連絡しましょうそうしましょう
再ログイン一番乗りだったアイリスは、【プリンセス・メイフェア】のブリッジにてセサミシード残留組のムラとフレンドコールでの情報交換をしていた。
『そんなわけでムラさん、工業プラントはちょっと待とうと思うんだ。食料輸出が実現すれば港湾機能を十分にしとかないとだめだろうし』
『わかった。港湾を優先するのはいいが、いずれにしても資材の補給はいるが、どうする気だ?』
『公団にもその話はしたいとこだけど、帰りにトーラス帯に寄って岩塊拾って帰るのもいいかと』
『鉱石の識別は付くのか?』
『あー、どうだろう。行ってみないと何とも』
『まあ、最悪いったん戻ってもらって俺が出てもいいか。それからバズー君とバダー君の調査だが、今のところ日本から中国の温帯から亜熱帯の原生林的なイメージらしい。コロニーのくせに虫がいる、とも言ってたな』
『いたね。虫。私も大きいのから小さいのまで見たよ。思うに長年放置でも生態系構築できるようにわざと用意したんじゃないかと』
『だれが?』
『設計した古代文明』
「つまり、アイリスさんは動物たちは野生化したのではなく最初から野生だったとお考えなのですか?」
いつの間にかログインしていたメイフェアが会話に加わった。
「野生、というか、自然動物園的な状態だったんじゃないかと」
『根拠は?』
「んー、勘」
「ところで姫様」
クオが頃合いと見たのか会話の切れ目で声をかけてきた。
「なに?」
「公団資源課からメールが届いています」
「あ、おはようございます。ひょっとして私遅れました?」
プルナもログインしてきたようだ。
「お、みんな早かったな」
続いてミケもブリッジに上がってくる。
「おはようミケっち。IDEさんはいた?」
「IDEさんなら私より早くログインしていらしてましたよ。ブリッジには上がらず艦内工作室を使いたいとおっしゃるので使用許可を出しましたので工作室においでかと」
アイリスの質問にはメイフェアが答えた。どうやらブリッジに上がる前に会っていたようだ。
「ふぅん。で、クオ。なんて言ってきてる?」
「会談をご希望のようです。ログインしたら連絡を入れてほしいと」
「え?クオさん内容もわかるんですか?」
「?プルナ様、私は姫様の情報端末ですよ?」
クオは何が驚かれているのかわからない様子だ。
「あー、プルナさん、この子スマホみたいな立ち位置でもある、らしい。秘書機能とかあるし」
「はい。ですから姫様には肌身離さず持ち歩かれるのを推奨します」
「さすがにそれはうっとうしい」
「残念です」
「話が進まないったら。クオ、資源課にログインしたって連絡を」
「かしこまりました」
「はい。いえ、今スタンリー・キューブリックに入られるのは危険ですらあります。こちらから伺いますので。はい。待機していただきたく」
公団事務局の資源課では音声通信であるにもかかわらずぺこぺこと頭を下げる壮年の男の姿があった。
「琢磨君、今連絡があったよ。良ければ同席してもらえるとありがたいんだが」
通信を終えた資源課長、大国は様子を見に来ていた琢磨に同行を求めた。
「あれはさばさばしたほうですから別に遺恨は残していないと思いますがね。まあ、いいですが」
わざわざ虎の尾を踏んで嚙まれたに等しいな、と思いつつも、同行することにした琢磨だった。




