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19/21

19.作戦決行

百周年当日だ。


会場となる運動場は、すでに熱気に包まれていた。


歓声。

ざわめき。

視線は一箇所に集まっている。


――中央。


一ノ瀬と爽太が、仮設された舞台の前で踊っていた。


動きに合わせて、歓声が波のように広がっていく。


(……やってるな)


一瞬、爽太と目が合う。


口が動く。


――恨むぞ


小さく合掌しておいた。


横で、氷室が呟く。


「……流石、皇帝ね」


「あぁ。二の句を継がせない勢いで快諾してくれたぞ」


「“俺に任せろ。全生徒を惹きつけてやる”ってな」


氷室が静かに息を吐く。


「……言うだけあるわね」


あかりが身を乗り出す。


「風間先輩もすごいですよ!」


「……そうだな」


その横で、小森がぽつりと言う。


「私は、勉くんの方がかっこいいかな」


「あ、それは完全に同意です!」


あかりが即答する。


氷室が一瞬だけ視線を逸らす。


「……それは」


小さく、言葉を落とす。


「……そうかもしれないけど」


「ん?」


あかりがにやりと笑う。


「澪先輩、何か言いました?」


「何もないわよ!」


少しだけ顔が赤い。


「……気のせいよ」


「何の話だ?」


氷室が即座に言う。


「黙りなさい」


「それは横暴だぞ」


小森とあかりが、笑いながら言う。


「勉くん、許してあげて」


「今のは勉先輩が悪いです」


氷室が小さく息を吐く。


「そんなことより、どうすんのよ」


「そうだな」


視線を前に戻す。


「今のうちだ」


「……どういうこと?」


氷室が言う。


「一ノ瀬と爽太が引きつけてる」


「その間に、場所を割る。

パンツ神は何て言っていた?」


あかりが、ぴたりと動きを止める。


「……あ」


「“集会”って……

しおりが出るとき、ですよね」


「そうだ。そこに使う機材が怪しい」


小森も続く。


「……確かに。目立つし、人も集まるね」


「逆に言えば、新見が出るまでは安全だ」


氷室が眉をひそめる。


「……そこからが時間勝負、ね」


「そういうことだ」


一拍。


「二手に分かれる。

俺と――」


(……は?)


全員、手を挙げていた。


「なんでだ」


小森とあかりが、無言で視線をぶつける。


その横で氷室も、何も言わずに手を上げていた。


「氷室、お前もか」


「勘違いしないで」


そっぽを向いたまま言う。


「仕方なく、よ」


「何をするか分かったもんじゃないでしょ」


少しだけ考える。


「なら、ちょうどいい」


「俺と氷室で動く。俺らはクラス委員」


見渡しながら言う。


「二人で動く方が自然だ」


小森とあかりが顔を見合わせる。


「……確かに」


「何か気づいたら連絡をくれ。

……連絡先、交換してなかったな。」


スマホを取り出す。


「いいか?」


あかりがすぐに頷く。


「はい!もちろんです!」


小森も続く。


「私も、いいよ」


氷室を見る。


「氷室は一緒にいるから――」


「何?」


氷室の視線が刺さる。


「いらないって言うつもり?」


少しだけ間。


「……あった方がいいな」


氷室が小さく頷く。


「そうでしょ」


そっぽを向く。


「――ふん」


それぞれスマホを取り出す。



「俺と氷室は、一番怪しい機材を見る」


氷室がすぐに返す。


「どうやって確認するのよ。

そもそも入れないわよ」


「なら、理由を作る」


視線をあかりに向ける。


「あかり。運営の資料、まだあるか?」


あかりが頷く。


「多めに作ってるので、ありますよ?」


「それを持っていく」


小森が小さく口を開く。


「……それなら入れそうだね」


「クラス委員だし」


軽く頷く。


「あかりと小森は校舎を頼めるか」


あかりが首を傾げる。


「校舎……?」


小森も目を瞬かせる。


「?」


「この時間、一ノ瀬と爽太のおかげで全員運動場にいる」


小森がはっと顔を上げる。


「残ってたら怪しい、ってことだね」


「そういうことだ。ただし追うな」


「気づいたら連絡をくれ」


スマホを軽く掲げる。


「作戦決行だ」

読んでいただきありがとうございます。


明日も投稿します。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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