、あなたこそいったい何時に起きたんです?」 

「ええっと、5時半くらい?」 

「あなたが1番早いではないですか。出発、8時ですよ?」 

「いや、これはしょうがないの。昨日、楽しみすぎてぜんぜん寝れなくて。羊だって250匹くらい数えたんだよ。夜遅くに寝たから朝も早く起きちゃったというわけ。」 

「そんなに楽しみにしていたんですか。」 

「うん!だってキャンプだよ。私、初めてなの。ノアも楽しみだよね?」 

私はソファでまだ眠そうにしているノアに声をかけた。  

「え?ああ、別に普通。」 

「えっ?そうなの?ノアのために計画したのに。」 

そう、このキャンプはノアをもっと運動させるために、と計画したものだった。なのに本人があまりやる気がないなんて。それはいけない。私はキャンプの楽しさ(予想)を語り始めた。 

「あのね、行ってみたら絶対に楽しいから。まず森林や草原の中をたくさん歩いて、ちょっとひと休憩っていう時に飲む川の水が最高に美味しいの。そして夜には焚き火をして、寝る頃になったら満点の星空を眺められんだよ。その頃には火は消えていて、本当に星と月以外に明るいものはなくなっているの。きっとすごい綺麗……」 

私はついつい長く語ってしまった。2人は半眼になって呆れている。 

「お前、想像力ありすぎんだろ。」 

「結局、1番楽しみなのはセシル様ではありませんか。」 

「うん、それはそうかもね。」 

私はついに認めた。確かにこの様子ではそうだろう。  



 あまりに私がはりきっていたおかげか、私たちは結局予定より30分くらい早く家を出た。 

セシルは先頭に立って歩き出す。ただ、すぐに後ろから文句が飛んできた。 

「セシル、そんなはやく歩けない。」 

「そうですよ、私は荷物をたくさん持っているのです。もう少し速さを考えてください。」 

そうだった。ノアは一応病人だった。ジアッドは荷物運び係のつもりで連れてきたから荷物が重いのは当たり前だけど。 

「ごめんなさーい。でも、もしつらくなったらほうきに乗せてあげるから。」  

そう、私はこう見えて魔女なのだ。魔女は基本的にほうきに乗って移動する。まあ、私は徒歩の方が好きだが。 

「え?セシルってほうき乗れるんだ。」

「もちろん乗れますとも。だって私は魔女だからね。魔法使いは誰でも乗れるの。」 

「けどセシルが魔法を使っているところ、見たことないよ。」 

「私は治療の魔女なの。今はこんな田舎に住んでいて誰も怪我人がいないから魔法を使う機会がないだけ。本当は使えるんだから。」  

「誰か怪我しませんかね。私もセシル様の魔法、見てみたいです。」

「ちょっと、ジアッド。何とんでもないこと言ってるのよ。まさかやらないと思うけど、人をわざと怪我させたりしないでよ。あ、自分を犠牲にして傷つけるならいいけど。」 

「さすがにそんなことしませんよ。今のは冗談です。」 


 20分くらい歩き、森林の入り口についた。よし、もう少し歩くのをがんばるぞ!


 





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