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いそうろうがやってきました。

 治療の魔女と呼ばれるセシルは目立たず、周りには山や木しかない超のつく田舎に1人で住んでいた。ただ、生活をしていくには金がいる。そのためセシルは診療所を運営していた。そして今日は診療所は休みだ。セシルは家でくつろぎながら読書をしていた。ああ、やっぱり休日は最高だあと思っていると

コンコンとドアがノックされた。

セシルが扉を開けるとそこには10歳くらいの少年と自分より少し歳上くらいの青年がいた。服装から考えるに、身分は少年の方が上だろう。そしてなぜかどちらもしばらく口を開かない。沈黙が続く。私は青年の方を確認したが、何やら胡散臭い笑みを浮かべている。どうやら話す気はなさそうだ。すると少年の方が口を開いた。

「病気を治して欲しい、僕の。」 

「はい、よく言えました、ノア様。ただ、思ったより長かったですねえ。私なんて沈黙が気まず過ぎてうっかりふき出しそうでしたよ。」 

青年が突然饒舌に喋り出した。呼び方からしてこの人はこの少年の従者なのだろう。 

「黙れジアッド、俺はこれでも勇気を出して言ったんだ。」 

「そうでしたね、とても感動的な瞬間でした。あのノア様がこんなことを言えるようになるなんて。本当に夢にも思っていませんでしたよ。」 

「馬鹿にするな。」 

いったいなんなんだ。この人たちは。セシルはとてもあきれていた。人の家に入ってきたら意味のわからないことを言ってきた挙げ句、人の家の玄関で騒ぐなんて。この人たちは私の存在を忘れているのか? 

「すみません、失礼しました。あなたはセシル様ですね。治療の魔女の。」

従者の人がやっと話しかけてきた。 

「はい、そうですが何か御用でしょうか?」

「さっきのお願いを聞いたでしょう?病気を治して欲しいという。」 

「はあ、この方の。それは理解しましたが…それにしてもなぜわざわざここまで?」 

 


「それは…今日からこの方、ノア様をこの家に住ませようと思いまして!だめですかね。病気を治すにはこうするのが1番良いかなと考えているのです。だからダメですか?この人をこの家に置いていったら?」  



ダメに決まっている。と即答したかったがいったんセシルは少年を観察する。顔色があまり良くない。体も痩せている。体調が悪そうだ。病気とはなんだろうか。

 

「返事がないということは置いていっていいということですかね?」 

従者がまたぼやいているが気にしない。 

「実は今日荷物も全て持ってきてしまったんですよね。私、荷物が帰り道にあると困ってしまうなあ。あとノア様もいるとなるとさらに…」 

はい?なんですって?荷物をもってきた?それはいくらなんでも準備万全すぎないか?

「断られたらどうするつもりなんですか?」 

「これから毎日ここに来ようと思います。そしていいと言ってくれるまで説得します。」  

「それはいやです。」

「なら置いていっていいですか?」 

「それもいやですが…」   


私はどちらも嫌だったが結局従者があれこれいうため少年は置いていかれることになった。



「病気も治して欲しいですが、できれば性格も矯正しておいてください。この方、性格も最悪ですし、子供らしさがなくて気持ち悪いですから。」 

「はあ。」 

「ではよろしくお願いしますね。失礼しました。」 

従者は颯爽と出ていった。


こうして私と少年だけが取り残された。

「あなた、いったい何者なんですか?名前は?」 

「ノア•ラングリア。」 

「ラングリア?」 

この名字をもっている人はそういない。なぜなら、この国の名前はラングリア。つまりこの少年は… 

「えっ?あなた王子様だったの?」  

「そうだけど。」

「本当に?」  

「本当だ。」  

私は驚いた。が、少したつとあの従者への怒りがわいてきた。

本当になんなのよ。この子と一緒に住むだけでも大変なのに、王子様だなんて。あのクソ従者が。さてはあえて正体を明かさなかったな。ていうか主人にあんな態度で接してよく解雇されないわね。まったく、このノア殿下とやらがかわいそうだ。体調も悪いのにあんな従者をつけられて。 

どうしたらいいかしら?病気を治してほしいとは言われたけど… 私に治せるやつではなかったら。

 

しばらく考えていたが悩んでも仕方がない。この子だっていきなり連れてこられて強くあたられたら嫌だろう。よし、こうなったらあの従者がびっくりするくらい良い子に育てあげよう。


「……」

「私の名前はセシルよ。あなたのことはなんと呼べばいい?」  

「ノアでいい。」   

「本当にそう呼んでいいの?」 

「うん。」

「ならそうするわ。私のことは母親とでも思ってね。あなたの従者?とは違って酷いことは言わないから。これからよろしく、ノア。」 


こうして私の家に小さな王子様がやってきたのだった。





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