第20話「彼女との約束/愛憎の天使」
あまりの豹変ぶりに、俺は言葉が出ない…!
「まさか…忘れたとか言わないわよね…?」
ルシファーは問い詰める。
俺は思考を巡らせる。
(どうする…?!忘れたとかバカ正直に答えたりしたら、何をしでかすか…!思い出せ…せめてキーワードだけでも…!)
「黙ってないで答えて…!」
ルシファーが苛立ちを露わにした…!
もう、時間がない…!
その時、ジェームズさんとの会話の記憶が鮮明になる…!
(ハッ…!)
反射的に、俺は口を開く。
「お、お前の騎士になる…。」
その言葉に、ルシファーは表情を緩める。
(せ、正解だった…のか?!)
俺の心臓は今も騒がしいままだ。
それに対し、ルシファーは何故か無言のまま。
「…ルシファー?」
束の間の静寂の後、ルシファーは静かに笑う。
「アハハハハ…!流石ソウジ!」
ホッとしたぜ…。
俺はルシファーの手を取ろうと腕を上げた―
その時だった。
「私のこと、全然見てない。」
ルシファーの言葉と同時に、二本のビームが俺の左腕と脇腹を貫いた―。
「ぐはっ…!な、何でだ…?!」
間違いだったのか…チキショウ!!
ルシファーは天使の様な物体と共に、宙に浮く。
「…何で思い出せないのよ。」
彼女から落ちたもの―
涙が、俺の額に当たる…。
「無神経なソウジなんて…大っ嫌い!!」
そう言ったルシファーの顔は、悲痛なものだった。
(―! ルシファー…!)
彼女は隣にいる物体に命令する…。
『あの人を殺しなさい、”シュバリエッタ”!!』
すると、その物体ははっきりとしたシルエットに変化する。
まるで、白い天使を模した、聖騎士型のロボット…。俺と同じくらいのサイズだった。
右手に槍を持ち、翼からは2基…いや8基のビット兵器が飛び出す!
次の瞬間、全方位からビームが飛んできた!
『テージウィンド…!』
俺は加速する…!
だが…先ほどのダメージの影響と、幼馴染に拒絶された動揺で、数秒遅れてしまった。
「ぐあああッッ!!」
ヤバい…!内蔵がやられた…!
だが止まれない、止まっちゃならない…!
俺は血を吐きながらビームの雨をすり抜けようとする…。
その時、シュバリエッタが急接近してくる…!
(…なに?!)
ガギィィィィイン…!!
間一髪…!俺の黒薔薇の剣が、俺の心臓と奴の槍の間に割り込んだ…筈だった。
なんと奴は剣をごと、俺をぶっ飛ばした!
なんてパワーだ…!
俺は壁に叩きつけられる…!
「ゴフッ…!」
間髪入れず、オールレンジ攻撃が牙を向く!
俺は急所を避けつつ凌いでいく…。だが、ただでさえ内蔵…肺と腎臓をやられている状態で出血と左腕使用不能。ダメージが、蓄積していく…。
だが…身体が鈍くなろうと、俺は思考のキレを落とさない…!
(今の俺じゃ絶対に勝てない…!助けを呼ぶか…?いやそれだけはダメだ…!これは俺とルシファー…いや俺の問題だ!)
俺がボロボロになっていく様を、上から見下ろしていたルシファーと、目が合う…。
俺の横からは、ビームの雨と共にシュバリエッタが襲いくる…。
(…約束を思いだせないなら、これしかない…!!)
俺は壊れた肺に追い打ちをかけるかのように、大声で叫ぶ。
「ルシファァァァ!!!」
シュバリエッタの槍を、壊れた左腕で受け流しつつ、俺は続ける…!
「ごめん!!!」
「俺はお前の約束を…ゴフッ…!…思い出せない…!」
それを聞いたルシファーは、何処か諦めたような表情になる。
「だから!!」
「教えてくれ……!!お前との約束を!!!!」
思いがけない言葉に、ルシファーが驚愕する。
少しの間の後、彼女は静かに呟く…。
「教会で……私と………よ…。」




