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18/22

18.未来を守るため(本当か?)

氷室が、神をまっすぐに睨んだ。


「……まだ終わってないわ」


一歩、踏み出す。


「そもそも、なんで見てたのよ」


あかりが横から身を乗り出す。


「しおりはついに、神さままで虜に……?」


「違うわい!!」


神が即座に否定する。


少しだけ間が落ちる。


「実はのう……次の集会、狙われとるぞ」


あかりが目を見開く。


「しおりが!?」


「いや、学校がじゃ」


空気が止まる。


「……は?」


誰かが小さく漏らす。


神は頭をかきながら続けた。


「このままだと、爆破じゃな」


氷室が腕を組む。


「……あんた神様でしょ」


「なんとかしなさいよ」


「それがのー」


神は視線を逸らしたまま言う。


「直接関わるのは、よろしくないんじゃ」


小森が、小さく頷いた。


「……そうなんですか」


沈黙。


その中で、江口が一歩だけ前に出る。


「――なら」


視線を上げる。


「俺らでやるしかないだろ」


あかりの顔がぱっと明るくなる。


「さすが先輩!!」


神が肩をすくめる。


「じゃが、今回はピコンは鳴らんぞ」


江口は息を吐いた。


「いらねーよ」


全員の視線が集まる。


「未来を守るためだ」


空気が、ほんの少しだけ変わる。


小森が、ぽつりと呟いた。


「……かっこいい」


爽太が俺を見る。


「パンツを守るためじゃなくて?」


「それもある!!」


氷室が顔を押さえる。


「……はぁ」


「俺らでできることって、実際何があるよ」


爽太が言う。


「やっぱり警察に――

言った方がいいんじゃ……」


小森が小さく口を開く。


「無理よ」


氷室が即座に切る。


「“神様が爆破されるって言ってました”なんて」


「信じてもらえるわけないでしょ」


新見が、少しだけ俯く。


「……ですよね」


沈黙。


俺は、視線を上げた。


「――なら」


少しだけ間を置く。


「俺らでやるしかない、か」


あかりが顔を上げる。


「でも、どうやって……?」


――ふむ。


爆破とか正直知らん。


興味もない。


だが――


「そういうのに詳しそうなやつはいる」


氷室が眉をひそめる。


「……誰よ」


「ついてこい」



理科室の扉を開ける。


「おぉ。みんな揃ってどうした?」


おじいちゃん先生が顔を上げた。


「まだ授業じゃないぞ」


後ろから、爽太の声が落ちる。


「……詳しいやつって、まさか」


「長年この学校にいる。

物理も化学も、何でもござれだ」


俺は前を向いたまま言った。


「ピッタリだろ」


氷室も腕を組んだまま頷く。


「聞きたいことがある」


先生はひげを撫でる。


「なんじゃ、急に」


俺は一歩前に出る。


「今度、百周年の集会あるだろ?」


「そうじゃな」


あかりが横から身を乗り出す。


「そこでゲストで誰が出るか知ってます?」


先生は少しだけ笑う。


「知っとるが、言えんなぁ」


「さぷらいずってやつじゃ」


「あの、その子――」


あかりが隣を指す。


「私の友だちなんです」


そのまま、軽く背中を押す。


「ってか、この子です」


「こんにちは」


小さく頭を下げる。


「新見しおりです」


先生の手が止まる。

少しだけ近づいて、顔を覗き込む。


「こりゃたまげた」


「ほんものじゃ」


「あ、ありがとうございます」


新見が少し困ったように笑う。


氷室がそこで口を挟む。


「しおりちゃんが出るなら、安全管理は大事でしょ」


爽太も軽く頷く。


「人も多くなるだろうし。

それで確認しに来たんだ」


先生は小さく頷く。


「なるほどな」


「何が聞きたいんじゃ?」


俺はそのまま言う。


「当日、危険になりそうなとこある?」


先生は少しだけ視線を上げる。


「そうじゃな」


机の上を軽く指で叩く。


「配線関係はよく見た方がええな」


「配線関係?」


小森が首を傾げる。


「機材が増えると、電気の取り回しが雑になりやすいんじゃ。

……延長したり、繋ぎすぎたりな」


「へぇ……」


あかりがメモを取り始める。


先生はそのまま、軽い調子で言った。


「変にいじると、ショートしたりな。

最悪――」


少しだけ笑う。


「爆発するかもしれんしの」


空気が一瞬止まる。


「爆発……?」


しおりが小さく呟く。


先生はすぐに手を振った。


「いやいや、そうそう起こるもんじゃない」


氷室が一歩前に出る。


腕を組む。


「もし起きたらどうするのよ」


先生は、少しだけ肩をすくめた。


「どうするも何もな」


「爆発いうても、勝手には起きん」


視線が集まる。


「きっかけがいるんじゃ」


「きっかけ……?」


小森が小さく呟く。


先生はゆっくり頷く。


「火でもええし、衝撃でもええ」


少しだけ間を置く。


「最近は、電気で火をつける仕組みもある」


あかりの手が止まる。


「電気で……?」


「スイッチ一つで火がつくようなもんじゃな」


「つまりじゃ」


「火薬そのものより、“火をつける側”を見る方が早い」


氷室が眉を寄せる。


「……それが、配線?」


「そういうことじゃ」


先生はあっさり言う。


「電気が流れなければ、火はつかん」


静かになる。


「逆に言えば――」


ひげを軽く撫でる。


「変なところに電気が流れとると、何が起きるか分からん」


爽太が腕を組む。


「でも、それって見て分かるもんなのか?」


先生は少しだけ笑う。


「使うもんが決まっとるなら、流れる先も決まっとる」


「余る線があるなら、それは“火をつけるための電気”かもしれん」


少しだけ肩をすくめる。


「まぁ、意図的にせん限り、そんなことないがな」


「先生、ありがとう」


「おぉ、ご苦労さん」


理科準備室を出る。


廊下に出た瞬間、氷室が言った。


「……なんとかなりそうね」


「まだだ」


俺は言った。


氷室が振り返る。


「は?」


「もう一人、会っておきたいやつがいる」


爽太が眉をひそめる。


「……誰だよ」


俺は少しだけ口元を上げた。


「仲間にして、ライバル」


爽太がため息をつく。


「……嫌な予感しかしないんだけど」


「気のせいだ」


読んでいただきありがとうございます。


明日も投稿します。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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