第17話「彼に伝えろ/見えない強襲(ファントム・アサルト)」
このデスゲームのルールを、根本から破るかのような手紙の内容に、私は憤慨する。
「屋敷にいないですって…?!本当にそうなら、私達は処刑待ちの囚人ってこと…?!」
いや、流石にあり得ないわ。だって…!
「アンタがいないんじゃ…ゲートとの約束が、果たせないじゃないの…!」
私はレイスさんに気を配りつつ、手紙の内容を考察する。
(「この私、ルシファー・レイス・ナイトメアは、この屋敷にはいません。」…。この屋敷にいないことを否定する部分が、何処かにあるはず…。)
「ア、アイさん…!だ…誰かに見られているような…気がするのよ…!」
レイスさんは怯えきっている。
「大丈夫です。必ずお守りしますから!」
私は気丈に振る舞う。
(「この私、ルシファー・レイス・ナイトメアは」…ルシファー・レイス・ナイトメア” は ”…)
私の脳に電流が奔る…!
「まさか…!」
そんなの…あんまりだよ…!
(一刻の猶予もないわ…!)
「レイスさん!急いでゲート達に知らせ―」
その言葉が言い終わらない内に―
熱い痛みが、私の脇腹をレイス夫人ごと貫いた…!
「ぐうッ…何で!?」
私は痛みよりも恐怖が勝つ。全く気配が感じられなかった…
見えない攻撃…迂闊だったわ…!
私は直感で悟る!
(マズい…また来るわ!)
私はレイスさんと共に身体を捻る!
その刹那、黄色い光が…私の頬を掠めた…!
レイスさんは、あまりの痛みで気絶してしまった…。
「ごめんなさい、レイスさん…!」
でも、今はそんな事を引きずってはいられない。
私は痛みを堪えながら、レイスさんを連れて物陰に隠れる…!
(あれは…ビーム?!しかも遠隔操作できるってことよね…。)
しかし、悠長に考えている時間はなかった。
突然、恐ろしいくらい清楚な声が、私の頭に直接響く…!
『気づくのが早いですね…アイさん。あなたは前々から鬱陶しかったし…いい機会です。』
『その手紙を置いて…蜂の巣になりなさい。』
その言葉と同時に、無数のビームが頭上から振り注ぐ!
「…! ルシファーァァァ!!」
私は氷でビームを防ごうとする。
しかし…
「ぐっ…!」
氷ではすぐに溶かされてしまう。
全身が痛い…!
(ごめんね……ソニアちゃん…メビウス…ゲート。せめて―)
私は最後の力で『女神の彗眼〈ディア・オクルス〉』を発動する…!
(お願い…誰か近くに…!)
私はビームに身体を貫かれながらも懇願する…。
…私は”持ってる”側だったみたい。
私の目が”彼”を捉える!
(よかった…!)
手紙に血を塗り、凍らせる!
ビームで弾き飛ばされた棚や食器が、落ちてくる…。
「マギアノクス…」
私は詠唱する。
『グラキエース・サジッタ…!』
その刹那、私は凍らせた手紙を高速で打ち出す…!
「アンタに託すわ…!気づきなさいよ、」
家具とビームの餌食になる寸前、私は彼の名を口にした―。
「ゲート…。」




