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第4話「ハイライト」



 「悪意……」


 俺はポツリと呟く。

抽象的でピンと来なかった"敵"。今対峙しているソレは俺の反逆とは関係ないかもしれない。 


けどなぁ……!


俺はあの時誓った。前に進み続けるって……!

 悪意に抗おうとするソニアの表情が、その覚悟を再燃させる……!


「大丈夫……」

俺は大きく息を吐く……


「俺は反逆者ゲート。俺は抗う者に味方する、行き当たりばったりな男だ!覚えておけ!!」


剣先を前に向け、不敵に笑う。


「威勢のいいこと言うじゃない。嫌いじゃないよ、そういうトコ」

アイは小さく笑みを浮かべながら、サムズアップを送った。


俺もサムズアップで返す。

別の言い回しも考えておこっと。


「さあ、ここからが……!」


  ※        ※        ※


 俺の今やるべきこと――それは”悪意に侵されたヨハンとソニアを解放し、悪意を断ち切ること”だ。

次の瞬間、俺はアイのところへ飛び込む。

「えっ、ちょっと……!?」

何故か声が裏返るアイ。

ヨハンの触手を切り飛ばしながら物陰に隠れるとき、彼女を俵担ぎしたからか……?まあ、今は何でもいいや。


 「なあアイ、さっき言ってた――」

 俺は小声で質問をしようと、アイの方に顔を向けた瞬間、霜焼けになりそうな平手打ちが頬に炸裂した。俺は反対の壁に激突する。


「痛って〜……何すんだ――ウェッ!?」

ホコリを払いながら反論しようとアイの顔を見たとき、俺は思わず舌を噛んだ。


――視線の先にいたのは、顔を真っ赤にしてメンダコのように頬を膨らませたアイの姿だった。


「アンタねえ……見たでしょ!?」


「え……何を?」

俺は困惑する。

「てか、今そんなこと言ってる場合じゃねえよ……!」

ちくしょう……!

俺が吹き飛んだせいで、位置が敵にバレちまった……!これはまずい……!


 次の刹那、触手のラッシュが槍の如く迫りくる――!


「チィ……!!」

剣でいなしながら、アイに向かって叫ぶ。


「頼む!とにかく今は機嫌直してくれー―!」

――無反応。嘘だろ!

仕方がない。

「王都で新しい服買うから〜!!」


「……言質取ったわよ、ゲート。」

アイがぷいっと横を向く。


「ああ……!」

何はともあれ、機嫌を直してくれて助かった。

さらば、俺の財布……!


「アイ!」

「さっき言ってた邪気……悪意を感じ取れたのは何故だ!?」

人をを庇っていなし続けながら喋るの、中々シビアだぜ……。

「ああ、それはね……」


そう言ってアイは瞳孔を開く。

その目はいつもの透き通るような紫色ではなく、魔法陣……?の様な紋章の入った黄色い目だった。

「この目のおかげよ。これがあれば、相手の中身も能力も、まるっとお見通し!」


……なにそれ。

予想以上の理由に、剣を振るリズムが崩れる。

「……そんなチート能力、一度でも言ったっけ!?

けど今は大歓迎だ!」

俺は死に物狂いで口と剣を動かす。

「アイ!2人に寄生してる悪意がどう結合してるかを、その目で見てくれ!」


途中、いなし切れず血を流しながらも、俺は思考を止めない。

「えっとね……」

そう言ってアイはじっと2人を見つめる……


「30秒持ちこたえてね、ゲート!」

彼女は俺に、さり気なく無茶振りをかました。

さ、30秒――!?長っ!


「失敗したら呪うからな、アイ」

こんなところで日和ってる場合じゃないからな……!


10秒経過――


触手ラッシュの回転が上がる――!

「ぐっ!」

あの触手、ヤスリみたいでほんと痛い。


20秒経過――


今度はソニアが俺たちの頭上に飛んできた……!

「クソッ……!」

使うしかねえな……!


『テージウィンド!』


俺の四肢に、緑色の旋風が絡みつく。


次の刹那…、俺のスピードが爆発的に上がる!

「オッラアアアッ!!」


アイを2方向からの攻撃から庇い続ける。


あと5秒――。

まだ、まだ止まるな……!


あと2秒――。


ビキッ


「ッあ……!」

バカ野郎、足が攣るなんて……!

コンマ1秒、俺の攻撃が遅れる……。


「アイーっ!」


俺が金切り声をあげる。だが……


「上出来ねゲート、褒めてあげる!」


アイの氷が天を穿つ!


「解析完了!しっかり聞きなさい、ゲート!」


もう、だいぶキツイけど……無駄じゃなかったぜ、この時間稼ぎは。


「おうっ!」 


――アイの解析結果を聞いて、俺は複雑な表情をする。


根を張る――。


しかも、アイツの方はもう……!

だが、できることがある。それだけで十分だ。


 俺はボロボロの床を蹴って上に飛び上がる……!


「さあ――ここからが俺のハイライトだ。」




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