↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/83

第16話「ラビリンス / 悪夢の始まり」


「なっ――悲鳴!?」


俺は全速力で駆け上がり、扉を蹴破る!

「どうし――何だよ……これ!?」

だが……間に合わなかったのだ。


「オズマさんっ…!起きてよ……ルナが…ルナがぁぁあ!!!」

血濡れた子供部屋に居たのは、生気を感じられないオズマとルナに縋り、泣きじゃくるミハイルの姿だった。

オズマは頭を何かで撃ち抜かれたのか、側頭部から血を流していた。ルナの方は胸部に大きな穴が空いていた彼女は幼かったため、相対的にダメージを受ける面積が大きかった。だが……不可解なことに、両者とも何故か傷口から微かに、肉の焼けたような匂いがする……。


だが、そんなことより……2人とも出血が酷い。

「そんなっ――!?ルナ様、オズマ君……!?」

ペアのツバサさんが膝から崩れ落ちるのを感じた。

周囲を見渡しても、凶器らしき物、そしてルシファーが侵入した痕跡はない……! 


俺は困惑と怒りで声を震わせる。


「一番弱い子供から狙うのか……!」


ルシファー……血染めの二人は人質ですら無かったって言いたいのか……!?

「俺との約束だろ!?何で……実の妹を……大切な人を殺すんだ!?」


後から来たアイ達Bチーム、メビウス達Cチームも、その惨状に言葉を失う。

メビウスはオズマとルナの首筋に触れ、応急救護を施した。俺達は一縷の望みにかけて祈るしか、無かった。

やがて、メビウスが無言で立ち上がり、首を横に振った。

つまり……

「クソッ!」

俺は怒りと、自分への不甲斐無さで壁を叩いた。 


レイス夫人は執事と、溺愛する愛娘の事切れた姿に絶望する。

「嘘よね……?ねえ、ルナ!?」


ジェームズさんの目は怒りと悲しみに染まっていた。

「世話をしてくれた執事と、実の妹を手に掛けるとは……。ルシファー、ここまで堕ちたか……!!」


「ねえ、ソニアちゃん……。何でこの子が最初に殺されちゃったんだろ……?」

アイが見たことのない顔をする。

「あって…いいはずがありません……っ!ウッ――!」

あまりの光景に、ソニアが嘔吐してしまった。


俺は皆に指示する。

「もう、これ以上の犠牲を出すわけにはいかない!皆、当初の作戦通りに動こう……!」


「私も同意見です。ルシファーの手口は分かりませんが、これで彼女が時間内でも人殺しを厭わないことがハッキリしました。だからこそ、生存率から考えて大人数で動くより、チーム毎に分散して行動すべきです」

メビウスのフォローもあり、皆はいくらか冷静になってくれた。


その後、B・Cチームが子供部屋を後にした。

「待ってろよ」

――――――――――――――――――――――――


〈21時20分 ナイトメア邸2階・子供部屋にて―〉



 俺は悲しみに暮れているミハイルに、手を差し出す。

「ミハイル…このままじゃお前も危険だ。俺達Aチームに入るんだ」


ミハイルは賢い奴だ。少し考えてその手を取る。

「……はい。ルナを殺した理由を、姉様に……!」

その一言に、俺は違和感を感じた。

(……今のところ、ルシファーが犯人の想定だが、仮にそうだとして、奴はどうやって子供部屋に……?)


「……ミハイル、ツバサさん。話したいことがある」

俺の低いトーンに、2人は不安な目をする。

構わず俺は続ける。


「まずミハイル、お前はルシファーをこの部屋で見たのか?」

ミハイルはその問いに、怯えながらもはっきりと答えた。

「いえ……。オズマさんが扉の前に構えて、僕がルナを抱いて窓側にいたんです。でも姉様の姿はどこにもありませんでした。ただ……」


「……ただ?」

「2人が倒れる瞬間、複数の方向からほぼ同時に、2発の発射音が聞こえて……」


そこまで言った時、ミハイルはハッとして俺を見る。「まさか、僕を疑ってるんですか!?ソウジ兄様……!?」

その目が、困惑と悲しみで潤みだす……。

「いやいや、そんなことは思ってないぜ!?」

俺は慌てて否定する。


「そうです!お屋敷の皆様のことが大好きなミハイル様が、この混乱に乗じてルナ様を……妹様を殺せる筈がありません!」

ツバサさんも安心させる。

それを聞いたミハイルはホッとしたように溜息をついた。

「……ごめんなさい、ありがとうございます」

ツバサさんがミハイルを宥めている間、俺は頭を回転させる。

(ルシファーは姿を消せるのか?いや、発射音ってことは遠くから……)


メビウスも、ルシファーの能力は知らないようだった。


俺は2人に声をかける。

「一旦皆で庭に行こう。広いし、室内よりも逃げ隠れできるから」


「では、私が案内します!」

メイド故に屋敷を熟知しているツバサさんが名乗りを上げた。


「ルナ、オズマさん……少しだけ待っていてね……」

去り際に、ミハイルが2人の亡骸に語りかけた。

……その姿を見て感じてしまう、この悪夢を終わらせなきゃって。


 こうして俺達はツバサさんの案内に従い、子供部屋を後にした。


――――――――――――――――――――――――


【SIDE : アイ】

〈22時00分 ナイトメア邸1階・居間にて――〉



 私はアイ。居間のテーブルにあった一枚の手紙を発見してしまった、反逆の案内人よ。

怖くて触ることを躊躇っているレイス夫人に代わって、手紙に目を通す。


その内容に、私は再び戦慄した……!


「そんな……!?それじゃあ、話にならないわよ!」



          ◇◇


―親愛なるナイトメア家の皆様と、ソウジ御一行様へ―


 “浄化の儀”の開始から1時間が経ちましたが、私の足取りは掴めていないようですね。

ですので、ヒントを差し上げようと思います。

それは……「この私……ルシファー・レイス・ナイトメアは、この屋敷にはいません」


どう受け取るかは……この手紙を手に取ったあなた次第です。


これを読んだ人がソウジでないなら、彼にこう伝えておいてください。

 

"6年前の約束よ。

頑張って思い出してね……?

でないと………"


カテナ教会 恋慕の大司教 ルシファー・レイス・ナイトメアより

        

          ◇◇


……どういうつもりなの、この女は……!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。