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冬の準備

 あんなに鮮やかな赤や黄の葉っぱをつけていた木々だったが…最近ではその葉も落ちてきていて木はとてもさびしげだった。そうやって木が冬越しの準備をしている中、セシルは家で落ち葉掃除をがんばっていた。まったく、葉っぱが多すぎるのよ。なんて迷惑なのかしら。たくさん葉をよこしておいてその掃除は人間にまかせるなんて。

そのとき、街のほうから冷たい風が吹いた。

「はくしょんっ!」 

はあ、今日10回目くらいのくしゃみだ。セシルは風邪気味だった。最近吹いている風はとても冷たい。そのためかここ数日で急に寒くなった。もうこの寒さは我慢できない…こうなったら 

「もうそろそろあっちに行くか。」 


ここの土地は冬になると雪がたくさん降る。まあ、ここでも過ごせなくはないのだが、セシルは大の寒がりだった。そのため冬はいつも都市部の比較的暖かいところに行っていた。   



冬には診療所も閉じる。なぜならあそこも雪がなかなか多く、そもそも来る人が少ないのと、自分がそんな寒い環境で仕事はしたくないからだった。 

 


 というわけでセシルは次の日からさっそく準備を始めた。まずは家の中を大掃除する。ちなみにノアももちろん手伝わせる。掃除をしていると懐かしいものがたくさん出てきた。春に作ったポプリとかいつか森で拾った木の実とか。どれも色褪せていたものの自然の雰囲気があった。  

この家を1回出るともう3ヶ月くらい帰ることができない。私はとても悲しかった。あと、ノアももうここにいるのは最後かもしれない。もうだいぶ元気になってきたからいつ王宮での生活に戻ってもおかしくないのだ。  

いなくなるのは…悲しいな。 

私は自分で思っていた以上に仲間がいることが好きだったみたいだ。やはり一人暮らしはつまらない。前はそんなことなかったんだけどね。普通に1人でご飯を食べて、仕事に行って帰ってきたら家事をして寝るだけだったんだけど。 

今ではそこの大部分にノアがいる。朝、起きてこないノアを起こしたり、夕食中、話しながらごはんを食べることはとても楽しかった。  

って、何を想像してるんだ。まだ、ノアがすぐにいなくなると決まったわけではないし、大丈夫だ。こんなに悲しい想像をする必要はない。今は。 


いよいよ家を旅立つ日がきた。 

家の中は整然としていて生活感が一切感じられない。なんだか私とノアの長い間の生活が消えてしまったようで悲しかった。昨日の夜までついていた暖炉はもう火の跡形もなく…

やはり旅立ちというものは悲しいわね。どうか春にまた2人でここに戻ってこられますように。そして春に咲く花々とかを見れたらいいな。私は春の様子を想像して少し気分が明るくなった。  


いつも私がいっているところはルーメンという街だった。ここから山をこえたところにあり、場所としては隣国のシュヴァルツ王国。 

 

今日はとても長い旅になる。ほうきで飛ぶ時間もいつもよりだいぶ長いし、しかも寒い。とてもつらい旅になりそうだ。ノアも大丈夫かな。 

私はとても分厚い服を着て雪だるまのようになっていた。頭まですっぽりと帽子でおおわれている。 

今日もいつもどおりノアを包み込み、ほうきでとぶ。いいな、ノアはきっととても暖かいのだろう。守られている感じがするのかな。私もかわれるならかわりたい。 


山の上を飛ぶ。さすがの私でも少し下を見ると怖い。ここはなるべくはやく飛ぼう。

 

とぶこと1時間30分。やっと山をこえ私たちは小さな街にたどり着いた。今日はここにある宿屋に泊まる予定だった。 

行ってみると、とてもいい雰囲気のところだったのだが、1つ問題が。 

「本当にすいません、今日実は暖炉の調子が悪くて。使えない状態です。この分の宿泊代は値下げしますので…」 

ええ!それは大変。ここは山の近くだからかなり寒い。こんなところで夜に眠れる気がしないよう…私は本当は他の宿屋にでも移りたくなったが、流石にそんなことは言えず、結局ここに泊まることになった。



 夜、私はぶるぶると震えていた。さささ、さむいよぅ。本当にやばい。これは無理だ。てか、私の住んでるところでもこんなに寒くはならないんですけど!やっぱここにするんじゃなかった。 

これでは寝れそうにない、と思ったので最終手段に出ることにした。 


「ねえ、ノア。今日は一緒のところで寝よう。」 

「は?やだ。」 

「ええ、なんで?お願い。本当に私、寒いのが無理なの。本当に。今だって歯がガチガチいってふるえてるし。ね、だから。」  

「ええ〜?」 

「ノアがダメって言っても寝た後にこっそり忍びこむから。そして抱きしめて寝る!」 

「それは怖すぎる。そんなに…そこまでいうならわかったよ。」

「ありがとう!」   


布団に入りノアをギュッと抱きしめる。私としては当たり前の行動だったのだが、  

「うわあっ!って何してるの?」 

ノアはビクッとして思いっきり離れていってしまった。 

「何って。こうした方があったかいじゃん。」 

「だからといってこれは駄目だよ。」 

「駄目ってなんで?」  

「駄目なものは駄目なの。」 

「ええ?よくない?私たちの仲なんだよ。ずっと一緒に暮らしてきたじゃん。いいでしょ。」  

「…」

「…なら寝てからにして。」

「わかった。なら、はやく寝て。ノア。私、今も寒くて凍え死にそう。」 

「そう言われると余計寝れないんだけど…てかなんか眠くなくなってきた。」 

「なら私が子守唄を歌ってあげる。」

私は歌を歌い出した。 


その歌は自分の国で古くから歌われているもので、その国の人間なら誰もが知っている。私もよく子供時代に聞いていた。たしかちゃんと話し出すより先にこの歌を歌ってたなあ。  


懐かしいと思いながら歌っているといつの間にかノアは寝ていた。 

よし、私も寝るか。しっかりとノアを抱きしめて湯たんぽがわりにする。うん、あったかい。これで夜は眠れるだろう。


  















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