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水たまりはダンジョンマスターの夢を見るか?  作者: 漆黒のいかや☆きいろRED(オリーブハマチ風味)
一章 勇者との出会い。

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7/10

七話 水たまりの進化。

 さて、まずは近場でゴブリンでも狩るか、とアンリと話し合う。この辺りはこの前アンリが倒しまくったオーガの縄張りなのでゴブリンと遭遇するならだいぶ離れないと駄目らしい。


 リス吉に頼んで他のリスたちのネットワークでゴブリンの縄張りを探してもらった。


「すごい便利だね使い魔。飛竜をペットにする人もいるんだけどね」


「飛竜はすごいな。空軍とかいるのか?」


「セメントスやモンゴーにはいるね。エンペラはアンデッドを使役してる」


「アンデッドかあ、聖水とかあれば倒せるのかな」


 地名はまだわからん。アンリによると聖水はオレが作ったオーラ水でいいらしい。自然界に聖なるものや邪なるものがあるわけじゃないからな。


 生の力か死の力なんだろう。それなら水を変質させる程度なのでオレが頑張れば作れるか。


 ちなみに教会では生気を聖気、恨みや死の気を邪気や瘴気と呼んでるらしい。呼び方はどうでもいいが学者層と宗教層じゃ変わってくるんだろうな。この世界だと錬金術勢力も一大勢力だから宗教勢力がめちゃくちゃ強いということもないらしい。


 宗教は星の女神レアを祀る星神教がメインだそうだ。聞いたところによる特徴がオレが会った女神様に似ている。他には星から降ってきた魔神を崇める宗教も何種類もあり、魔人と呼ばれる特別に魔法が得意な人たちがその魔神の正体なんじゃないかと言われている。錬金術界隈では。


 オレはスライム形態でアンリとともにぽよんぽよんとはねて歩く。アンリが脇に挟もうとしてくるので避けている。ささっ。


「脇に挟んだほうが速いよお〜?」


「やめろ! 乙女を脇に挟もうとするな!」


 スライムを脇に挟むことに命をかける勇者とか嫌だぞ! ささっ。


 そんなふうにじゃれあいながら南東方向へ進んでいくと、リス吉が木から降りてきた。どうやら他の仲間がゴブリンを見つけたらしい。


 ちなみにリス吉の仲間たちにオレの魔力水を与えてリス吉たちで通信できるようになっている。リスが小さいので魔力に馴染みやすくてオレの力を分け与えやすいんだよな。


 なんならストレージ使えるようにしてもいいんだけど収集がつかなくなるからリス吉や亀の助たちリーダーだけ使えるようにしている。


 ちなみにガブリエル三世は新たにテイムしたメスに食われた。る○〜んだから? 交尾したらメスに食われるカマキリって本当にしんどくない? なのでメスにふ○こちゃんと名付けようと思ったが呼びにくいのでミスタイプと名付けた。理由は特にない。


 ミスタイプは一メートルくらいあるんだよなぁ。お腹が大きくなってるので留守番だが。カマキリだし自分で戦えるらしい。オーガが戦うのを嫌がる程度に強いんだと。


 この森の物差しになりつつあるなオーガ。いつかあのモンスターはオーガの三倍強い、とか言ってそう。アンリによるとゴブリンジェネラルとかになるとそれくらい強いらしい。オーガ定規が定着したらどうしよう。


 ゴブリンキングがいたらアンリなら勝てるけど撤退することにしている。オレが修行で相手にするには強すぎるしまずは対等くらいの相手がいいだろうということだ。


 ちなみにオーガジェネラルやオーガキングもいるがこの森のオーガキングは魔王の一匹だそうだ。いつかやりあうかもしれん。


 ゴブリンもエンペラーになると魔王と呼ばれるが今のところフライハイトの森にゴブリンエンペラーはいないということだ。ただ五百年に一回はエンペラーが現れると言うことらしい。


「ちなみに前にエンペラーが出たのは?」


「……五百年前?」


「もう周期じゃねーか!!」


「そだね〜。あはは!」


「笑ってんじゃねえ! フラグ立ってんじゃねえか!!」


「ゴブリンエンペラーならたぶん勝てるよ〜。まあ今回はいたら撤退するけどね」


「まあオレの修行が目的だしな」


 なんならエンペラーを倒すのを卒業試験にするのはどうだ? 倒せるようになるまで何年かかるかわからんが。


 そんなことを話しながら進んでいくとゴブリンがいる場所についた。リス吉が器用にハンドサインで止めてくる。オレの知識とかもある程度持ってるらしい。


 まあ魔力を雑に与えるとそうなるということだな。いらん知識まで与えてしまう。さて、ゴブリンだな。草むらからにょいんとのぞいてみる。


「おお、うじゃうじゃいるな」


「愉快な顔してるね〜」


 愉快な顔ってどんな顔だ。漫画でよくあるような小柄で腰が曲がってて牙と角が二本生えてる緑がかった灰色の肌の鷲鼻四白眼のモンスターだ。


 人間感はあんまりねえな。虫とかに感じる別種の生き物に対する感覚が強い。別に殺しても心は痛まなそうだ。オレが痛む心を持ってないか。


 というわけで触手を伸ばして襲いかかる。まずはストレージから魔力水を出して体積を八倍に増やすことで高さが三十センチから六十センチになる。重さも数十キロから数百キロに跳ね上がってるだろうな。普通に驚異的だろう。水の塊だから一メートル立方でも一トンだからな。


 体当たりでもゴブリンくらいならぜんぜん当たり負けしない。そこまで接戦になる気もしないんだよなあ。オーガでも潰せそうだし。


 触手を伸ばして足を絡めアンリからもらったナイフで刺す。触手だと体重が乗りにくいのでスピードを高めて銃弾のように刺す感じになるな。太い腕も出そう。スライムからニョキニョキ伸びる腕。キモいな! オレキモいな!


 別のゴブリンを沼にした自分の体で浸して足を取り触手で刺してみる。とにかくエネルギーを込めて突き刺す。先端を硬くするために魔力を前に突き刺すように集中する。


 ずぶり、と刺さった。おお、これでもいけそうだな。せっかくなので腕を伸ばしてナイフでも刺しておく。


 普通に魔力を込めるよりオーラを込めたほうが威力は上がるらしい。物理的にはオーラで、魔法的には魔力で。同じ元とはいえやはり変質したものなのだから差はあるということか。


 そんな調子でゴブリンはサクサク倒していく。まったく相手にならんな。


 ちょっとデカいゴブリン、ホブゴブリンってやつもいるが質量が違う。体当たりでぶっ倒してナイフでトドメ。そもそも物理攻撃がオレにはほとんど効かない。チートだぜ!


 練習も兼ねて触手オーラ斬り!


 ずぱあ、と、小気味の良い音を立ててホブゴブリンの首が舞う。うん、グロい。ホラーとかグロって笑っちゃうことない? オレは笑っちゃうのでホラー映画は見に行けない。


 そして調子に乗ってゴブリンを狩りまくっていると恐れていたというかやはりヤバ目のゴブリンが現れた。


 ホブゴブリンは身長が高いだけだったがそいつは横幅も倍ある。体重も二百キロ超えてそう。オーガや力士に匹敵するな。


「ゴブリンジェネラルだね」


「あれがジェネラルか。 ヤバそうだな」


「マリーちゃんなら楽勝」


 お? 断言したね? これは期待に応えんといかんかな?


 スライムの分体たちに司令を飛ばし急遽汚泥を練り上げさせる。別ポイントで崖を見つけたスライムたちが大河から汲み上げた水を崖に流し崩れた土石をストレージにしまう。


 敵はまだこちらに気づいてないがさっさと先制でぶち倒すのが戦の必勝法だ。相手と戦闘になってから秘策とか出すのは物語ならよくある手法だが実際の戦争なら卑怯な手段で先手を取って覆しようのない初見殺しの一撃を仕掛けるだろう。


「スライ〜ム、ジャンプジャンプジャンプ!」


 スライムボディ大から小スライムを上空に吐き出す。スライム大が自らを収納したあとに小側のストレージから取り出し、その取り出した大からまた上空に同じ小を吐き出す。繰り返しで高空へ一気に舞い上がる。


 そして二百メートルほどの高さから大河の水と土石をストレージを通して混ぜながら吐き出す。魔力をまとった自分の魔力水で表面をカバーしてコースを魔力で捻じ曲げる。


「土・石・流〜!!パー・ンー・チいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!!!」


 どごごごごごごごごご、とため池が決壊したかのごとく音を上げ土石流が空から降っていく。繰り返し繰り返し数百のスライムで土石と激流を収納しつつ吐き出し続ける。連射すれば一トンなんてもんじゃないぜ!


 津波が数十センチでも危険なのは絶え間なくエネルギーが襲いかかるからである。大河の一時間に数億トンという水をほんのわずかだけ借りる!


「オレが出せるのはたかだか秒間数百トンだ! 受け取れええええええ!!」


「ぎゃああああああああああ?!」


 あ、アンリ巻き込んだ。そりゃそうだ。


 急遽リス吉たちとアンリをスライムたちに囲ませて収納、遠方スライムで取り出し。脱出させる。


 やり過ぎちゃった、てへっ。てへっじゃないが。






 後先はあんまり考えない!

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