表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/48

第29話「4限目 : 桃色の天使×ソニアのクラス」


それは思いがけないことだった。


「よ、よろしく……。」

俺は少し動揺する。

「うん!あ、次は私の番だね!」

ピンク髪の少女が立ち上がって自己紹介をする。


「私はマナ・ランドフェイト!好きなものは料理とバスケ!

みんな、よろしくね〜〜!!」

そして彼女はウィンクで締めた。

教室は拍手と、ライブ会場の如き歓声に包まれた。


(おいおい……ウィンクぐらいでそんな大袈裟な。いくら美少女だからって……。)


客観的に観ても、マナは美少女だろう。ピンク髪のストレートヘアーに、耳に上品なピアス、瞳は藍色。ルシファーやアイとは違う、クラスのアイドル的なタイプだ。


(分かってはいたが……こうも違うか……!)


男子達が鼻の下を伸ばす中、俺は不貞腐れてしまった。

(だが……反逆の道を歩む以上、そんな事はあり得はしない……!!)

そう自分に言いか聞かせた。心の中で、誰にも気付かれぬように……。だが、残りの自己紹介の間、俺は眉間にシワを寄せていたようだ。

「ゲート君、大丈夫?具合でも悪いの……?」

隣の席から、小声で心配しているような声が聞こえた。

振り向くと、マナがこちらを見ている。その目は、あまりに純粋だった。

「いや……平気だよ、ありがとう。」

小声で礼を言うと、彼女はさり気なく人差し指を小さく横に向けた。

時計の針は12時過ぎを指している。隣の教室は物置

き。


つまり……


(”昼休みに、物置き部屋に来い”…か。)


一瞬、考える。

(他の奴らとは違い、俺に関わってくる人間。わざわざジェスチャーにしたのも、一種の気遣いだろうな。だが……。)

彼女が何を考えているか分からない以上、この学園で気を緩むことになるのは危険だ。


(警戒して、乗るか……。)

俺はゆっくりと頷いた。

それを見た彼女は、嬉しそうに微笑んだ。



  ※        ※        ※



〈午後12時30分 王都総合学園 高等部 物置き部屋にて――〉


俺が周りの目を気にしつつ中に入ると、マナが既にいた。


(おぉ……物置きにしては綺麗だな。)

こういう所は、埃っぽいのが当たり前だと思っていたから、驚き……いや、そんな事はどうでもいい。


「待たせて悪い。何の話なんだ?」


俺は距離を取りつつ、彼女に問いかける。


「あ…うん。あのね……」


彼女の声が小さくなる。

俺は思わず身構えた……!


(なんだ、何が来るんだ一体……!?)


僅かな沈黙の後――彼女が目を逸らしながら、ボソッと呟やいた。


「お昼…一緒にどう?」


彼女がおにぎりを取り出す。

「へ……?」

なんか……思ってたやつと全然違うのが返ってきた……!


「……ぜ、是非。」


その後、俺とマナはお弁当のおかずを交換したりした。

「ゲートくんのたまこ焼ひ、いただきま〜ふ!!」

口いっぱい頬張りながら、マナがさらに口に入れる。

「詰め込み過ぎだろ……詰まらせんじゃねーぞ。」

俺は水筒を構える。何かあったら、俺が非難されるというのもある……が。

「ウッ……ッ!!」


その矢先、マナが喉を掴んで暴れ出した…!!

「……言わんこっちゃない!ほら、飲め!」

俺が水筒の蓋を開けて、マナの口に近づける。

だが、彼女は首を振って背中を指差した。


「え……擦れってこと……?」

全く……世話が焼けるぜ。


〈数分後……〉


「えへへ…ごめんね〜。」

マナが申し訳なさそうに笑う。

「気を付けろよ…ヒヤヒヤするぜ。」

俺はため息をつく。

すると、マナが顔を近づけた。

「やっぱり、あなたは悪い人じゃないって思った。」


「え…?」


俺は固まる。急にどうした…?


「だって……こんなに優しい人が、悪事を働けるわけないもの!」

彼女はニカーっと笑った。


「……ねえ、ゲート君。」

さらに顔を近づける。

「あなたのこと、もっと教えて……!」


その言葉が、俺の心に染み込む。クラスの腫れ物扱いな奴を、正面から見てくれる存在……。


「ああ……!えーと、ランドフェイトさ――」

彼女が再び首を横に振る。


「――これからもよろしく、マナ……!」


今まさにこの瞬間、天使が舞い降りた――



  ※        ※        ※



〈同時刻 王都総合学園 初等部 6―A教室にて〉


私はソニア。今まさに、学校生活を謳歌している反逆者です!


自己紹介の前は、みんなから怖がられていましたが……

私のスキルで全て払拭しました!

「ソニアちゃーん、ドッジボールしない?」


「犯罪者とか言ってごめんね……。ソニアちゃんが、そんな事できるはずないもの…!あのゲートとかいう男に脅されたんでしょ?!」


あと、クラスメイトだけでなく、先生とも仲良くなりました。

「ソニアさん……あなたがクラスに馴染めてホントに……ウウッ…。」

あらら、先生泣いちゃいました……。


やっぱり、私の武器はこのコミュ力。でも自分の為だけじゃなくて、お兄ちゃん達の為にもしっかり使わないといけませんね……!


そして、午後からは――


「マギアの授業……!」


マギアの秘密……楽しみです!



  ※        ※        ※



〈午後1時00分 王都総合学園 校長室にて――〉



歴代校長の肖像画が掛けられた、荘厳な雰囲気の中で、ルシファーが

ロイモンド校長と話をしている。


「――やはり、生徒会長は皇帝に……。そうですか、止められなかったのですね……。」

ルシファーが暗い顔でため息をついた。

「……すまない、ルシファーくん。だが希望はある。」

校長が片眼鏡を押し上げた。

「……弟君達を入学させたのは、間違いではない筈だ。」


それぞれの歯車が、さらに動き出してゆく――!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ