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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
『王都-カテナ教会”生命”編-』
18/23

第13話「生命(いのち)編-完/ルシファー再び」


「聞きたいことがあります…!」


ソニアちゃんが張り詰めた顔でイグドラに問いかける。

イグドラは一瞬、固まった。しかし、思い出したかのように意地悪く笑う。

「あぁ…”L-57”か…。やはり悪意が消えたのは貴様らの仕業だったようじゃな、アイ…ゲ〜トォ…!!」


コイツ…やっぱりソニアちゃんを実験動物としか見ていない…!

しかし、そのような呼ばれ方をされても、ソニアちゃんは眉1つ動かさない。

「何故、私達親子に信仰の案内を届けたのですか…?!」

その問いに、イグドラは嘲るように答えた。

「何故かじゃと…?それは全てL-57、貴様をワシの娘にするためじゃ!!」

…何よそれ。予想の斜め下を行く回答に吐き気がする…!


「えっ…?な、何を言って―」


動揺するソニアちゃんを無視して、奴は続ける。

「4年前、貴様の母親を事故に見せかけ、殺害すしたときは脳汁が溢れんとした気分じゃった…!これで貴様と"L-56"の生活が困窮し、ワシらカテナ教会を頼らざるを無くなる…!」


「テメェ…!」


ゲートが黒薔薇の剣に力を込める。しかし、メビウスが嗜める。

「ワシが貴様ら親子に”祝福の種”を植え付けた時、貴様の方の侵食を抑えるのには苦労したわい…!父親の方は使い捨てとして貴様と別れさせる手筈じゃった…!」

胸を抉るような数々の告白に、ソニアちゃんは涙を流して絶望する…。

「そん…な…なんてことを…」

「最終的には脳を弄くってワシの娘として迎え入れる…はずじゃったが、そこの反逆者共に台無しにされた…!じゃが…」

そう言って、イグドラは美しいものを見るように、目を煌めかせてソニアを見つめる…。

「今からでもワシの娘として教会に…皇帝陛下に仕えるのじゃ〜〜!!L-57ァァァ〜〜〜〜!!!」

イグドラは食い入るようにソニアに顔を近づけようともがく…。


「もういい。」


ゲートが行動を起こす前に、私がゆっくりと口を開く…。


「さっきから聞いていれば…」


私の身体から超低温の冷気が溢れ出す…!


「ソニアちゃんを奪うために両親の命を弄び…」


「ソニアちゃんを娘として迎え入れると言っておきながら、一度も彼女の名前を呼ばずに…!」


…ゲートとメビウスが、私から距離を取る。


「どこまで悪辣な事をすれば気が済むの…?!アンタは……!!!」

もう容赦はしない…

私はイグドラの首から下を凍結させる。


そして―


「アンタの命は!」

奴の右足を思い切り砕く。砕けた氷が、周囲に飛び散る。

「ウギャァァァ〜〜〜〜!!?」

奴が泣き叫ぶ。

「この私が!」

それに構わず左足、右腕を叩き割る。


「弄んであげる!!!」


残った左腕を吹き飛ばす。

「ア…た、頼む…!助けてくれぇ…!!」

イグドラの情けない命乞いが、周囲に響く…。


「……。」


一瞬の沈黙。

そして…


「あはっ★」


私は敢えて無邪気に笑う。

こんな奴に言う事なんて、決まってる。

「だ〜め★」

私は侮蔑を込めた顔に戻る。

「死になさい…!」

私はイグドラの顔を氷漬けし、拳が砕けんほどのパンチで奴の肉体を破壊した。

次の瞬間、凍りついた奴の肉体の欠片が、黒い霧となって消えた…。


「悪魔に相応しい最期だったね…。」

メビウスが淡々と言う。

「アイ…。」

ゲートは私を心配するような顔をしている。


私は座り込んでいるソニアちゃんを連れて、ゲート達のところへゆく。彼女の目は光を失っているように見えた…。

「…もう終わったよ。」

私はソニアちゃんに優しく言う。

でも、これだけじゃダメよね…。


私は彼女をギュッと抱きしめる。

「大丈夫…!私達は絶対にあなたから離れたりしないわ!家族なんて言うのは、おこがましいかもしれないけど…、私達は仲間を愛してる…!!」


「ああそうだ…!もう苦しまなくていいんだ、ソニア…!」

私の想いを後押しするかのように、ゲートが私達を抱きしめる。

「ほらメビウス、お前もだよ!」

そう言って、ゲートは手を差し出す。

メビウスは一瞬、たじろぐ。

しかし…

「…これからもよろしくね、ゲート…ソニアさん…アイさん…!」

メビウスがゲートの手を握り、輪に入る…。

少しずつ、ソニアちゃんの目に光が戻っていく―。


「ありがとう…ございます…!皆さん…大好きです…!!」


ショッピングモールの天井から差し込む月明かりが、私達を照らしていく―。


その時だった。


『無垢なる人の子よ』

『皇帝陛下の愛を枯らした者たちを、捕らえなさい…。』


次の瞬間

無数の市民が、私達に襲いかかる…!


「…!! ルシファー…!!」

ゲートが絶叫する…!


ルシファー…まさか、”恋慕”の大司教…?!


「ウフフッ…、久しぶりねゲート♡これを辞めてほしければ、”ナイトメア家”に来なさい。」

ルシファーが無邪気に笑う。


「お仲間さんも、ご一緒に…♡」



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