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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
第3章『ホーリーナイトメア』
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第18話「紡いだ氷/これで決まりだ」


〈22時14分、ナイトメア邸・庭園にて―〉


庭園を歩いていた俺の頬を、突如轟音と共に冷たい何かが掠めた。そしてそれは俺の後ろの岩に突き刺さった…。

「…っ!?」

俺はすぐさま振り向く。

ミハイルとツバサさんもこっちに来た。

そこに刺さっていたのは、手紙が閉じ込められた氷の塊だった。よく見ると、血が凍りついて付着している。

「―アイ…?!」

俺は血の気が失せた。

他の二人も、青ざめた顔をする。

「今すぐ助けに行かなきゃ…!」

俺は飛び出そうとした…が、

氷塊で覆われた手紙の文字が、それを止めさせた。


「この文字…姉様のものです!」


ミハイルがそれを覗き込んで驚愕する。

(ということは…これはルシファーが与えたヒントで、それを俺に伝えるために…!?)

俺は手紙を読み上げる。

「『…この私、ルシファー・レイス・ナイトメアは、この屋敷にはいません。』…何だと?!」

そんなもん、探しようがねえぞ…!

しかし、その諦めはすぐに吹き飛んだ。


「…?! なあツバサさん、これってまさか…!」

俺の指差した一文字に、恐らくアイの血でマークされたような跡があった。

『…この私、ルシファー・レイス・ナイトメア” は ”、この屋敷にはいません。』

「ええ、確かにそう見えますね…。」

ツバサさんが答える。


俺は思考をフル稼働させる…!

「ルシファーの目的からして、そもそも俺に見つけてもらわなきゃ話にならない…だから奴はこの屋敷に潜んでいる!」

「そして、この血に染まった” は ”の指す意味って言うのは…」

俺の言葉に、ミハイルはハッとする!


「兄様…まさか…!」


俺はある結論に辿り着く…!

「ああ…奴はルシファーとしてではなく、別の何かに変身して紛れ込んでいる…。そして…その姿は絶対に見つけられるもの…!」


「それは…この屋敷にいる人間だ!」


アイ…命を賭けてこれを伝えてくれたんだ。

無駄にはしねえ…!

「ですが…その肝心の誰なのかがわからないと…。」ミハイルが難しい顔をする。

「…それを今から解き明かすんだよ。」

俺はブザーを鳴らす。

(残る謎は…

①何故子供部屋でミハイルだけ殺害されなかったのか

②誰なのか

③俺とルシファーの約束…。)


俺の鼓動が、加速する―!


「待ってろルシファー…ここからがハイライトだ…!」


――――――――――――――――――――――――


〈22時56分、ナイトメア邸・庭園にて―〉


俺は残っている他のチームを呼び寄せた。

俺はこれまでの経緯を話した。

「…アイさん達を助ける人員の確保、そしてルシファーが誰のフリをしているかを突き止めたい…。そういう事だな、相棒?」

流石メビウス、話が早くて助かる。

「ソ、ソウジくん…まさか、私達を疑っているわけじゃないだろうね…?!」

ジェームズさんは混乱状態だ。実の娘に末っ子と妻(正確には生死不明)を殺られたことによる精神的ダメージは、限界に達していた。

「アイお姉ちゃん…!もう…嫌だよ…!!」

ソニアも憔悴してしまっている。


「…だからこそだ。今、確かめたいことがいくつかある!

この悪夢を終わらせる、確認事項だ。」


俺は頭を下げる。


「俺とルシファーのいざこざに巻きこんで、本当にごめん!

俺のせいで、関係ない皆が苦しむ姿を見たくない…!でも一人じゃ解決できない…!情けない事を言ってるのは…承知の上で頼む!力を貸してくれ…!!」

恐ろしいほどの沈黙のあと、穏やかな声が俺の耳に届いた。


「…顔を上げなさい、ソウジくん。」


顔を上げた先にいたのは、涙をジェームズさんだった。

「私も皆も、誰も君を責めたりなんかしないさ。むしろ、君を希望だと思っているんだよ。」


その言葉に、他の皆が頷く。


「ルーシーを止められるのは、君しかいない。彼女の”騎士”なら、当然の事だ。」

ジェームズさんは続ける。

「私達は君に協力するよ、ソウジくん。…頼む!ルーシーを…家族を愛する優しい娘を取り戻してくれ…!!」

「私からも頼みます!メイドとしてではなく、ツバサとして!」ツバサさんがジェームズさんの想いを繋ぐ。

「ルナが憧れた姉様を…お願いします!」

「アイさん達のことは、」

「私達に任せて!」

そしてミハイル、メビウス、ソニアと繋がる。

俺は熱いものが込み上がっていく感覚を噛み締めながら、皆の目を見て想いのバトンを受け取った。


「任せてくれ…!」


そして…



――――――――――――――――――――――――

〈23時38分、ナイトメア邸2階・子供部屋にて―〉


冷たくなった2人分の遺体しかない血塗れの部屋に、黒薔薇の剣を持った俺が足を踏み入れる。


「よう…。」


俺は遺体に剣を向ける。

「密室で複数の銃撃…儀式の開始直後からの死亡…全く、お陰で気づくのが遅れたぜ。」

俺は続ける。

「犯人は2人。それも片方は人間じゃない…。」


「何よりルナ…お前は3年前、すでに死んでいる…。」


俺はルナの遺体を睨見つける。


「お待たせ…」

「”ルナ”…いや、”ルシファー”!!」


死んだ筈のルナの口角が、大きく上がった…。


「ソウジ…どうして分かったのかしらぁ…?」


ルナの姿をした身体が浮き上がり、みるみる大きくなっていく…。

数秒後、ルシファーと共に純白の天使の様な物体が出現する!

そして物体の翼から、2つの何かが分離し、ビームを放つ!


「やっぱり、オールレンジ攻撃だったわけか…!」

俺はギリギリで躱す。


その様子を見ながら、ルシファーは恍惚の表情を浮かべながら語りかける。


「さあ、ソウジ…命懸けのお話をしましょ…♡」


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