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セシルの学生時代

 私がはじめてテオに会ったときはこんな人とうまくやっていけるのかな、と心配したものだ。彼は黒髪にまるでデルフィニウムのような真っ青な瞳を持っていた。そしていつも冷酷そうな表情をしていてこの表情がくずれることはあまりなかったし、本当の意味で笑っているところなんか見たことがなかった。ただ、人をおもしろそうに見るような笑みはよく浮かべていたが。私はこの顔が最初はとても怖かった。見てはビクビクと震えていたもんだ。なんか、怒られたりしそう、と。彼は見た目のとおり、冷たい人で優しくしてくれることはほとんどない。彼が話すのはアルフィンと一応私くらいしかいなかった。私とは勉強のことばっかり話していたが。そんなふうに社交的でないテオだったが、頭はすごい良かったし魔法の実習の面でも優秀だった。とはいえ私も長い間家にこもって勉強をしていたからそれに関してはがんばれば勝てるし。まあがんばればの話だけど。本当に死ぬ気で。あと、魔法も同じくらいのレベルで私たちは基本的には同等だったが…運動だけは勝てなかった。これは入学してしばらく経ったころの出来事だ。 

 


 今日はほうきにのる練習をする。私はわくわくするはずもなく、朝からガタガタと震えていた。おかげでいろんな人から心配されている。なぜ私がそんなに怖がっているかというと…。 

私、運動をまともにしてこなかったのよ!ずっと家にこもっていたから。だから、ほうきなんて乗れるわけがないじゃない!本当に。うさぎが言葉を喋ることと同じくらい無理なことだ。ただ、時間の流れははやく、あっという間にその授業の時間になってしまった。 

「セシルちゃん、そんな絶望そうな顔をしないで。ほうきはぜんぜん怖くないから。本当に簡単だから。」 

と先生に言われたがそんなものを信用してはならない。マリア先生はかなり運動が得意だから。勉強ができる人の「この問題簡単だよ。」とか「テストの点数悪かった〜。」はうそというのと同じだ。きっとさっきの言葉を信じると痛い目にあう。私はちゃんとそのことを知っているのだ。ぜったいに騙されないから!自分、凄すぎる、などと現実逃避していたが…結局やることになった。  

恐る恐るほうきにまたがってゆーーっくりとほうきを上げていってなんとか足が少し地面から離れた。足はガクガクと震えていてほうきごと小刻みに揺れている。私はもう限界だった。それでももう少し頑張って前にちょこっと進んだのだが。 

「うわあっ!」   

バーン! 

セシルは案の定、ほうきから落ちた。そしておしり地面にぶつけてとても痛かった。 

もうその日からほうきが嫌いになり…魔法も嫌だ!となったが私は嫌な気持ちはすぐに忘れるタイプだったので次の日には魔法が好きになっていた。ほうきだけは嫌だったが、テオがすいすいとのってるのを見て私も負けるもんか!と思い地道に練習を始めた。だって、テオ、飛びながらこっちを向いて馬鹿にするような顔で見てくるんだもの。これは無視できるわけがない。そして練習をはじめて1ヶ月、とてもゆっくりで不安定だが乗れるようにはなった。本当にこれは褒めて欲しい。




 私は入学してしばらくたち、簡単な魔法なら使えるようになっていた。ただ困ったことに治癒魔法の練習には怪我をした人が必要なのだ。そのためよく街に出ていた。他の生徒からはとても羨ましがられたが私にはぜんぜん嬉しくない。ものすごく大変なのだ。なぜならそこの場所まではほうきで飛んでいくから。まだ自分で行けるならいいのだが、私はというと…

いつもテオのほうきに乗せてもらっていた。いや、乗せられていたというのが正しいかもしれない。いや、最初はちゃんと自分の力で行っていたのよ!けど、私があまりに遅いしたまに落っこちたりしていたからテオがついに怒って。お前は遅すぎるって。それで改善策を考えた結果、こうなった。先生のほうきでも良かったんだけど…さすがになんか気がひけるというか。 


私はいつも彼の後ろに乗ってうしろからぎゅうっと抱きしめていたからものすごく嫌がられていた気がする。乗るときは毎回すごくうんざりしたような顔をしていた。まあ私は知らんぷりしたが。だってこうしないと落ちそうで怖いもん!ときには置いていかれそうになったこともある。そのときは私は全力で叫んでついていったものだ。本当に運動はしておくべきだった。 

「美しいものを心から美しい、と言えるようになってね。」 

これは師匠が口癖のようによく言っていた言葉だった。はじめてこれを聞いたのはあの湖だった。少し遠い街に連れていってもらったとき。そのときに師匠がお気に入りの場所だと言って連れて行ってくれた場所だ。そのときは夕方で水が茜色に染まっていてとてもきれいだったのを覚えている。結局その後、あまりに疲れていたせいでほうきの上で爆睡してしまって、ふわっと落ちて大変な騒ぎになったけど。そしてテオとあとなぜかアルフも加わって夜遅くまで説教された。あのときは怖かった。でもあまりに眠くて、その場で正座しながら寝てしまって…そこがテオの部屋だったから翌日さらに怒られた。そして1週間は口を聞いてくれなかったなあ。あれはとても苦い思い出だ。 

そんなかんじでけんかみたいなのは多かったがそれも仲の良い証拠だろう。少なくとも私はテオは友達だと思っていた。 

そして一緒にいる時間が長くなるにつれて恋情を抱くようになり…ただ私が彼に告白できるはずもなく。

「は、何言ってんだ、お前。」 

とか言われるに違いない、と考えていた。クラスメイトの女の子たちからはなぜかものすごく応援されたけど…本当にそのせいで仲良くなった子もいたくらいだ。とはいえ1番仲が良かったのはやはりアルフとテオで、いつも3人で一緒に行動していた。ただ時間の流れも早く、セシルはあっという間に最高学年になってしまう。そしてその年もいつの間にかすぎ気づいたら卒業式の日が来ていた。

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