第59話「PHASE 2 激闘の狼煙」
〈帝暦2031年 4月8日 9時01分 カテナ教会〈恋慕〉上空にて――〉
ルシファーが塔を破壊した。俺達は続けて残りのカテナ教会を破壊すべく動く。
だが当然というべきか……そう簡単にはいかなかった。
突如、強烈なプレッシャーを放つ者達が上空に現れた。その波動は、教会の破壊を妨害するバリアとなった。
「ガハハハハッ!!景気のいいぶっ壊し方をしてくれるな!あの裏切り者め!!」
「反逆者共め……秩序を壊すことなどさせんぞ」
「ねぇねぇ、ボクあの人と戦いたい!!ねぇ、いいでしょ~?」
間違いなく大司教達だ。奴らはそのまま、残った教会の塔へと消えていった。
だが、俺はそれを見て笑みを浮かべる。
「まあいい、コイツらを倒すのが先になっただけだ」
<カテナ教会 暴虐の塔>
俺とアイが塔の扉をこじ開けると、獣のような大男が顎髭を弄りながら構えていた。
「ほう……。姫と黒薔薇の悪魔がお出ましか」
一目でわかる。力を誇示するような風格……コイツが暴虐の大司教で間違いない。
「お前、ブリッツの師匠か?」
それを聞いた途端、男の全身が隆起し、空気が震える。ブリッツの比じゃない、まさに暴力の化身――!
「いかにもッ!!俺はカテナ教会・暴虐の大司教レグネイト・レーンハイト!!敵は殲滅ツァ!!ウオオオオッッ!!!」
……正直、コイツの方が好感を持てるぜ。
「……で、アンタはどうするの?ブリッツ様――いいえ、ブリッツ・レオ二ウスの時みたいに簡単には倒せないわよ?」
アイがボソッと耳打ちする。
「その疑うような目……あの時と逆だな」
そう、初めて君と出会った時は俺がそんな目をしてたっけ……。
「でも大丈夫」
俺はマフラーを握りしめながら、きっぱりと言う。
「最後に立つのは、俺だから……!」
赤黒い粒子が渦を巻きながら、俺の足元に纏わりついていた――。
<カテナ教会 道楽の塔>
「きゃはっ!お久しぶりです、恋慕様~♡」
橙色の神楽衣装を着たツインテールの少女が、一面に張り巡らされた綱の上ではしゃぎ回る。
「道楽の大司教、蘭……。他者の心を折るのは、さぞ気持ちよかったでしょうね」
ルシファーがデュアルバレットを構え、静かに挑発する。
「さっすが、優等生!ボクの仕事、ちゃんと見てくれてたんですね」
蘭は嬉しそうな声を出す。しかし、その顔はゴミを見るように歪んでいた。
「……その堂々とした態度、マ~ジムカつくんですけど?」
急激に声のトーンが下がり、首筋を掻きむしり始める。その激しさはうっすらと血が滴る程だ。
「あなた……!」
ルシファーが声を上げたが、蘭は一蹴する。
「心配するくらい余裕なんだね、優等生様」
蘭はそのまま独楽を取り出す。
「その鼻、折ってあげるよ!!」
<カテナ教会 追葬の塔>
「まさか貴様らが来るとは思わなかった。消されし皇子、そしてエルシア様……」
追葬の大司教・チェインズが仮面越しに呟く。すると、御堂の床から黒と銀のフォーミュラカーがけたたましい排気音と共に出現する。
「この俺にスピードで勝負するつもりか、神剣ルティウスで?」
感情の読めない口調……機械みたいだ。
でも、僕らは生身でレースするつもりなんてない。
「こっちにもあるんだ。ランペイジフォーミュラが!」
「オッケー、スイッチオン!」
僕がそう言うと、姉様がスイッチを押した。後ろのコンテナから現れたのは――
「何だそれは……つまらん冗談か?」
チェインズが呆れるのも当然、それはただのフォーミュラカー。馬力も彼のソレに比べれば、大したことは無い。
「これだけなら、ね?」
僕がルティウスを天に掲げる。
それを合図に、空から何かがステンドグラスを突き破り、侵入した。
その姿に、チェインズから微かに動揺が漏れる。
「それは恋慕の……!まさか、合体か!?」
――そう、ルシファーのマギア『シュバリエッタ』が現れたんだ。




