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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
第2章『王都編-オープニング-』
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第3話「ソレを悪意と俺は呼ぶ」

今回の話は、以前より文字数多めです。


――――――――――――――――――――――――


 「へえ〜…、結構洒落たロビーじゃん。」


シックな外装とは逆に、床には金に縁取られた紅い絨毯が敷かれ、天井には、ロビー全体を柔らかく照らすシャンデリア、漆塗りのカウンター、などなど…。


「おかけください。」


そう言って、ソニアは4つの椅子が置かれたテーブルにお茶を置いた。

「ありがとう。お、紅茶だ〜!」

今までゴボウ茶しか飲んだことがなかったから、ワクワクする。

「では、お話しましょう。このような行為をする理由を…。」


ソニアの声のトーンが、落ちた。


「うん。あ、紅茶いただきます。」そう言ってカップを口に

運ぼうとした―その時だった。


ガッシャャャャャン―!


アイが俺のカップをはたき落とした…!俺の紅茶がああ!!

「おい!なんてことしてくれ―」


しかしアイの必死な顔を見て、何かをを感じた。

いや…そんなバカな…。

「な、なあソニア…、紅茶に何か盛ったりとか、してない…、よな?」


頼むから…うんと言ってくれ…!


しかし、ソニアは答えない。だが、これまで見せたことのない、張り付けたような笑顔を浮かべる。そして、目の焦点が合ってない…。「なな何でバレたののかしらら??」


バグったロボットのような、異常な言動。疑念が確信に変わる―!


「…!! アイ―!!」


その瞬間、俺たちは壁に叩きつけられた。


「ぐっ…!」

だが4年前とは違う…!俺は即座に態勢を整え、戦闘態勢に入る。「やっぱりね…。あなた達が隠してた邪気、ゲートはともかく、私にはお見通しよ。」

アイ、本気モードだ…!

「おいソニア!お前―」その時、俺の脳に衝撃が走る…!


「な、なんだその姿は…?!」


――――――――――――――――――――――――


 俺の眼前に映ったのは、かつての眩しさを失ってしまったかのような、痛々しい姿。

顔は蒼白に、目の焦点は全く合っておらず、背中からは邪気を体現したかのような、紫色の触手が4本生えていた。


「嘘だろ…、お前は最初からそのつもりで…!?」

嘘だ、ソニアがこんな姿になっていいはずがない…!

しかし、悠長にことを構えていることはできなかった。ソニアの触手が、襲いかかる…!

「…くっ!」

俺は黒薔薇の剣で叩きつける。

「ちょっとゲート?!なんで剣を抜かないの?!」

アイが声を張り上げる。

「〜!!」

覚悟を決めたはずなのに…!

それがまたもや揺らぐ…。


次の瞬間、右の視界が赤く染まった…。


「…っ、ぎややゃぁぁぁッッ!!?」

俺は苦痛でとんでもない悲鳴をあげる。


痛い…痛い痛い痛い…!


だが、気合で残る左の視界で状況を確認する。


俺の目に映ったもの…


「…ヨ、ヨハン…?!」


ヨハンもまた、背中に触手を生やしたバケモノと成り果てていた。

しかし次の瞬間、氷の針がヨハンをぶち抜く!ヨハンの腕から、赤い鮮血が飛び散る!

「何やってるの?!」

アイが怒鳴る。

「4年前の覚悟を思い出して!」

だが、ヨハンの触手がアイの足を貫く。

その上、アイの生命力を触手が奪っていく音が鳴り響いた…。


「ううっ…!」


アイが苦悶の表情を浮かべる。

「私はいつでも…そばにいるから…!!」

それでもなお、俺に思いを伝えようとする。

―うれしいよ…。でも…!


「…それとこれとは話が違う…!」


「ソニアとヨハンは…客引きありきの出会いだったけど、王都で初めて知り合った仲だ!お前もご縁がって…!」


冷たく恐ろしい間が、辺りを覆う。


…やがてアイが口を開く。


「…あれは美辞麗句よ…!」


は…?何言ってやがる…?!


「あのとき邪気を感じたから、…ぐっ、何かあると思って話に乗った…だけなのよ!」

ヨハンと戦いながら、アイが告白する。

「―!」

言葉を失った俺はソニアの触手に脇腹を貫かれる―!「ぐあああ!!」

俺はそのまま吹き飛ばされる。


―出会ったそばからコレかよ…。アイとの約束、ソニアたちとの束の間の交流が頭をよぎる…。クソッ、どっちも捨てられねえよ…!でもこのままじゃアイがどうなるか分からない…!


―そして悩んだ末に…


俺はなんとか立ち上がる。


「ごめんな…ソニア…!」

剣を握る手が、一瞬震える。


「俺は…ここで―」


相打ちをかけようとした―

その時、俺は足を止めた。俺の目に映るソニアの姿に…。


俺の呼吸が、一瞬止まる―。



「たす…けて…おにい…ちゃ…ん…」



か細い声で、ソニアが呟く―。

「――!!!」


一瞬、時間が止まる…。

次の刹那、俺は触手のみを斬り刻む!!

数秒後、毒々しい色の血が飛び散る…!!


一瞬の違和感―見間違い…いや違う―!

それが確信に変わる…!


「ゲート?!急にどうしたの!?」

あまりの急展開にアイが困惑する。

俺は真っ直ぐソニアを見つめる。


「…抗っていた。」


ソニアが涙を流したその顔をみて、俺は断言する。

「見てみろアイ!触手部分だけ、血の色が違う!」実際、ヨハンの腕から流れた血と、触手の血は全く別の色だった。


俺は確信する―!


「寄生して無理やり行動を強制させる、

理不尽な支配…」


「ソレは…、悪意だっっ!!」


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