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旧友との再会

 ある日、セシルのもとに一通の手紙が届いた。セシルはその手紙を見て瞬時に察した。これの送り主を。この純白で普通の紙より上質なものでできている封筒。そして何より手紙に押してあったはんこ。 

これは間違いなくアルフィンからの手紙だ。 


アルフィン・シュヴァルツ。彼はセシルの魔法学校での同級生だった。魔法の分野は薬に関するもの。アルフィンは薬剤師だった。それも魔法で薬を作る。薬を作るのも怪我を治すのも同じ医療に関するものだったから私たちは一緒に行動することが多かった。私は女子であまり仲のいい子はいなかったからアルフィンは1番仲が良かったといってもおかしくない。 

それにしても卒業以来会っていなかったが急にどうしたのだろう?彼の苗字はシュヴァルツ。そう、アルフィンはここの国の第2王子だった。彼は王族だったが魔法学校に通い、魔法使いとしての仕事を今でもしている。そんな人から連絡があるなんて。きっと仕事についての内容だし。ただの現状報告という可能性もあるがもう2年くらい連絡をとっていないのだ。アルフィンはただ手紙を送ってくるようなタイプでもないし…何か面倒くさいことになりそうだ。 



 セシルの予想通り、手紙は仕事についてのものだった。内容は王宮に来て欲しいとのこと。何か仕事があるそうだ。なんか大変そうだけど、アルフィンに会えることは嬉しい。私はルンルンで王宮に向かった。 


「アルフ!久しぶり!」 

私はアルフィンに会うとぎゅうっと彼に思いっきり抱きついた。身分不相応なことは自分でも分かっている。ただ、魔法学校はいろんな立場の人がいたし少人数だったから身分の壁というものがほとんどなかった。そのためこういうことはくせでやってしまうのだ。

アルフィンは予想通り私をしっかりと抱きとめた。腕の中はとてもあったかい。寒い冬にはいいなあ。 

「なんか身長、伸びたね。」 

「そうそう、伸びたよ。セシルは昔と変わってないね。」 

私は身長があまり大きいほうではなかった。なんか小さいねと言われたみたい。 

「私は…いつまでも若いままなの!」 

「魔法使いはみんな老けにくいよ。」 

「いや、まあそうだけど。私は特に童顔だから。」 

そう、魔力を持った人たちは普通の人より長生きすることが多かった。なぜかはわかっていないが普通の人が90歳くらいまで生きるのに対し、魔法使いは150歳くらいまで生きることもある。そのため老けるの当然遅い。私たちの見た目は学生時代とほとんど変わっていなかった。  

「そういえば今、アルキスのノア殿下と一緒に住んでいるらしいね?」 

アルキスとは私が住んでいる国だった。 

「そうだよ。なんか体調を治してほしいとか。それは私の専門じゃないのに。」 

「彼は何歳くらいだっけ?」 

「ええっと、10歳くらい。」 

「ふーん。」 

「どうかした?なんか変じゃない?」

「いいや、なんでもないよ。ただ嫌になったらすぐ言ってね。」 

「う、うん。」 

「あの、さっきから私の前でイチャイチャするのやめてもらえません?」 

声の主はなんと、 

「ジアッド、どうしてここに?ていうか私たちはイチャイチャなんてしてないし。ただ再会を喜んでいただけ。」 

「そうですか。私にはそう見えませんでした…」 

「で、ジアッドは本当になんでここにいるの?もしかして仕事に関係があるとか。」 

「そうです。実は私はアルフィン殿下の協力者なのです。」 

「はい。ジアッドさんには私からお願いをしました。彼にはずいぶん前から準備をしてもらっています。」 

「へえ、その準備とは?」  

「それはまだ言いません。」 

「そう。で今回の私の仕事はなに?」 

「それは、テオを一緒に探すこと。それだけです。」 

「え?テオを探す?も、もしかして、行方不明なの?まさか死んじゃったとかではないよね?」 

私の頭の中を悪い想像がよぎる。

「そんな深刻なことではないから。安心して。テオは生きているよ。たぶん。」 

「たぶん…」 

なんか含みのある言い方だな。 

「なぜ探すかというと、少し治してほしい病気があるからなんだ。なのにどこにいるか分からない。あいつ、卒業してから住所も教えずにどっか行くから本当に困ったもんだよ。」 

「私はならいらないんじゃない?あまり体力ないし、足手まといになるだけだよ。」 

「いや、セシルはテオのことをよく知っているし。あと、」  

「一緒に旅をしたい、と僕が思っているから。」 

アルフィンは私の耳元でささやいた。私はなんか恥ずかしくなって頬を赤に染めた。 

「ごほん。」 

ジアッドがすました顔で咳払いをする。それを聞いて2人は我にかえった。

「ア、アルフ、テオが病気を治すということはそれは内部の病気なの?」 

さっきのことを必死に紛らわす。 

「う、うん。なんか内臓の病気らしいよ。」 

アルフィンもそれにのってくれた。よかった。 

「なら私の仕事はテオを探すだけだね。」 

「そうなんだけど。それがすごい大変だよ。病気を治すよりもこっちのほうが時間かかると思う。」 

「でしょうね。まあ、がんばるよ。」 

仕事の話が終わったところで私たちはしばらく最近のことについて話していた。アルフィンは薬局をこっそり経営しているらしい。そしてその稼いだを学校に寄付したとか。私はそんなことはぜんぜんしようと思わなかったからとても感嘆していた。だって自分で稼いだ金なんだから自分のために使いたいよね。 



日が暮れ始め、そろそろ帰らないといけない時間になった。私は危ないからという理由でジアッドに家まで送ってもらうことになった。 

「セシル様の好きだった人ってテオドール様でしょう?」 

「…」  

「沈黙ということは合っているということでいいですね。」 

「それはどうでしょうね。ていうかなんで、そんな前の話を覚えているの?」 

「そういう話は覚えてしまう性格なのですよ。やはり人の恋愛事情を知るのはとても楽しい。」 

「変な趣味ね。」

「ただ、アルフィン殿下とも仲がいいようですね。」 

「それは、学生時代からの付き合いだから。」 

「彼のことは好きにならなかったのですか?」 

「アルフは友達、という感じが強かったから。」 

「なるほど友達ですか…殿下、かわいそうに。これでは可能性はないでしょうね。」 

「なにか言った?可能性がなんとかって。」 

「なんでもないです。これは男たちの秘密なのですから。」 

「ふうん。」


 家に帰るとノアはまた本を読んでいた。ただ、ページが行った時とほとんど変わっていないような… 

そしてジアッドと感動の再会、になるはずもなく。 

「お前、何しに来た?」 

「そんなツンツンしないでください。久しぶりに私が会いに来てあげたというのに。これは感動の再会なのですよ。」

「感動。そんなものあるわけないだろう。」 

といつものようなやり取りをしていた。相変わらず仲が悪いようだ。ただ私はそれを見てとても安心していた。この3人で集まっていることがなんだかとても懐かしく感じたから。今はノアと私が一緒にいるがもうすぐすれば今度はジアッドとノアが一緒にいることになるのだろう。そしてその間に私は必死にテオを探しているというわけだ。ノアにはどう伝えよう。もうあと数ヶ月もすればこの生活が終わることを。私はなんか悲しくなっていつの間にかぽろぽろと涙を零していた。 

「え、セシル、なんで泣いてるの?」 

「そうですよ、急にどうしたんですか?」 

2人が一斉に聞いてくる。こうやって心配してくれるのも最後なんだ。 

「うわあーん!」 

私は2人に同時に抱きついた。左にはノア、そして右にはジアッドを。2人ともとても困惑している。ただ逃げはしなかった。やはりこの2人は優しい。この人たちと知り合えて本当によかったなあ。  

私はしばらく泣き続け、涙がひっこんだ頃には2人は疲れきった顔をしていた。 


そして私はこれからの別れるまでの日々をとても楽しく過ごそう、と心に決めた。 

  





 



  














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