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レイアウトを詰めよう

 「装甲はそんなとことして、次は武装だね。大地君、IDEさんには接触できたよね」

 「はい。それで、これを預かってきました」

 大地がバックヤードから取り出したのはデータメモリだ。

 「クオ、ここで読める?」

 受け取りながらアイリスが問いかける。

 「はい、姫様。。適当なスクリーンが無いので投影は出来ませんが、概略をお話しすることはできます」

 「じゃあお願い」

 アイリスはクオの返答に頷いて受け取ったメモリをそのままクオに手渡した。

 「…IDE様は荷電粒子ニードルガンを提案されています。針のようなビームを多数照射して、目標を粉砕することを狙ったものです。火星壱参参よりも広範囲を攻撃でき、威力は目標によって評価が変わりますがほぼ同等、燃費は多少悪く、発射反動がありますので空間戦闘では火星壱参参のほうが使い勝手が良いと予想されます。射程はニードルビーム収束率で変化するようです。設計データは手持ちで使用できるぎりぎりの重量の物ですが、規模を拡大することは容易です。なお、名称は現時点で未定」

 「手持ちぎりぎりって具体的には?」

 「このデータのままですと重量30㎏、外形寸法は全長70㎝のずんぐりした円筒にガングリップとフォアグリップが取り付けられています。ヒューマンやエルフィンでは長時間の保持は困難かと」

 「それは…ゾアンやテックドワーフでもパワー重視のステ振りでないとキツいな」

 クオの報告にドーユーが顔をしかめた。

 「村田さんはどう評価する?」

 「ふむ、確かに月面での運用じゃとエネルギー火器の方が良さそうではあるの。発射反動も実包火器よりは軽いじゃろうし、二人乗りじゃと実包火器では弾薬と自動装填装置がかさばるが、エネルギー火器ならそれも問題でない。冷却を考慮せねばならんのはどっちにしても同じじゃしな。エネルギーパックは小型船舶用を使えるから、燃費も我慢できる範疇であろう」

 「威力は?」

 「あのあと少し考えたんじゃがな、イベントであれば現状のプレイヤーが普通の手段で用意できる火力でそこそこ、課金プレイヤーが用意できる火力で突破できるのが最強ラインじゃあるまいかと思うのじゃ。もちろんイベント中のなにがしかのアイテムを用いなけらばならん可能性もあるがの。であれば、IDE君の提案しているこれは拡大すれば十分であるように思う」

 ムラに意見を求められた村田がすらすらと答えた。

 「おお、なるほど。ないようでも基準指針はあるものなんだな」

 「つまり火力に関しては今回は100㎜前後の無反動砲、ないしはそれに準じた火力を含むレイドで倒せない相手は多分いない、という事か」

 バズーとバダーは村田の推測の説得力に唸った。

 「あの、それで、IDEさんはこれのライセンス条件はどう言ってましたか?」

 プルナが大地に尋ねる。

 「小型汎用エネルギーパックの割引長期契約を選んだそうです」

 IDEには大地を使いに出す前にフレンドコールでイベント用の火器の提供の打診と共にその対価としていくつかのオプションを提示している。公団の公式フォーマットで作成された契約書にIDEのサインが記入されたものがメモリと共に大地に持たされており、アイリス、もしくはセサミオープナーのサインが入れば契約が成立する。同時にマスクデータのない設計データがダウンロード可能になる。

 「じゃあ、レイアウト検討だけど…場所を移したほうがいいね、会議室に行こう」


 「コクピットは最前部でないほうがいいんじゃない?安全重視なら」

 アイリスがディスプレイ上のコクピットに見立てたキューブをドラッグして移動させる。

 「操縦感覚的に重心よりも前の方がいいと思うんだが」

 バダーがそれを少し前進させる。

 「Πレックスは重心よりもやや前、で最前部ではないですが特に問題は感じませんでした」

 「重心上なら乗員の対G対策には有利ですが?」

 大地はΠレックス運用からの意見を挟み、飛鳥が運動性重視の視点からの意見を加える。

 「いくらかは振られた方が自機の動きが掴みやすいな。それに対Gを考えなきゃならんほど高速でもないだろう?」

 バダーは体感Gも操縦感覚として多少残ったほうがいい、という意見のようだ。

 「極論だとは思うが、やられても死に戻りするだけだから乗員安全に固執しなくてもいい、という考え方もあるが」

 「デスペナはあるし、安全に離脱できればザラマンダで継続活動できるでしょ?」 

 ムラがゲームであることを前提にした視点を提示するが、アイリスがゲームであっても生残性は無駄にならないと反論する。

 「では、前にエネルギーパックを持ってくるか?それとも武装ブロックにするか?」

 ドーユーが武装ブロックとエネルギーパックのキューブを差し替えながら尋ねる。

 「エネルギーパックが被弾すると動けなくなるんじゃない?」

 「最初から分割しておけば一つやられても大丈夫だろう?」

 アイリスの指摘を受けてドーユーが答える。

 「エネルギーパックの分割は良い考えと思います。ですがレイアウトは後方の方が交換が楽です」

 メイフェアがエネルギーパックのキューブを機体後方に移動させる。

 

 やがて、レイアウトが定まり、おぼろげながら全体像が定まってきた。

 「では、ムラさんは装甲の製作を、メイちゃんはメインフレームを、ドーユーさんはコンテナを、村田さんは武装を、飛鳥ちゃんはメイちゃんのサポート、コクピット周りは私が。バズーさん、バダーさん、大地君は駆動フレームにバラスト詰んでテスト、プルナさんは関連資材管理を、てことで。サイズや重量の変更は情報共有をまめにしましょう」

 

 

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