第8話「来たぞヤンデレ!ルシファー襲来!」
〈帝歴2030年 7月2日 11時49分 ワルキュリア・シティモール1階 壁にて――〉
「――みーつけた……♡」
その声は俺を驚かすには十分だった。
「なっ……!?」
数歩距離を取り、声の主を見る。
「お前は……?」
だが奴は不思議な笑みを浮かべるだけで、何も答えない。
しかし、その修道服と懐かしい顔を見て俺は驚愕する――。
「ルシファー……なのか?」
それを聞いた彼女の顔が恍惚とする。
「あぁ……覚えていくれたのですね。昔は人の名前を覚えようともしなかったのに……。嬉しいですよ、ソウジ……いいえ今はゲートと呼ぶべきかしらね……♡」
彼女は俺の幼馴染だが………それより。
反逆者としての名であるゲートを、なんでコイツが知ってるんだ……!?
「"ゲート"……その名前、どこで聞いた?」
俺は強烈な不安に襲われながらも、情報を聞き出そうと平静を装った。
「なんでって……決まっているでしょ?将来の夫となる者のことぐらい、調べていて当然よ……♡」
ルシファーは愛しいモノに語りかけるかのように、甘い口調で答える。
何言ってんだコイツ……!?
「……見ないうちにずいぶん変わっちまったな、ルシ―」
そう言いかけたとき……
俺の唇が、突然奪われた――。
「――んんっ!!?」
何だ……コレ!?頭の中が……溶ける……。
それは、俺の進むべき道を変えるかのような甘さだった……。
数秒の接吻の後、ルシファーがその場を静かに離れる。
同時に、俺はへなへなとその場に膝をついてしまった。
「な、何が……目的だ……!?」
朦朧とする意識の中で、俺はルシファーに問いかける。
「うふふ……♡」
だが、ルシファーは子供のように笑うだけ。
「私はただあなたが欲しいだけですよ、ソウジ」
そして、彼女は続けて驚くべきことを口にする……!
「次に合うときは、カテナ教会”恋慕の大司教”として待ってますね」
そして、去り際に…
「あと、浮気は…許しませんよ……♡」
そう言って、ルシファーは人混みの中に姿を消した。
それと同時に、俺は意識を失った――。
※ ※ ※
「なんだ……これは!?」
目を覚ました俺は、あまりの光景に頭を抱えた。賑わいを見せていたショッピングモールが悲鳴と捕食音…血と腐敗臭、そしてゾンビの蔓延る地獄絵図となっていたのだから――。




