第10話「信じていいのか皇子様!?そして悪魔とエンカウント…!」
「皇子だと…!?」
俺の言葉に、メビウスは反応する。
「そうだよ。まあ無理もないよ…実は君が気絶してるときに一度会ってるんだけど、記憶にないだろうし身分を隠してたから。」
…マジかよ。俺の目的…皇帝に近しいヤツが目の前にいるなんて…!
だが、優先事項はそれじゃない。
「…共闘はする。だがその前に確認してぇことがある。」
そう言って、俺はメビウスを少し睨んだ。
「わかった、色々話そう。ただし…」
メビウスは俺が抱えている少女を見る。
「一般市民を避難させながら、だけどね?」
…まあ仕方がないか。
〈ショッピングモール”ワルキュリア・シティモール”屋上付近において―〉
「みんなー、こっちだ!」
「僕たちがゾンビを倒すから、落ち着いて従って!」
俺達が避難誘導をする。
「まず、この惨状の元凶は誰だ?」
俺がメビウスに問いかける。
「”誰”…か。もうそこまで推察できてるのは、流石だね。」メビウスは優しく微笑む。
「この地獄絵図は”生命の大司教”イグドラの仕組んだマッチポンプさ。」
…やっぱ大司教の仕業か。
だが…
「マッチポンプ…?」
「ああ、そうだ。」
メビウスの表情が険しくなる。
「今日、実は極秘でイグドラがこのショッピングモールに来ている。」
光の槍でゾンビを倒しながら、メビウスは続ける。
「理由は吐き気がする……。王都内外の人間が多く集まる場所で騒ぎを起こし、自らが収めることで信仰…カテナ教会の束縛を強化する…汚らしい私欲のためさ。」
何だと…?!とんでもねえことをやりやがる…!
「カテナ教会…?確か、ルシファーがそんなことを…」
…まさか、アイツも一枚噛んでるって言うのか…?!
「…君がなぜ”恋慕の大司教”の名を知っているのかは、問わないでおこう。」
メビウスは市民を誘導しながらも静かに言う。
「もう一つ…アンタは王族だろ?なんで王宮と密接な大司教の野望を阻止しようとするんだ?」
迫りくるゾンビを剣の茨で蹂躙しながら、俺は問う。
答えによっては、騒動が終わり次第すぐにでも…!
「この世界を、変えたいからだ。」
メビウスの口から出たのは、予想もしない言葉だった。
「僕はカテナ教会と皇帝陛下の政策によって、姉を奪われた…。その傲慢さに嫌気が差して…僕は王宮を抜け出したんだ…。」
メビウスは俯く。
そうか…そうなのか…。
「俺と似てるな…お前。」
市民の避難の完了が見えてきた頃、俺は口を開く。
「俺は…皇帝達のせいで親に捨てられた。だから、俺は悪意を断ち切る。世界を変える反逆者になった…。」
「…お前がいいなら、これからも一緒に戦わないか…
?」
俺はメビウスに手を差し出す。
「君は…。」メビウスは顔を上げる。
数秒の静寂の後―
「…気持ちはありがたいけど、今じゃない。」
そう言って、手を払いのける。
「その話は、イグドラを倒してからにしよう、ゲートくん。」
…それもそうだな。
その時、生存者の避難が完了した。
「…分かった。俺は仲間と合流しつつ、イグドラを探す!ついてきてくれるか?」
それを聞いたメビウスが、不器用な笑顔で返す。
「もちろんだ。よろしくね、ゲートくん。」
こうして、俺達はショッピングモールを駆け抜けていった―。
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〈同時刻、2階オフィスブロックにて―〉
私はアイ。さっき上の階で茨の音が聞こえて、ゲートの復活を察した反逆の案内人よ。
(ゲートもそうだけど、まずはソニアちゃんを探さなきゃ…!)
悠長にしていられないわ。私は目を見開く。
『女神の彗眼〈ディア・オクルス〉』
紋章と共に瞳が金色に染まる。
(どこにいるの…?)
上の階…下の階…気配なし。
この階…
(…!)
私は気づく。
(大司教の控室…)
つまり、私が今いるオフィスブロック内に…!
隈無くみわたす。
そして―
「いた…!」
ソニアちゃんの澄んだオーラと…ただならぬ邪気を放つ存在の気配!
私は氷で扉をこじ開ける。
「ソニアちゃ―」
その時、無数の触手が私を縛り上げる―!
「むぐっ…!?」
氷が出せない…マギアも使えない…
罠ね…!やられた…!
そして…そんなに私をいやらしい目で見上げる、初老の男がいた。
「久しいのう…アイ。また調べてやろうかい…?ウヒヒヒヒヒ…!」
一瞬、脳が理解を拒んだ。
次の瞬間、私はその姿に怒りを覚える…!
「イグドラ……!!」




