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明日はどっちだ?

 「一応、1G環境で30tくらいまでなら50㎞/hで走行可能。もちろん低重力環境なら積載重量でも速度でももっと行けるはずだけど、低重力で平坦な所がないから確定データは取れてないよ」

 「意外に遅いな。多脚レイアウトの限界なのかい?アイリス君。」

 「いんや、ムラさん。どっちかというとモーター出力の方。今想定してるサイズに収まるモーターだとこんなとこよ。あと駆動時間との兼ね合いも。3時間しか使えなくていいなら爆速で走れるけど、レースするわけじゃないから」

 多脚戦車は空気のない月面用の企画なので動力は電動だ。4基のモーターの出力で、油圧を介して8本の脚を駆動する。モーターを多発にしたのはダメージコントロールのためで、8本の脚すべてを独立にしなかったのは出力同期が面倒になるからだ。4基までならリアルでもインホイールモーターの電動車両が一般化しているので同調制御はこなれた技術となっている。だが、ムラの多脚型の限界、という推測も的外れなわけではない。1G環境での使用なら単純に装輪式にすれば電動でも90㎞/hは楽に出せるし機構も単純にできるだろう。

 「さて、それはそれとして、艤装をどうするかじゃな」

 村田が話を引き戻した。

 「それなんだよねぇ。村田さんはどうすればいいと思う?」

 「今回は指針になるものがないからのう…」

 村田の歯切れも良くない。

 「あの、前例のない機械、という事でしたらΠレックスの時もだと思うんですが」

 「あの時はちゃんと指針はあったんですよ。プルナさん。中型恐竜の耐久力やパワーをアフリカゾウ位と仮定して、それを単独でハントできる程度を目標にしました。今回は具体的な仮想敵が無い分厄介なんです」

 メイフェアがプルナの疑問に答えた。

 「とりあえず用意できる最高水準を詰め込む、というのはだめか?」

 「ああ、連邦の白い奴式だね、バズーさん。性能コンシャスで予算と時間が青天井なら無くもないけど、商品化を目指すにはハイエンドすぎると思うんだよ」

 バズーの案にはアイリスは否定的だった。高価になり過ぎる、という所でプルナもうんうんとうなずく。

 「だな。となると対戦相手がどんな相手になるか、どう予想するかだが」

 ヤマを張っての仕様設定だと外すと使い物にならないリスクがあるのでムラも即断できない。

 「うーん…クオ、現在このフロンティアの最高火力は?」

 「はい。プリンセスメイフェアの主砲の連装50㎝荷電粒子砲と思われます」

 「…参考にならないわね。陸上で運用できるものだと?」

 「公団の公式リストによればストライカータンクのストライクカノンでしょうか」

 「…ユニークアイテムも除外で」

 「姫様の笑顔」

 「なっ、何言いだすのよこの子」

 「照れる姫様の破壊力もかなりのものと」

 「クオさん、物理の打撃力では?」

 らちが明かなくなりそうだったのでメイフェアが割って入った。

 「対戦車ミサイルを装備した地上車両が少数ですがレアアイテムとして配布されています。その下ですと100㎜級の無反動砲になるかと。あと姫様のバストの谷間は触れもせずに大地様を無力化した実績が」

 「最後のいらない情報だからね。てか、いい加減になさい」

 「失礼しました」

 「となると、その100㎜無反動砲に耐えられる装甲が当座の目標値、ですか?」

 「妥当かと思います。姫様のバストに轟沈した大地様」

 「いやホント勘弁してください」

 「まあ、前面装甲はそのくらいは必要って見積もりで、行けそう?ムラさん」

 「ああ。バイオセラミックやら無重力鍛造のスチール系合金やらの複合装甲で行けると思う。前面だけでいいのか?」

 「側面は脚にシールドつける方向でどうだろうか。その分本体の装甲を軽くして」

 「ああ、それはいいね、バダーさん。ちょっと想像したけどかっこいい」

 「て、アイリスさん、かっこいいで決めていいのか?」

 「いえ、ドーユーさん、見た目は大事ですよ?価格と機能が同じなら人はかっこいいものを選んで購入します」

 「あぁ、それはよくわかります」

 「え?メイフェアさん?プルナさん?」 

 

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