第4話「ハイライト」
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かつての記憶を反芻する…。
「―この世界の悪意は、カタチを変えて絶望を振りまく。」
俺が今見ているもの―悪意というものが、どれだけ悍ましいものなのかを嫌というほど認識させられる。
―だけどなぁ…!
「…女の子のピンチを前にして、俺は惨状から目を背けた!てめえの覚悟から逃げた!この情けなさが…、許せないっ…!!」
ああそうだ。
…だが俺は誓った!前に進み続けると―!
悪意に抗おうとする、ソニアの表情が俺の信念に火をつけた…!
「大丈夫…。」
俺は大きく息を吐く…。
「俺はゲート…。反逆者ゲートだ!」
「俺はお前のような醜い悪意に抗い、」
目をカッと見開き、ニィっと笑う―!
「また抗う者の意志を繋ぐ男だ…覚えておけ!!」
それを聞いたアイが無邪気に微笑む。
「カッコイイこと言っちゃって…。」
さあ、ここからが…!
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俺の今やるべきこと―
それは”悪意に侵されたヨハンとソニアを解放し、悪意を断ち切ること”だ。
次の瞬間、俺はアイのところへ飛び込む。
「えっ―」
ヨハンの触手を切り飛ばしながら、アイを抱えて物陰に隠れる。
「なあアイ、さっき言ってた―」
俺はアイの方を向きながら、小声で質問をしようとする。
しかし、霜焼けになりそうな平手打ちが、俺の頬に炸裂する。俺は反対の壁に激突した。
「痛って〜…!何すんだよ…?!」
反論しようとしてアイの顔を見たとき、俺は凍りつく―。
そこにいたのは…顔を真っ赤にして、メンダコのように頬を膨らませたアイの姿だった。
「あなたね…、見たでしょ…?!」
「え…、何の話だ…?!」
俺は困惑する。
「てか、今そんなこと言ってる場合じゃねえよ…!」
ちくしょう…!
俺が吹き飛ばされたせいで、俺達の位置が2人にバレちまった…!これはまずい…!
次の刹那、触手のラッシュが槍の如く迫りくる―!
「ちぃ!!」
剣でいなしながら、アイに向かって叫ぶ。
「頼む!機嫌直してくれー!」
一息ついて…
「王都で新しい服買うから〜!!」
「…言質取ったわよ、ゲート。」
アイがぷいっと横を向く。
「ああ…!」
何はともあれ、機嫌を直してくれて助かった。
「アイ!」
俺は再び問いかける。
「さっき言ってた邪気…悪意を感じ取れてたのはなんでだ?!」
アイを庇っていなし続けながら喋るの、中々シビアだぜ…!
「ああ、それはね…」
そう言ってアイは目を見開く。
その目はいつもの透き通るような紫色ではなく、魔法陣…?の様な紋章の入った黄色い目だった。
「この目のおかげよ。これがあれば、相手の中身もまるっとお見通しよ★」
…なんてチート能力だよ…。
だが、それはいい。
「アイ!2人に寄生してる悪意は、どう結合してるか見てくれ!」
いなし切れず血を噴き出しながらも、俺は思考を止めない。
「えっとね…」
そう言ってアイはじっと2人を見つめる…
「30秒持ちこたえてね、ゲート!」
…わかってるよ、アイ。
「任せろ…!」
10秒経過―
触手ラッシュの回転が上がる―!
「ぐっ!」
20秒経過―
ソニアが俺たちの頭上に飛んできた…!
クソッ…!
使うしかねえな…!
―『テージウィンド!』
俺の四肢に、緑色の旋風が絡みつく。
次の刹那…、俺のスピードが爆発的に上がる!
「オッラアアアッ!!」
アイを2方向からの攻撃から庇い続ける。
あと5秒―。
まだだ…、まだ止まるな…!
あと2秒―。
ビキッ
「ッあ…!」
バカ野郎…足が攣っちまった…。
コンマ1秒、俺の攻撃が遅れる…。
「アイーっ!」
俺が金切り声をあげる。だが…
「上出来ねゲート、見直したわ。」
アイの氷が天を穿つ…!
「解析完了!しっかり聞きなさい、ゲート!」
もうだいぶキツイけど…無駄じゃなかったぜ…!
「…おうっ!」
―アイの解析結果を聞いて、俺は複雑な表情をする。
根を張る―。しかも、アイツの方はもう…!
…だが、できることがある。それだけで十分だ…!
俺はボロボロの床を蹴って上に飛び上がる…!
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「さあ――ここからが俺のハイライトだ。」




