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数日たった頃

 ノアがやってきて数日がたった。分かったことが何個かある。それはこの王子様はとんでもなくわがままで無愛想で扱いがとても難しいことだ。例えば私が朝食を作ったので呼びに行くと、

「いらない。」 

とか言って食べないことがかなりある。その後結局押さえつけて、食べ物を口に運んで無理やり食べさせているが、とても大変な作業だ。そうやって自分で生きる気がなさそうなくせに 

「病気を早く治せ。」 

などと言ってくるのだから本当にイライラする。 

あと、私は薄々気づいていたが、この人はたぶん病気ではない。体調が悪いのは食の細さや運動をしていないことなどの生活習慣にあるのだろう。 

私は治療師だ。確かにいろんな怪我を治せる。ただ生活習慣が単に原因で少し体調が悪いってだけなのにそれを治せと言われても無理だ。気分を楽にするくらいはできるが。こういうのは本人が変わりたいと思って生活習慣を改善するしかない。 

なぜ王宮は私にこの王子を送ってきたのだろう?気づかなかったのかみんなは。だとしたらこの国の治療師の水準が心配になる。 

 

セシルは今日もノアを起こしに行った。

寝顔だけは安らかなんだよね。年相応の表情をしている。いつもはすっごいカリカリとした顔をしているから。だけどいつか笑顔になってくれる日が来るのかな。 

 セシルは別にノアが嫌いなわけではない。確かにイライラはするがこうなったのにも事情があるのだと思っている。ただ、もっと明るい性格になって欲しい。そして美しいこの世界を見て欲しいな。  

 

「起きろー!」 

私はフライパンにおたまをたたきつけてドカドカ音を鳴らしていた。こんなことをやったのは初めてだった。長いこと一人暮らしをしているから。  

「今日はミネストローネよ。嫌いなの?」 

「うるさい…」 

「もう8時なのに。」  

 

結局ノアは布団の中にもぐってしまい、起きてこなかった。本当にあきれる。 

 

今日は香水を作る日だ。リラは本業は治療師だが、副業もやっている。金はたくさんあって損することはない。


作り方は簡単だ。まず精油を作る。 

今日は快晴でとてもいい天気。ノアも外に出ればいいのに。 

まずラベンダーとレモングラスを大量に摘む。あ、ハーブティー用にカレンデュラも摘んでおこうかな。 

そしてそれらを鍋に水と一緒に入れて水を蒸留する。これで精油はできた。 

あとは精油を精製水と混ぜて少し魔法をかけて完成!この香水、気取ってない自然な香りがすると評判でご婦人方によく売れるのよねえ。あと、魔法で少し美容に効くようにもなっているし。なんなら治療師の仕事をやめて香水屋さんになっても生計は立てていけるだろう。


よし。仕事したことだし一旦休憩するか。私はさっき摘んだカレンデュラとカモミールでハーブティーを作った。このハーブティーは私のお気に入りだ。ノアにも持ってってやるか。 

「ノア、ハーブティー作ったよ。」 

ノアは1日のほとんどを与えられた部屋で過ごしている。きっと動くのもだるいのだろう。かわいそうに。私にはいつの間にかそんな気持ちが生まれていた。母親とはこういう気持ちなのだろうか? 


「……」

やっぱり飲んでくれないか。私はお茶をさげようと瞬間…飲んだっ?  

彼はしばらく沈黙した後、口を開いた。

「このお茶は小さい頃に母様が作ってくれたやつと似ている。」  

「え?そうなの。それは良かった。これはね、カレンデュラというのとカモミールってやつが入ってるんだ。気に入った?」 

「うん。」    

「ならこれから毎日作るね。」 

 

私は宣言したとおり、次の日から同じハーブティーを毎日のように与え始めた。ただ5日目で 

「これ、飽きた。違うやつがいい。」 

と言われてしまった。私は少しショックだった。ただそんなに毎日同じのを飲んでたら飽きるのも分かる。それなら明日は…

「明日は一緒に外にハーブを摘みに行きましょう!病気を治すにはやはり外に出て新鮮な空気を吸うことと日光を浴びることが大事よ。」  


そして次の日、私は外で遊ぶ気満々の格好でノアの部屋に向かった。帽子をかぶり、汚れてもいい服を着ている。

「行くわよ!外に。ほら、早く。」  

はあ、これでは自分の方が子供みたいではないか。

「歩きたくない、おんぶして。」 

「え?本当は嫌だけど…しょうがないわね。ほら、乗りなさい。」 




 ノアをおんぶしながら私は歩き出す。とてもノアは軽い。この歳の子供とは思えないほどの体重だった。 

セシルの住んでいるところは周りに何もない、ただ草原が広がっているだけの地帯だ。そして近くには山がある。私はのどかなここが大好きだった。 

「ノア、見てよここの草原を。綺麗でしょう?王都にはなくて。ここの空気を長い時間吸っていればきっとからだもよくなるよ。」  

「やっぱ自分で歩く。」  

彼はおりるとフラフラと歩き出した。こっちから見ているとすごい危なっかしい。彼もそれを自覚したのか私の服の裾をちょこっと掴んできた。 

か、かわいい。なんなんだこの可愛い仕草は。あんなにわがままだけど子供らしいところもあるんだ!私は結構感動していた。 

 


 風が吹き、草がなびく。サラサラと心地の良い音がする。私は空に向かって手を伸ばす。が、届くはずもなく…空は雲ひとつなくなめらかに弧を描いている。 

私は草原のど真ん中に寝っ転がっていた。そして隣にはノアがいる。 

「はあ、とても気持ちが良いでしょう?」 

私が聞くが隣から返事はない。見てみるとスヤスヤと眠っていた。今は本当に安らかな顔をしている。よかった…

私も眠くなってしまい寝てしまった。











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