第34話「9限目 : 動き出したSCP!―尾行デート―」
〈帝暦2030年 9月16日 15時03分 王都総合学園 高等部1-B教室にて〉
俺はゲート。只今ラブコメみたいな雰囲気に翻弄されている、(一応)反逆者だ。
(何故だ、何故開幕早々向こうから――!?確かに一番関わりのあるクラスメイトは、俺なんだろうけど……?)
気づいてる人もいると思うが、俺は恋愛経験がゼロだ。
対応が難しい上に、さっきからスマホのバイブが気になってしょうがない……!
マナの顔を見ながら、冷静になろうと必死になる。
(え、これ何かの暗示……!?それとも純粋にやりたいだけ……!?)
悶々としながら、一分が経過した――。
……マナが痺れを切らして、口を開く。
「い、いやだった……?ごめんね、今のことは忘れ――」
「やっ、やろう!!返事遅れてごめん!」
間一髪、返事が間に合った!
危っね〜……!
それを聞いたマナの顔が明るくなった。
「……えっ?ほ、ほんと!?ありがとね!(これでゲート君のことを深くまで知れる……!)」
マナが掌を胸に置く。
(この変な気持ち……解き明かしてみせる!)
胸に手を……?何の暗示だ?
それが裏の顔のサインだなんて、俺は微塵も気づかなかった。
一段落ついた後、俺はスマホをコソッと確かめる。
「……こういうのには、対応できるんだけどな」
こうして、ドギマギした1日が終わった。
――反撃の一手を、液晶に打ち込んで。
※ ※ ※
〈帝暦2030年 9月26日 16時59分 商業施設”ワルキュリア・シティモール”にて――〉
休日――。
大勢の客で賑わう(色んな意味で)訪れたくないショッピングモールに、天使のような少女とフラッペを飲む男の姿が――。
「ホントにいたね……!凄いよ、ゲート君!」
マナが小声で称賛してくれた。
「ハハ……。ま……まあ、俺だけの手柄じゃないんだけどな」
――時は遡ること10日前――
〈帝暦2030年 9月16日 15時21分 王都総合学園 生徒会室にて――〉
放課後。
外が下校する生徒で騒がしい中、始業式に聞いた可愛らしい声と、反逆者達と因縁のある高圧的な声が、静かにこだましていた。
「クソどもの仲間を一匹、こっちに引き入れた。ヤツの氷と”目”は使えるぜ。クックッ……!」
「よくやりましたね。えらいえらい、ブリッツ。ふふっ、お姉ちゃんはとっても嬉しいです!」
「今度色々と話がしてェ。そうだな……今度の生徒会議の後でどうだ?手に入れたヤツも、見せておきたいからなァ……!」
「それじゃあ、生徒の目に付きにくい所で落ち合いましょ」
「決まりだな。生徒会長さ……」
その時、ブリッツが突然窓を振り返る。
「……どうしたのブリッツ?お姉ちゃん、何かした?」
生徒会長エルシアの声が、少し暗くなった。
「……いや、気にすんな」
(今のは、マギアか……?いや、こんなに気配が薄いモンはこの学園じゃ……)
そんなブリッツを他所に、青いカエルが生徒会室の窓から、反対の校舎に乗り移る。そこには小さな人影が一つだけあった。
ソレは吸い込まれるように、その人物の手に吸い込まれていく。
「……この私に頼むなんて、お兄ちゃんは分かってますね!」
風とともに、少女の三つ編みが揺れていた――。
※ ※ ※
「――つまり、ソニアが高度な盗聴マギアを習得していたから、成功したってわけだ」
終盤、得意げになりながらネタバラシを締めくくる。
「ソニアちゃん凄い!私も見習わなくちゃね……!」
マナは小さく拍手した。ホント真っ直ぐ過ぎるよ、この人は。
「ねえ……ゲート君」
そのとき、マナの表情が消えた。
「わ、私を誘ったのって……?」
そう言えば、話してなかったっけ……。
「ああ、それは……」
だが……説明しかけた時、俺は絶句する。
……監視していた先に、凍てつくような金色の瞳と目が合ってしまったのだ。




