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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
第3章『ホーリーナイトメア』
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第16話「ラビリンス/悪夢の始まり」


「…! 悲鳴っ…?!」


俺は全速力で扉を破壊する。 

そこに広がっていたのは―


「オズマさんっ…!起きてよ……ルナが…ルナがぁぁあ!!!」


生気を感じられないオズマとさんとルナに縋り、泣きじゃくるミハイルの姿だった。

オズマさんは頭を何かで撃ち抜かれたのか、側頭部から血を流していた。ルナの方は心臓部が赤く染まっていた。そして、何故か傷口から微かに肉の焼けたような匂いがする…。


2人とも出血が酷い…!

「そんな…?ルナ様…オズマくん…?!」

ペアのツバサさんがその場に崩れ落ちた。

周囲を見渡しても、凶器らしき物、そしてルシファーが侵入した痕跡はない…!

俺は困惑と怒りで声を震わせる。


まさか一番弱い子供から狙うとは…!


「…俺との約束だろ?!何で…実の妹を…関係ない人を殺すんだ?!」


あとから来たアイ達Bチーム・メビウス達Cチームも、その惨状に言葉を失う。

メビウスはオズマとルナの首筋に触れる。

その瞬間、メビウスから表情が消える…。

そして、首を横に振ったのだった…。

レイス夫人は執事と、溺愛する愛娘の事切れた姿に絶望する。

「嘘よね…?ねえ…ルナ…?!」

ジェームズさんの目は怒りと悲しみに染まっていた。


「ルシファー…そこまで堕ちたか…!!」


「ウソ…ねえソニアちゃん、こんな酷いことってある…?」

アイが見たことの無い顔をする。

「あって…いいはずがありません…オエッ…」

あまりの光景に、ソニアが嘔吐してしまった。

「もう…これ以上の犠牲を出すわけにはいかねえ…!皆、当初の作戦通りに動こう!」

俺は皆に指示する。

「私も同意見です。ルシファーの手口は分かりませんが、これで彼女が時間内でも人殺しを厭わないことがハッキリしました。だからこそ、生存率から考えて、大人数で動くよりチーム毎に分散して行動すべきです。」

メビウスがフォローする。

その言葉に、皆はいくらか冷静になってくれた。


その後、B・Cチームが子供部屋を後にした。


――――――――――――――――――――――――


〈21時20分 ナイトメア邸2階・子供部屋にて―〉



俺は悲しみに暮れているミハイルに、手を差し出す。

「ミハイル…このままじゃお前も危険だ。俺達Aチームに入るんだ。」

ミハイルは賢い奴だ。少し考えてその手を取る。

「…ルナを殺した理由を、姉様に…!」


……その一言に、俺は違和感を感じた。

( そういえば、仮にルシファーが犯人だとして、奴はどうやって子供部屋に?もしかしたら…)


「…ミハイル、ツバサさん。話したいことがある。」

俺の低いトーンに、2人は不安な目をする。

構わず俺は続ける。

「まずミハイル、お前はルシファーをこの部屋で見たのか?」

ミハイルは、怯えながらもはっきりと答える。

「いえ…。オズマさんが扉の前に構えて、僕がルナを抱いて窓側にいたんです。でも姉様の姿はどこにもありませんでした。ただ…」


「…ただ?」

「2人が倒れる瞬間、複数の方向からほぼ同時に、2発の発射音が聞こえて…。」

そこまで言った時、ミハイルはハッとして俺を見る。「まさか、僕を疑ってるんですか、ソウジ兄様…?!」

その目が、困惑と悲しみで潤みだす…。

「いやいや、そんなことは思ってないぜ!?」

俺は慌てて否定する。

「そうです!お屋敷の皆様のことが大好きなミハイル様が、この混乱に乗じてルナ様を…妹様を殺せる筈がありません!」

ツバサさんも安心させる。

それを聞いたミハイルはホッとしたようにため息をついた。

「…ごめんなさい、ありがとうございます。」

ツバサさんがミハイルを宥めている間、俺は頭を回転させる。

(…ルシファーは姿を消せるのか?いや、発射音ってことは遠くから…?!)


…メビウスも、ルシファーの能力は知らないようだしな。


俺は2人に声をかける。

「一旦、庭に行こう。広いし、室内よりも逃げ隠れできるから。」

「では、私が案内します!」

メイド故に屋敷を熟知しているツバサさんが名乗りを上げた。


「ルナ、オズマさん…少し待っていてね…。」

去り際に、ミハイルが2人の亡骸に語りかけた。

こうして俺達はツバサさんの案内に従って、子供部屋を後にした。


――――――――――――――――――――――――

〈22時00分 ナイトメア邸1階・居間にて―〉



私はアイ。居間のテーブルにあった、一枚の手紙を発見してしまった、案内人よ。

怖くて触ることを躊躇っているレイス夫人に代わって、私が手紙に目を通す。


―その内容に、私は再び戦慄する…!

「そんな…それじゃ話にならないわよ…!?」



          ◇◇


―親愛なるナイトメア家の皆様と、ソウジ御一行様へ―

“浄化の儀”の開始から1時間が経ちましたが、私の足取りは掴めていないようですね。

なのでヒントを差し上げようと思います。

それは…「この私、ルシファー・レイス・ナイトメアは、この屋敷にはいません。」

どう受け取るかは…この手紙を手に取ったあなた次第です。

…ソウジ、6年前の約束よ。

頑張って思い出してね♡

でないと…。

カテナ教会 恋慕の大司教 ルシファー・レイス・ナイトメアより

        

          ◇◇


どういうつもりなの…この女は…!?


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