第11話「アイの叫び/最強タッグ」
〈帝歴2030年 7月5日 13時50分 ワルキュリア・シティモール2階 オフィスブロックにて――〉
「あなたは相変わらず醜悪ね……。吐き気がするわ」
私は侮蔑を込めて吐き捨てた。私の横には、気を失っているソニアちゃんが、同じように触手で吊るし上げられている。
「それで……何が目的かしら?」
今は時間を稼がなきゃ……!
私の質問に、イグトラは口角を上げながら答える。
「決まっておろう?アルトリア国民に、教会への信仰を促すことじゃ」
マッチポンプってやつね。ほんとアタマにくる……!
「だったら、ソニアちゃんを連れ去る必要はないでしょう?」
「ああ、それはなぁ……」
すると、イグドラの口角がさらに裂けるように、意地悪く上がった……!
何……コイツ……!?
私の背筋がゾクッと震える。
「まさか、私をおびき寄せるため……?」
「その通りィ!!5年ぶりにその身体ァ……調べさせてくれやぁぁぁっ!!」
そう言うと、ユグドラから出た触手が、私の身体に纏わりつく……!
「いやっ――!!」
逃れようと身体をくねらせても、ビクともしない。
触手が私を侵食してゆく……。
「ウヒヒヒヒヒヒィィ〜〜!!その顔ォォ、いい反応じゃぁぁあ〜〜!!」
イグドラが悪魔の様な形相で、さらに触手を伸ばす。
私は泣き叫んだ……。
忘れ去りたかった、かつての地獄の日々――。
瞳から溢れた水滴が広がり、床が凍りつく。
「嫌……嫌っ!こんな人になんて……!」
(お願い……誰か!)
その心の叫びを嘲笑うかのように触手がさらに巻きついていく―。
(お願い……!)
「ゲートっ……!!!」
脳裏に浮かんだ彼の名を絞り出すように叫んだ……
その時――
私の想いに応えるかのように、天井から轟音と共に2つの人影が降りてくる。
次の瞬間、私に絡みついていた触手が、赤黒い斬撃によって細切れになった!
その拍子に、私は悪い体勢で落下してしまう。
「ヒャッ――!?」
でも、私の体は地面付くことは無かった。黒髪の男がその腕でキャッチしてくれたの。
「待たせたな、アイ」
聞き親しんだ声――
その声の主は、そう……!
「我が名はゲート。ウチの案内人が世話になったな」
イグトラに向かって、反逆者が名乗りを上げる。
それに続いて、ソニアちゃんを抱えた、あのウルフカットの男が口を開く。
「お怪我はありませんか、アイさん?」
彼等の言葉に再び涙が溢れる。でもさっきとは違う――温かい涙。
「ゲート……!メビウスさん……!」
乱入者による悪趣味なショーの中断に、イグドラは憎悪の目で2人を睨みつける。
「クソガキが……!」
同時に、ゲート達に向けて、突き刺すような殺気が放たれる……!
私は思わず身震いした。
しかし、ゲートは一瞥もせず、私をソニアちゃんと一緒に安全な場所まで運んでくれた。
「待ってて」
そして、メビウスさんと共に並び立った!
「大司教イグドラに告ぐ!メビウス・ディ・アルトリア及び……」
「反逆者ゲートが、その悪意と共に……」
2人が剣先を正面に向け、宣言する!
「「お前をこの剣で断ち切る!!」」




