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六夜 いってきます
コンビニの灯りがこの日照らしていたのは、非行少年達ではなく三十歳の引きこもりだった。
駐車場のブロックに座り込んでいた男は、女に気づくと顔を上げた。
「やぁ」
「どうしたの?」
「あー……」
無精髭によれよれのスウェット。雨上がりのノスタルジックを台無しにする饐えた臭い。
「なんとなく夜の空気が吸いたくなって」
「夜の空気が、って」それでも女はふっと吹いていた。「いま一時よ?」
「そうだね――あ、買い物待ってるから」
おにぎりをふたつ。缶ビールをふた缶。女が出した一万円に、中年の店員は露骨に舌打ちした。
仕事はどうだい?
自分では上手くやってるほうだと思うけど。
そっか。
引っ叩きたくなるようなスケベ親父もたまにいるけどね。
うん。
なに?
いや。
なによ。
いやー……。
言ったら?
変わったなって。
あなたもね。
たしかに。はは、は、は……。
ねぇ。
ん?
どこか旅行にでも行かない?




