↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/83

第28話「3限目 : クラス分け――孤立の反逆者、ゲート」


 冷たい夜風が、頬を突き刺す。

「ゲート……アンタが今聞きたいのは、黒薔薇の剣の特殊能力とそこに潜む”彼ら”のこと、そして私が何でその剣を持っていたのか……で良いかしら?」

アイが落ち着いたトーンで話し始めた。


流石と言うべきか、不気味と言うべきか……。心の中を見透かされたことに、少々動揺してしまった。

「お、おう。話が早くて助かるよ」


「礼には及ばないわ。まず、黒薔薇の剣の特殊能力についてだけれど、それは”花言葉”よ」


大層なものが出るかと思いきや、予想外の回答。


「は、花言葉?なんか、すげーメルヘンだな」


アイが俺の肘を強〜〜くつねる。


「いいから聞きなさい。黒薔薇の花言葉には、憎しみ・恨み……復讐っていうのがあるの。それらにまつわる力が扱えるそうよ」


「イタタタタタ!ごめんごめん!」


冷静になって、アイの言葉を反芻する。


「憎しみ……か」


背筋がゾクッとした。


「で、その引き出し方はどうするんだ?まさか、”彼ら”に聞けとか言うんじゃないだろうな……?」


恐る恐る聞く。今知りたいんだよ、肝心なところは。


「――そのまさかよ」


フラグ回収……。

だがそんな俺の心の声は届くことも無く、アイは話を続けた。


「剣に宿る”彼ら”は、恐らく先代の使い手達の意識のようなものよ。”魂”と言った方が、分かりやすいかしら?」


一瞬、俺の頭が混乱する。何せ、とんでもない話が出てきたことに驚いてしまったからだ。


「けど、面白いな。こういう展開を待ってたんだ、俺は……!!」

未だ燻り続ける中二病が、アツくなってきた……!


 調子を良くした俺は、アイの答えを嬉々として待っていた。

「それは良かったわね。残る疑問は何で持ってたのかだけど……」

すると、クールフェイスだったアイが目を逸らして、バツの悪そうな顔をした……!


(おい、なんか怪しいぞ……?)


なんか罰当たりなことでもしたんだろうと思っていたが、アイの口から出たのはその斜め上を行くものだった……!


「お、王宮から盗んで来たのよ……」 


へ……?は……!?


「お、王宮……?!もう、スケールがデカ過ぎて言葉が……」

俺はちょっと呆れたような声を出してしまった。


アイは相変わらずバツの悪さで顔を赤くしている。 


(恥ずかしいなら、ごまかせよ……)


……本当の事を言えば、アイは皇帝と繋がりがあるんじゃないかって聞こうと思ったけど。今口に出すことじゃない。


「……教えてくれて、ありがとな」


何気なくお礼を言った途端、アイは何故かトイレに駆け込んでいった……。


凄くカンが良いなと思ったら、子供じみた挙動をするし……


(……やっぱ掴めねェな、アイツのこと)


まあ、少しずつ彼女のことを知っていけばいい……

と、時計を見たとき。 

時計は夜の1時を回っていた。


「なっ、もうこんな時間!?」


早く寝なければ!

朝からクラス発表があるんだよ!


「アイ〜〜!早く寝るぞ!寝坊したら知らないからな!!」 

俺はアイに呼びかける。


「そ、そんなこと分かってるわよ……!ほっといてよ!!」

アイが大声でトイレから返事をする。なんかキレてる。

「お、おう……じゃあ、おやすみ」

そっとしておこう……と踵を返した時、アイがボソッと呟いた――。


「……気遣ってくれて、ありがと」


  ※        ※        ※


〈帝暦2030年 9月2日  9時00分  王都総合学園 広間にて〉


 「おいおい……嘘だろ?」


 広間に掲示されたクラス表。Aクラスから慎重に見ていく。

――そして、俺の名前を見つけた時、思わず声を上げてしまった。


「アイ達が、全員別クラスだと……!?」


俺はB クラス。ルシファーはCクラス、そして、アイとメビウスがAクラスに配属された。ソニアは他学年……そう、俺はぼっちとなってしまったのだ……!


「ド、ドンマイね……。まあ……お昼休みにでも会いましょ」


アイが肩をポンと叩いた。

その気遣いが、傷を更に抉っていることも知らないで。


ブリッツですらA クラス。本当に知らない人間ばかり。誰しも最初は緊張、不安で一杯になることもあるだろう。


……だが、今回は別だ。


〈王都総合学園 高等部1―B教室にて――〉


 新学期とは思えないような重いざわめきが、教室を覆い尽くす。

「おい、あの首輪してる奴って確か……」

「反逆者ゲート……国家転覆を狙った極悪人だろ……?なんでこのクラスに……!?」


「顔は悪くないかも……」


「バカっ!やめときなさい!」


「関わっちゃ、怖い……」


「ルシファー様が更生させたっていうけど、ホントかな?」


(こいつらは何も知らないんだ……)


せっかくのホームルームも憂鬱。自己紹介しても拍手は無いだろうと思っていた。


――その時までは。


たった一人だけ、拍手してくれた人がいた。


「ゲートくんって言うんだ、よろしくね!!」


快活な声が、俺の名前を呼んだ。

俺の隣の席に座る、ピンク髪の少女。


 ――前に言った、2つの出会い。1つはブリッツ、2つ目は彼女。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。