第58話「PHASE 1 カテナ教会強襲作戦」
〈帝暦2031年 4月8日 6時17分 ナイトメア邸にて――〉
「遂に実行の時が来たんだ、皆」
王都から離れた屋敷の中で、7人の反逆者たちが静かに相槌を打っていた。
俺の名はゲート。理想の世界を作り上げるべく悪魔となった、世界の反逆者だ。王都総合学園を去った俺たちはロイモンド校長と幼馴染の大司教ルシファーのコネクションによって、最新鋭の装備を入手した後に王都ワルキュリーの構造、各自の訓練を3ヶ月間行うことで準備を整えていた。
……まあ、詳しい内容は現在時間がないので割愛するが。すべてが終わったら、話せるかも。
「ルシファー。その銃の点検が終わったら、皆に例の説明をしてくれ。校長はソニアと王都住民の誘導などの最終確認をお願いします」
ルシファーは前述のコネで手に入れた紺色の2丁特殊ビームライフル〈デュアルバレット〉のシステムコードを読みながら、返事をしてくれた。そして校長はサムズアップ。
メビウスとエルシア会長は精神統一?をして、コンディションを整えている。例えがアレだが、実家を荒らしに行くようなものだから、どこか思うところがあるのかもしれない。
ただ……アイだけは別だ。なんか、ずっとムスッとしてる。
「……何か心配なことでもあるのか、アイ?」
見兼ねた俺は、缶ジュースを差し出しながら声をかけた。
「……別に。ジュース、ありがと」
相変わらず、クールなだけなのか怒ってるのか分からない。
彼女はこの3カ月間、ほとんど口を利かなかった。
強いて言うなら、ルシファーのご飯が美味しいといったくらいだ。
「アンタって、もう一人の私と仲が良かったの……?やたら世話焼きなの、正直ウザいわ」
彼女は淡々と俺に言葉を突き刺した。
「冷た……」
心が痛ぇよ……。この際だから、ハッキリさせとこう。
「まあ、4年間2人で過ごしたし、仲が悪くはなかった。ただ、それと俺が世話を焼くのは別だ。俺のせいで、どうすればいいか分からないって困ってる人間を放っておくほど、俺は悪魔になっちゃいないよ」
それに対して……アイは何も返さなかった。
顔すら合わせないとは、ったく。
聞いといてそれはないだろと思ったが、それは今はいいか。
そのとき、召集がかかった。
「ソウジ、始めましょう!」
どうやら、ルシファーたちは既に万端のようだ。
「分かった。アイ、行くぞ」
※ ※ ※
「これより、カテナ教会強襲作戦の展開を伝えます」
ルシファーの一言で、皆の顔が引き締まる。
「これを見て」
彼女がテーブルに広げたのは、王都ワルキュリーの全体マップだった。
「王都ワルキュリーを囲うように建てられた6つの塔。これら全てが各大司教が管理するカテナ教会の総本山なの。情報操作などもここで行われているわ。」
「あれか……」
始めて王都に来たとき気になっていた不自然な建造物……。腑に落ちたぜ。
「まず始めに、私が恋慕のカテナ(その塔のこと)を破壊する。中にいる人たちは既に追い出しているから、心配ないわ」
ルシファーのデュアルバレットが逆光で光る。
ハハーン……。
「それを合図に、別れたメンバーが一斉に残りのカテナ教会を襲撃する。大司教を倒してシステムを破壊できれば、皇帝国側のセキュリティも弱くなるわ」
そして、こう締める。
「……みんな、生きて勝ちましょう」
それをトリガーに、全員の士気が上がっていく。
「さあ、始めようか!」
ナイトメア邸を後にし、それぞれの配置についていった。
※ ※ ※
〈帝歴2031年 4月8日 9時01分 カテナ教会〈恋慕〉上空にて――〉
突如、それは現れた。
巨大な翼を持つ白い騎士と、紺色の銃を構える大司教の姿。
「シュバリエッタ、全ビット展開。」
8つの子機が、翼から勢いよく飛び出す。
「デュアルバレット : ナローエイム、ロックオン……」
続けて2丁の銃口に、青白いエネルギーが集まっていく――。
「始めるわ……フルバーストッ!!」
その瞬間、ビット8門と銃2門による計10門の一斉射撃が教会〈恋慕〉を跡形も無く消し去ってしまった……!
王都がざわつき始めたと同時、少年の声が全体に響き渡った。
「全員に告ぐ!黒薔薇の悪魔の名において、我らはこれより反逆を開始する!!!」
――その宣言を境に、王都は火の海となった。




