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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
第3章『ホーリーナイトメア』
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第14話「彼女との約束/ナイトメア家」


俺はゲート。ルシファーと豹変した市民から、命からがら逃げおおせた反逆者だ。


あの襲撃のとき、アイの氷壁が市民達の魔の手から守ってくれた。その間に、俺はアイ、ソニア、そしてついこの間加入したメビウスを先導して、目的地であるナイトメア家に向かっていた。


〈昼頃―〉

ショッピングモールから離れた場所で、ご飯を買おうとしたところ、近くにいた市民と従業員に襲いかかられた。メビウスがチョップで気絶させながら険しい顔をする。

「…この感じだと王都の市民のほとんどが、”恋慕”ルシファーの言葉に心を奪われているだろうね。」

確かに…。

「そういえばゲート、あなたは何でナイトメア家を知ってるのよ?」アイが訝しげに聞く。


そういや、話してなかったな…。

「ナイトメア家っていうのは、王都の辺境にある有力地主の一族で、ルシファーの実家だ。」

その言葉に、全員が驚いた顔をする。

「お兄ちゃんって、ルシファーとどういう関係だったのですか?」

ソニアが質問する。

俺は、皆を案内しながら説明する。

「…俺とルシファーは、家が近いこともあって幼馴染だった。それで、勉強の為に実家を離れるってなったときに、俺、ルシファーと何かの約束したんだ…。でも、その約束を果たせず、内容も忘れちまった…。」

俺は歯ぎしりした。もしかしたら…

「…その”約束”を果たすために、僕たちを彼女の実家に向かわせた、ということかな。」

俺の思考を読んだかのように、メビウスが推論する。

「まあ…そこに着いたら真相がわかるわよ、きっと。だからゲート、日が暮れる前に急ぎましょ★」

アイが急かす。

それもそうだな…。


「僕の剣の能力なら、高速で移動できるよ。」

メビウスが今更のように言う…。

「おい…!それを早く言えよぉぉぉ…!」



――――――――――――――――――――――――


〈午後6時過ぎ、ナイトメア家正門前にて―〉


メビウスのおかげで、日が暮れる前に着くことができた俺達。

俺は備え付けの鐘を鳴らす。


(緊張する…ぜ。)


心臓がバクバクと音を鳴らす。

静寂が訪れる。


数分後、

正門の向こうから姿を現したのは…


「お待たせしま―ソ、ソウジくん…?!待ってたよ、久しぶりだね…!」

メイドのツバサさんだった。黒い髪のボブヘアー、そして茶色い瞳。昔からよく遊んでくれた人だ。

ただ、”待ってた”…か。俺達が来ることは、ナイトメア家もすでに知っていたのか…?


その時。一瞬、ツバサさんの目つきが変わったような気がした…。


「コホン…そちらにいるのはお友達ですね。どうぞ、お上がり下さいませ。」

急にメイド口調になったツバサさんは俺達を居間へ案内した。

「お邪魔します。お久しぶりです、皆さん。」

居間に入ると、懐かしい人達の姿が。しかし、皆の様子は何処か不安そうだ。

「…! ソウジくん、久しぶりだね。大きくなったなぁ…。」

メガネを掛けた優しそうなイケオジが挨拶する。

「ご友人の皆さん、私はナイトメア家78代当主、ジェームズ・リン・ナイトメアです。」

ジェームズさんは大きくため息をついた。

「実は…今日の朝に届いた手紙で、君達の来訪を知ったんだよ。」

そして、俺達に上質な紙に書かれた手紙を見せた。


「……な、何だよこれ…!?」

その内容に、俺達は絶句する。

――――――――――――――――――――――――


―親愛なるナイトメア家の皆様、そして本日来訪されるであろうソウジ御一行様へ―



本日21時より、この屋敷にて”浄化の儀”を行います。逃げることはできません。翌日6時までに私を見つけ、儀式を止めてください。もし誰も停めることができなかった場合は、時間切れと同時にこの屋敷の生ける者を皆殺しにします。


追記

ソウジ…あの時の約束を果たすまで、逃がしませんからね…?

ご健闘をお祈りします。


       "恋慕”の大司教ルシファー・レイス・ナイトメアより


――――――――――――――――――――――――


どうやら俺達は…とんでもない悪夢に囚われちまったようだ…。


そして…そんな俺達の様子を窓から眺めている人影がいることに、誰も気づくことはなかった…。


「ソウジ…責任、取ってもらいますからね…♡」

「ウフフフフッ…♡」


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