第17話「彼に伝えろ / 見えない強襲(ファントム・アサルト)」
〈帝歴2030年 7月6日 22時01分 ナイトメア邸1階 居間にて――〉
このデスゲームのルールを根本から破るかのような手紙の内容に、私は憤慨する。
「屋敷にいない……いいえ、流石にあり得ないわ。だって……!」
恋慕の大司教……愛に執着を持つ者がその役割についてきたっていうのは、アソコにいた頃から理解している。
「アンタがいないんじゃ、ゲートとの約束が果たせないじゃないの……!」
私はレイスさんに気を配りつつ、手紙の内容を考察する。
(「この私、ルシファー・レイス・ナイトメアは、この屋敷にはいません」……。この屋敷にいないことを否定する部分が、何処かにある筈……!)
「ア、アイさん!だ、誰かに……見られているような気がするのよ……」
レイスさんは怯えきっている。
「大丈夫です。必ずお守りしますから!」
私は考えながらも、快活に振る舞った。
(「この私、ルシファー・レイス・ナイトメアは――)
あれ……?
(ルシファー・レイス・ナイトメア……”は”!?)
その瞬間、点と点が繋がった!
「まさか……!」
ルシファー、そんなの……あんまりだよ!
(一刻の猶予もないわ……!)
「レイスさん!急いでゲート達に知らせ――」
だが、その言葉が言い終わらない内に――
熱い痛みが、私の脇腹をレイス夫人ごと貫いた。
「ぐ……ッ!?」
一体何……!?
痛みよりも恐怖が勝つ程に、全く気配が感じられなかった!
「見えない攻撃……ね。迂闊だったわ……!」
私は直感で悟る!
(マズい、また来るわ!)
私はレイスさんと共に身体を捻る!
その刹那、黄色い光が私の頬を掠めた……!
その上、無理に捻ったせいでレイスさんが気絶してしまう。
「ごめんなさい、レイスさん……!」
でも、今はそんな事を引きずってはいられない。
私は痛みを堪えながら、レイスさんを連れて物陰に隠れる……!
(あれは……ビーム?遠隔操作できるっていうの……!?)
しかし、悠長に考えている時間はなかった。
突然、恐ろしいくらい清楚な声が、私の頭に直接響いた!
『気づくのが早いですね……アイさん。まあ、あなたは前々から鬱陶しかったですし、いい機会です』
その言葉と同時に、無数のビームが頭上から振り注ぐ!
『その手紙を置いて、蜂の巣になりなさい……!』
「――! ルシファァァッ!!」
私は氷でビームを防ごうとする。
「ぐっ…!」
しかし、氷ではすぐに溶かされてしまう。
(ダメ……こんなに強いなんて、聞いてないわよ……!)
熱線が、的確に私を撃ち抜いていく――。
(ごめんねソニアちゃん、メビウス――そしてゲート。けど、せめて――!)
私は死に物狂いで『女神の彗眼〈ディア・オクルス〉』を発動する……!
(お願い、誰か近くに……!)
足が動かなくなりながらも、心の中で懇願する。
(お願い――!)
――その時、私の目がある者を捉えた。
私は”持ってる”側だったみたい。
手紙に血を塗り、凍らせる!
ビームで弾き飛ばされた棚や食器を凍てつかせながら……!
「〈マギアノクス〉――」
『――グラキエース・サジッタ』
その刹那、私は凍らせた手紙を高速で打ち出した!
「アンタに託すわ……気付きなさい、相棒……!」
凍った家具とビームの餌食になる寸前、私は彼の名を口にした――。
「反逆者、ゲート……!」




