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卒業式

 この服を着るのも最後になるのかもしれない。私は3年間着てきた制服に身を包んだ。もうすっかり着慣れている。制服にはところどころ汚れがあった。ひとつひとつの汚れから思い出が蘇ってくる。今日は学校の卒業式だった。私は最後のテストではテオに勝って1位だったので卒業生代表のあいさつをした。テストでテオに勝ったと知ったときは本当に嬉しかった。彼はいやになるくらい完璧で私は勉強くらいしか勝つことができなかったから。 

あいさつを無事、おえるといちはやく魔法使いのバッジをもらった。

魔法学校の卒業式では正式な魔法使いになったことの証にバッジのようなものをもらう。いわゆる卒業証書だ。それには自分の名前が刻まれていて名前の横にはきれいな魔石がはまっている。魔石は自分の魔力を流すと透明だったのが色がつく。私のものはうすい水色になった。宝石のようにキラキラと輝いていてとてもきれいだった。色はひとりひとり違って同じものは1つもない。これは魔法使いを志すものなら誰でも憧れる代物で。私もこれをもらえることは嬉しかったのだが…

私は朝から悲しみにくれていた。だってもう卒業!本当にしたくない。一生この学校にいたい。私は隣国のラングリアに行くことを決めていたからみんなとはあまり会えなくなる。本当に悲しくてうなだれていたら師匠に 

「人生終わった、というような顔をしてるよ。こんなおめでたい式なのに。」 

私はそんな言葉にもうるっときてめそめそと泣き出した。そしてそのままずっと泣いていた。そしてアルフやテオに抱きついてまだわんわん泣いて…その日ばかりはテオもよしよしとしてくれてなんだかいつもより優しかった気がする。いや、いつもは優しくないから比べものにならないか。そして泣きすぎてもう出る涙もなくなったらこんどはクラスのみんなに握手を求めて歩きまわった。女子たちからはテオとどうなったかばかり聞かれたけど別にどうもなっていない…良くも悪くも彼は私の友達なのだから。私は少し、いや結構悲しかったけど…。 

とにかく悲しくてたまらない、卒業式だった。 




 セシルが目を覚ますともう窓からさす光はだいぶ少なくなっていた。ずいぶん長い時間、眠ってしまったみたい。なんかとても長い夢を見た気がする。学生時代の。セシルの頭の中をいろいろな過去の思い出がよぎる。  

そういえば、テオはどうしているかなあ。生きているといいけど。私は一瞬死んでいるのではないかなどいやな想像をしたがすぐに取り消した。なんたって彼は治療師なのだ。そう簡単には死ぬことはないだろう。私はひとまず安心した。もう、誰かと結婚とかしているのかも…いや、結婚はしていなくても彼女くらいはいるだろうな。だってすごくかっこよかったから。彼は魔法学校でもモテていた。下の学年の女の子たちにも憧れの先輩だったらしい。

あと、師匠もどうしているだろう。師匠にはもう卒業してから会っていない。ただ、彼女のことだからうまくやっているだろう。ものすごく優秀な人だったから仕事も成功しているはず。いや、成功しないはずがない。師匠は先生をやっているときにすでに結婚していた。今はもう子供ができているだろう。いったいいるとしたらどんな子だろうか。まあ、すごい美少女か美少年なのは間違いない。先生はものすごい美人さんだったから。本当に見た目も含めて天使のような感じの人だった。 



 今日の晩御飯はハッシュドビーフにした。これは魔法学校の学食でたまに出たもので私は大好きな献立だった。夜がこれの時には日中の授業がどんなに過酷なものでも頑張れた気がする。ほうきに乗る練習もこれのおかげで頑張れたと言っても過言ではない。 

ノアも好きなのかたくさん食べている。もう体調はどこも悪くないみたいだ。最初のほうはとても痩せてたけど今はまあ少し痩せてる男の子、くらいにはなった。 

大きくなったらどんなふうになるんだろう。きっとノアは運動も勉強もできるから。いい国を作れるのではないか。私はせめて成人式とかあと考えたくもないけど葬式くらいには呼んでほしいな。一応第二の母のようなものだと自分では思っているから。でも私のほうが早く産まれたくせにたぶんノアより長生きするはずなんだよね。なんかすごい変な感じがする。私が老人のときには古くからの人間の知り合いはほとんどみんな死んでいるのだろう。長生きはあまりいいことではないな。でもそうしたら昔から知り合いの魔法使いとまた仲良くできるかもしれない。それはそれで良い気がする。







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