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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
第3章『ホーリーナイトメア』
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第15話「浄化の儀/彼女を探せ」



「浄化の儀…皆殺しだと…?!」


ルシファー…!

「ルーシー…一体何故こんなことを…?!」

ジェームズさんは困惑している。ルーシーというのはルシファーの愛称だ。

「ほぼ間違いなく、ソウジくん絡みのことでしょうけど…。だ、大丈夫よソウジくん…!私達はあなたを責めたりなんかしないわ。」

金髪縦カールの若々しい夫人が俺を気遣ってくれた。彼女はレイス・ヴァン・ナイトメア。ジェームズさんの奥さんで、ルシファーの母親だ。

「お気遣いありがとうございます、おばさま。」

俺は何時になく礼儀正しく感謝を述べる。

ここの一族は高貴だからだ。


とは言え…

チラリと時計を見ると、既に19時を回っていた…。

(どうする…?!浄化の儀まで後2時間を切った…!できるだけ早く対処しないといけないのに…どこにアイツがいるのか…アイツとの約束が思い出せねぇ…!!)

俺は焦っていた。頬から冷や汗が流れ落ちる…。


思考が停止していく―。


その時だった。


「まず、この屋敷にいる人をこの居間に呼んでください。」

重苦しい空気を和らげたのは、メビウスの一言だった。

「…?!あなたはまさか…メビウス殿下…?!」

困惑していて今まで気づかなかったのだろう。恐怖が驚きに変わった。

メビウスは続ける。

「その後、浄化の儀の開始時刻までに、いくつかの捜索チームを編成するのはどうでしょう?何せこの悪夢を生き残るには、ナイトメア家の皆様と我々の、お互いを知る必要がありますので。」

メビウスがテキパキと皆を纏めてくれた。

それを聞いたジェームズさんの顔色が、いくらかマシになった。

「あ、ああそうですな…!早速、皆を呼び出します…!」

そう言って、コールボタンを押しに行った。

メビウスは俺を見てウィンクする。

「どうだい、相棒?」


いつから相棒になったんだ…?


でもまあ…

「助かったぜ、ありがとう。」

俺はお礼を言った。コイツは本当に頼りになる。

「何よ…相棒なんて、前からいるじゃないの…!」

気づかなかったが、アイは、少し厶ッとしていた…。



――――――――――――――――――――――――


〈19時45分、ナイトメア邸の居間にて―〉


3人のメンバーが居間に姿を現した。大人1人と、恐らくソニアよりも年下の兄妹が2人。

「只今お連れしました。皆、自己紹介をしなさい。」

ジェームズさんが促すと、大柄なスーツを着た、キズだらけの男が前に出る。「私は、ナイトメア家の執事をしております、オズマと申します。」

…こんな奴、いた覚えがない。俺が知らない間に新しく入ってきたのか…?

俺の違和感をよそに、兄妹が揃って前に出る。

「僕はミハイル。10歳です。…ルシファー姉様が…帰って来たのですか…?」

ミハイルは昔から礼儀正しかった。俺が礼儀を学んだきっかけも、彼の存在が大きい。

その後、ルシファーを幼くした様な女の子が、口籠りながら話し始める。

「ル、ルナ…。ろ…6さいです…。お姉ちゃん…!はやくあいたいよぉ…!」

彼女はルナ。昔は小さくてあまり関わりがなかったけど、家族から愛されている末っ子だ。

俺達も自己紹介した。

「よろしくね!ミハイルくん、ルナちゃん!」

アイは小さい子が大好きだ。

「大丈夫ですよ、2人とも私が守りますから!」

ソニアがお姉ちゃん然とした態度で励ます。

「「…さて。」」

気を引き締め直すように、俺とメビウスが声を上げる。

…同時に。


――――――――――――――――――――――――


〈20時57分、ナイトメア邸の居間にて―〉


儀式開始まで、あと3分―。


話し合いの結果、俺とツバサさんのAチーム、アイとレイス夫人のBチーム、メビウスとソニア、そしてジェームズさんのCチームが探索班となった。

執事のオズマさん、ミハイルとルナは子供部屋で待機。流石に、小さい子を動き回らせるのは無謀すぎる。

「皆、説明したと思うけど、ルシファーの目的は俺だ。だから、万が一ルシファーと遭遇したら…」俺は防犯ブザーを取り出す。ナイトメア邸にあったものを貸してもらった。

「このブザーを使ってくれ。速攻で駆けつける…!」

俺の話を聞いて、何人かが頷いてくれた。しかし、レイスさんが質問する。

「も、もしもよ…?もしも…ルーシーが遭遇した私達に襲いかかってきたら…?」

彼女の手は、震えていた。

「大丈夫です。そのために戦闘力の高い面子を、そうでない人たちと組ませてるんですから。」

俺はできる限り安心できるように答えた。

フォローするように、アイがレイスさんの手を取る。

「心配ありません。私が絶対に守り抜きますよ。」

それを聞いて、レイスさんは少し落ち着いたようだった。

残り20秒―

「皆…生き残るぞ…!」

俺が声を上げる。

皆、各々の位置に待機している。

残り10秒―

「ルーシー…お前の考えを知りたい…。」

ジェームズさんが、呟く…。

残り3…2…1…!


0…!


〈浄化の儀、開始―〉


「ウアアァァァ〜〜!!!」


開始とほぼ同時に…

子供部屋の方から、悲鳴が聞こえた…。


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