第30話「5限目 : 一触即発!天使vs堕天使vs氷の少女 / 妹を迎えに行け」
〈午後1時20分 王都総合学園 高等部 廊下にて――〉
この俺、ゲートはマナと一緒に教室へ戻ろうとしていた。
(なんか、一日で凄く距離が縮まった気がするな……。)
事実、廊下にいる生徒達は血眼になって俺達を見ていた。
「ねえ、ゲートくん!」
マナが元気よく袖を引っ張る。
「放課後、一緒に寄り道しない?」
寄り道……青春って感じがする……!
ワクワクしてきたぜ!
「そうだな、じゃあ――」
約束を交わそうとしたまさにその時、
全身を撃ち抜かれるかのような感覚が、俺に襲い掛かった……!
「……?どうしたの、ゲートく――。」
マナが突然、言葉に詰まる。
俺達の先にいたのは、ビット兵器で照準を定め、優しい微笑みを浮かべたルシファーが立っていた。
「ねえソウジ……?」
少し震えたような声で、彼女が口を開く。
「その子は誰……?!」
ヤバいッ……!圧で息が詰まるような殺気だ……!
「あ、ああ! この人はマナ、俺のクラスの友達だ。」
「マナです!はじめまして、ルシファー様。」
マナが畏まったようにお辞儀をした。
(”ソウジ”…? ゲートくんのことだよね……? なんだろう……。)
マナは何か引っかかっているように見えた。
「マナさん、私はソウジ幼馴染で、将来を誓った関係です。ですから、あまり彼に馴れ馴れしくしないでいただけませんか?」
ルシファーが冷たく言い放つ。
「で、でも…!ゲートくんはクラスでひとりぼっちです!だから、私が側にいないといけないって……」
「あなたにソウジの何が分かるのですか……?!」
マナの言い分を掻き消すように、ルシファーが声を張り上げた。
周囲の人間は戦々恐々としていた――!
「おい、2人とも落ち着け……!」
俺が何とか丸く収めようとする。
しかし、「あなたは黙ってて!」と一蹴。
マズいマズい……!
その時だ。
「あらあら、二人とも頭を冷やしたらどうかしら?」
今度は、凍てつくようなチクチクした悪寒が、俺の胃に穴を開けた……!
「アイ……!」
ヤバい……完全に修羅場だ……!
だが、アイの表情は穏やかだ。彼女は俺達3人の顔を見て、ため息をつく。
「……やっぱり、そういうことね。」
「ルーシー。ゲートにも、人付き合いってものがあるでしょ?ちょっとくらい大目に見てやりなさいよ。」
そう言って、ルシファーを諌めた。
「ありがとう……アイ!」
心からの礼だ。
「どういたしまして。ゲート★」
そう言って、アイは俺の肩に手を置いた。
(……ん?)
なんだろう、彼女の瞳が黒ずんでる気がする……。
(た、助けてくれたんだよな……?)
少し身震いした。
ま…まあ、だうやらルシファーも落ち着いてきたようだ。
「しょ、少々無粋な真似をしました。謝ります、マナさん……。」
「い、いえいえとんでもないです!こちらこそ、ごめんなさい……。」
2人はお互いお辞儀をした。
「まあ、これで一件落着だよな……?」
一触即発の危機は、まだ去ってないかもしれねえし、警戒しとこう……。
すると、ルシファーが俺達を見て口を開く。
「ソウジ、アイ……せっかくだからマナさんも。」
空気が、一変する――。
「今日の放課後、妹を迎えに行きます……!」
そう、遂に目的の一つを果たすときが来たんだ……!
※ ※ ※
〈午後1時30分 王都総合学園 初等部 6―A教室にて〉
ソニアです。
今私達は、マギア入門学の授業を受けている最中です。
「このマギアの授業は国家により全教育機関で唯一、講義の許可を受けた特別なものなのです。」
先生は一息ついて話を続けます。
「マギアというのは即ち、超常の力。皆がその力を乱用すれば、どうなるか分かりますよね?」
――空気が一変しました。
ざわめき……でもそこに先生が一言。
「さて、今日はマギアの基本的な呪文から学んでいきます!」
一瞬、ざわめきが止み――
歓声が、嬉々としてクラス中に響き渡りました。
「呪文……!」
待ってました!
「では、しっかりと見てください。」
先生が手をチョークにかざしました。
皆が固唾を飲んで、それを見守ります。
『リモート・コンバイン』
彼女が詠唱すると……。
眩い光と共に、魔法陣のような紋章が出現!
同時に、チョークが謎のオーラを放ち――
「チョークが……念力で動いてる?!」
チョークを遠隔操作して、”今日の課題”と黒板に書いていきます。
チョークを元の位置に戻し、先生がパンッと手を叩きました。
「すごい……!」
時間差で盛大な拍手が沸き起こりました!
ただ、私は黒板に書かれたことの方が衝撃でした……。
「……”30分以内に、マスターしろ”って…?!」
突然課せられた、シビアな試験。
王都総合学園……侮れないです。
―――そして。
「――クソッ、上手くできねー!」
「もう少し……あっ…!」
皆が修得に苦戦している中、私は先生の前で練習をしていました。
ただ……
「先生……。マギアの扱いについて、放課後に伺ってもよろしいでしょうか。」
情報収集も兼ねて、です……!
※ ※ ※
〈午後2時40分 王都総合学園 特例教室前にて――〉
「ここにルナ……私の妹がいるわ。」
遂に本物と対面……。
ソニアも行きたかっただろうな。
「いくわよ。」
そう言って扉を開けた時、その先にいたのはルナ……
だけでなく、俺達とファーストコンタクトしたあのことこの姿が――!
「よう……待ってたぜ。」
俺は歯ぎしりする……!
「ブリッツ……!!」




