表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/232

はなせばわかるといいなぁ

 不祥事や事故をおこした企業の担当重役とか、事件解決が遅れた警察の偉い人とか、不用意な発言をたたかれた政治家とかがニュースで映ってるような絵だ、と、セサミオープナー出張組+二人は思った。【スタンリー・キューブリック】資材課課長の大国、及び警護についている琢磨が、会談用に用意した部屋に入るなり深々と頭を下げて見せたからだ。

 「資材課の大国(おおくに)です。今回はこちらの受け入れ態勢の不備でご迷惑をおかけしたこと、深く陳謝します」

 『…アイリスさん、世知辛いようですが、これも交渉技術の一つです。陳謝は陳謝として受け入れても同情は不要ですよ?』

 メイフェアがたおやかな笑顔を浮かべたままフレンドコールで忠告してくるのでアイリスの頬が軽くひきつる。

 「コロニー【セサミシード】オーナーのアイリスです。陳謝はうけとります、大国さん。私たちも準備や手続きが不足だったところもあったでしょう。どうか頭をお上げください」

 『こんな感じ?メイちゃん』

 『ええ、よろしいかと。簡単に懐柔されないと知らせておいた方がこういう時は好都合です』

 「ところで、大国さん、でしたね?そちらのお連れの方は?」

 「道中警護をしてまいりました。警備課の琢磨と言います」

 白々しく他人のふりをするアイリスに、やはり白々しく他人のあいさつをする琢磨。

 『あや、ちょっと冷たくね?』

 『そこはそれ、ロールプレイってやつで』

 これもフレンドコールで抗議してみるもすまし顔のアイリスに、つい琢磨は苦笑を漏らす。

 「ご存知かとは思いますが、こちらの同席者も紹介しておきます。当艦【プリンセス・メイフェア】艦長のメイフェア、セサミシード商務部のプルナ、今回店舗をお借りしましたIDEさん、協力していただきましたミケさん、最後に私の秘書のクオです」

 紹介を受け、順番に起立して軽く会釈をし、最後に席を用意されていないクオがきれいなお辞儀をする。

 『リハーサル済みか?あや』

 『いんやアドリブ』

 アドリブもアドリブ、プルナの肩書などたった今思い付きでくっつけたものだ。

 『あ、アイリスさん?商務部って何ですか?』

 『いやプルナさん、商取引含む渉外担当って話だったでしょ?』

 『確かに私もそう把握していますよ?プルナさん』

 『『フレンドコールと外面(そとづら)の温度差がひどいwww』』

 最初からポーカーフェイスのアイリス。アドリブに内心動揺しながらも意外に顔に出さずにいるプルナ。微笑の裏が読めないメイフェア。IDEとミケはそんな三人に感心するやらあきれるやらだ。

 「あまり無駄に長引かせても双方益がありませんね。わざわざご足労いただいた要件をおうかがいしましょう」

 アイリスがざっくり切り込む。

 「ひとまずは、現在ステーションにお持ち込みの食糧を買い取らせていただきたいと存じます。プレイヤーからの問い合わせがこの二日間ですでに述べ5万件に達していて、早急な解決が求められています。公団としては予想末端価格の1.5倍で買い取る用意があります」

 「…その条件では販売いたしかねます、大国さん」

 断ったのはプルナだった。

 「販売価格には今回転嫁しません。赤字取引にはなりますが、それもやむを得ないと思えるほどに切迫しておりまして。また、通貨供給を増やし過ぎるとインフレ要因となりますからこれ以上高額にするのも…」

 「大国さん、誤解があるようなので明言しておきます。それでは高価にすぎる、と申しあげています」

 「…は?」

 弁明にかぶせてのプルナの言葉に大国の動きが止まる。

 「そうですね。我々としては、末端価格をリアルの日本での消費者価格を水準としたものが妥当と考えています。そこから逆算しての卸価格を提示してくださればよろしいかと」

 口元で指を組んだアイリスが具体案を示す。

 「あ、いや、それは願ってもないことですが」

 正直釣り上げられた価格に値引き交渉をする展開を考えていた大国は、良心的かつ協力的な提案に逆にとまどっていた。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ